Topic outline
課題:深層循環は永遠なのか?
これまで説明してきた「水の流れ」は、現在(少なくとも、最終氷期のあとから現在)の海洋循環のことです。過去はどうだったのでしょうか?中緯度まで氷床が広がった氷河期、さらに昔の275万年前を境にした前後。
現在の地球環境を知り、将来を知りたければ、過去に学ぶことが大事です。
深層循環は永遠なのか? 新生代(主に現代を含む第四紀)の海洋環境の変化について、複数の文献(論文や書籍)の情報を整理して、A4用紙で1枚程度に要約してください。図や表を入れてもよい。
テーマ: 第四紀が始まる前後の海洋環境における事象、氷河期サイクルについて、最終氷期や最終間氷期、これらをまとめたこと、特定の過去の事象、科学界で謎とされ議論の的となっていることなど、自由にテーマを設定してください。コンベヤーベルト(深層循環)の変化に着目するとよいでしょう。
・入手できる日本語論文(それぞれ、各巻-各号をクリックして記事タイトルを検索してください)
第四紀学(第四紀学会)の学会誌バックナンバー(J-stageよりダウンロード)
地球化学(地球化学会)の学会誌バックナンバー(J-stageよりダウンロード)
海の研究(海洋学会)の学会誌バックナンバー(J-stageよりダウンロード)
ほかにもあります。J-stage にて、雑誌名を入力して、その雑誌のバックナンバーページに飛ぶことができます。
氷期の海洋循環の様子についていくつかの仮説を紹介しています。古環境解析の方法も説明しています。
最終退氷期に一時的に北大西洋に代わって北太平洋が深層循環の沈み込みの起点になったことを示しています。
「氷期に深層循環がストップした」という仮説を否定(氷期の孤立深層水塊の存在を否定)しています。
テーマ設定のヒント
- 「第四紀」の時代区分ができたきっかけ、275万年前の出来事 -パナマ地峡の成立- この前後で世界の海はどのようにかわったのでしょうか。
「第四紀」(だいよんき)とは、地球の46億年にわたる長い歴史の中で、現在を含む最も新しい時代で、地球上に人類が進化・拡散し、活動している時代である。年代的には約260万年前から現在までの期間で、大きく更新世(第四紀はじめから1.15万年前まで)と完新世(それ以後現在まで)に2分される。第四紀は、高緯度の大陸に大規模な氷床が分布し、地球気候の寒冷化と温暖化が交互に起こり、それに伴い北半球の氷床や山岳氷河の拡大と縮小・世界的な海面の低下と上昇・植物や動物などの生物分布域の移動などがくりかえしおこった、自然環境変化の激しい時代である。(第四紀学会のHP: http://quaternary.jp/intro/daiyonki.html より) なお、更新世は最終氷期まで、完新世は最終間氷期(現在)ですね。現在の深層循環が永久ではないことがわかります。
以下が参考になります。
- 「第四紀」の時代区分ができたきっかけ、275万年前の出来事 -パナマ地峡の成立- この前後で世界の海はどのようにかわったのでしょうか。
地球環境46億年の大変動史(田近英一著, 化学同人, 2009) のp140に1行だけ、仮説の一つとして紹介しています。書きっぷりが、読みやすい。
地球表層環境の進化(川幡穂高著, 東京大学出版会, 2011)の p175に12行で記述されています。書きっぷりが、やや難しい。ザ・教科書。
古環境学では、新しい発見により定説が覆されることがよくあります。教科書や読み物に書かれている解釈も変わることがあると、頭に入れておきましょう。
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