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水圏生化学実験(タンパク質)【実験動画】
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English
URL
田中啓之
URL
(1)筋肉とタンパク質についての解説
水圏生化学実験(タンパク質)(1)筋肉とタンパク質についての解説
用語集
ADP(エーディーピー):アデノシン二リン酸
ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
アクチン:アクチンフィラメントを形作るタンパク質
アクチンフィラメント:タンパク質の複合体
横紋構造(おうもんこうぞう):筋繊維を構成するアクチンとミオシンが規則正しく並ぶことでみられる模様
解糖系(かいとうけい):糖の代謝経路
筋芽細胞(きんがさいぼう):単核の細胞、集まって筋繊維となる
筋原線維(きんげんせんい):筋繊維内の微小な繊維
筋節(きんせつ):魚類の体側筋に見られる層状構造
筋繊維(きんせんい):筋細胞のこと、筋肉を構成する線維状の細胞
軽鎖(けいさ):タンパク質が大小2つの基本単位で構成されている場合の分子量の小さい方
酵素(こうそ):タンパク質性の触媒
サイトゾル:細胞質から細胞小器官を除いた部分
サルコメア:筋原線維の構造および筋収縮の単位
重鎖(じゅうさ):タンパク質が大小2つの基本単位で構成されている場合の分子量の大きい方
速筋(そっきん):すばやく収縮する筋肉
血合筋(ちあいきん):血合肉、魚類に特有の筋肉
遅筋(ちきん):ゆっくり収縮する筋肉
ポリペプチド鎖:アミノ酸がペプチド結合によって直鎖状につながったもの
ミオシン:タンパク質の1種
ミオシンフィラメント:ミオシンが繊維状に結合したもの
リン酸:リンのオキソ酸の1種
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:12,379
筋肉と筋肉のタンパク質について
簡単に説明させていただきます
2
00:00:12,379 --> 00:00:16,49
筋肉は運動器官です
3
00:00:16,49 --> 00:00:23,23
ご存知のように 哺乳類の骨格筋は
骨と骨をつなぐ(非常に大きな長い器官です)
4
00:00:23,23 --> 00:00:26,226
骨と(筋肉が)つながっている部分は結合組織
5
00:00:26,226 --> 00:00:31,64
コラーゲンでできた腱で
つながります
6
00:00:31,64 --> 00:00:35,669
腱と腱の間が
筋組織ということになります
7
00:00:36,770 --> 00:00:45,145
筋肉の細胞 筋細胞は
腱からもう片方の腱までの
8
00:00:45,145 --> 00:00:48,815
非常に長い細胞になります
9
00:00:48,815 --> 00:01:03,263
もともとは 小さな単核の筋芽細胞が融合して
長い筋細胞になります
10
00:01:04,631 --> 00:01:12,205
筋細胞は
別名 筋繊維とも呼ばれます
11
00:01:12,205 --> 00:01:20,613
筋繊維の中に さらに 細い筋原繊維が
束になって入っています
12
00:01:20,613 --> 00:01:25,585
横紋筋の筋原繊維には
横紋構造(しま模様)があります
13
00:01:25,585 --> 00:01:27,454
サルコメア構造といって
14
00:01:27,454 --> 00:01:33,693
アクチンフィラメント ミオシンフィラメントが
互い違いに配置しています
15
00:01:33,693 --> 00:01:35,962
筋肉が収縮するときには
16
00:01:35,962 --> 00:01:39,966
ミオシンフィラメントの間に
アクチンフィラメントが滑り込むようにして
17
00:01:39,966 --> 00:01:45,305
サルコメアが短縮することによって
(筋肉が)収縮します
18
00:01:45,305 --> 00:01:50,610
そのとき ATP(アデノシン三リン酸)が
ADP(アデノシン二リン酸)と リン酸に分解されて
19
00:01:50,610 --> 00:01:55,15
化学エネルギーが
運動エネルギーに変換されます
20
00:01:55,15 --> 00:02:05,392
このような基本的な事項は
哺乳類でも魚類でも同じです
21
00:02:05,392 --> 00:02:10,797
さらに無脊椎動物にも横紋筋はあり
22
00:02:10,797 --> 00:02:18,571
非常に原始的な
軟体動物や節足動物には もちろん
23
00:02:18,571 --> 00:02:23,109
刺胞動物などにも 横紋筋はあります
24
00:02:23,610 --> 00:02:29,249
基本的にはサルコメア構造をもって
筋肉が収縮しています
25
00:02:29,249 --> 00:02:35,755
今回の実験では 魚の筋肉から
アクトミオシンというタンパク質を作ります
26
00:02:35,755 --> 00:02:45,732
ミオシンフィラメントは ミオシンの分子が
たくさん束になって できたものです
27
00:02:45,732 --> 00:02:49,436
(アクトミオシンは) ミオシン分子の一つ一つが
アクチンフィラメントに結合して
28
00:02:49,436 --> 00:02:54,374
複合体を作ったような
巨大な分子の複合体です
29
00:02:55,542 --> 00:03:00,747
その(アクトミオシンの)溶液を
精製します
30
00:03:00,747 --> 00:03:07,887
また アクチンフィラメントやミオシンフィラメントの
周辺の部分(サイトゾル)にも
31
00:03:08,254 --> 00:03:11,825
タンパク質が
たくさん存在しています
32
00:03:12,125 --> 00:03:19,399
たとえば (筋肉の)収縮のエネルギー源となる
ATPを作るための解糖系の酵素や
33
00:03:19,399 --> 00:03:25,538
筋肉の中に 酸素を蓄えておくための
ミオグロビンなど
34
00:03:25,538 --> 00:03:29,642
そのようなものが周辺に漂っています
35
00:03:29,642 --> 00:03:34,214
そのようなものが
含まれた部分を抽出して
36
00:03:34,214 --> 00:03:38,918
どんなものが含まれているか
分析していくという操作を行います
37
00:03:38,918 --> 00:03:47,927
魚類の筋肉も微細な横紋筋の構造は
哺乳類と同じになります
38
00:03:47,927 --> 00:03:52,198
一番特徴的な違いは
筋節(きんせつ)というのが あることです
39
00:03:52,198 --> 00:04:00,674
魚を焼いたり煮たりすると 肉がぽろぽろと
部分部分に分かれてきます
40
00:04:00,674 --> 00:04:02,742
その一つ一つが
筋節です
41
00:04:02,742 --> 00:04:09,416
筋節と筋節は
コラーゲンの薄い膜で 接着されていて
42
00:04:09,416 --> 00:04:14,387
体側全体が
1つの大きな筋肉のように ふるまえます
43
00:04:14,387 --> 00:04:20,627
そのうえで ある程度の柔軟性を持っているという
形がとれるようになっています
44
00:04:20,627 --> 00:04:25,532
この図は
ブリの体側筋の断面です
45
00:04:25,532 --> 00:04:28,168
右側が
筋節の模式図です
46
00:04:28,168 --> 00:04:33,206
(体側筋は) 非常に複雑な形をした筋節が
たくさんくっついて できています
47
00:04:33,206 --> 00:04:40,947
魚類の筋肉で 特徴的なのは
血合筋と普通筋に 分けられることです
48
00:04:40,947 --> 00:04:46,653
血合筋は表皮の下に近い部分にあり
49
00:04:46,653 --> 00:04:51,791
見た目も食べた感じも
普通筋と 全然違います
50
00:04:51,791 --> 00:04:59,199
(血合筋も)アクチンとミオシンに富んだ
横紋構造を持った筋肉になります
51
00:04:59,199 --> 00:05:07,474
(普通筋に比べて) 血合筋は毛細血管が多く
水分が多いという特徴があります
52
00:05:07,474 --> 00:05:10,43
中に含まれているタンパク質についても
53
00:05:10,43 --> 00:05:13,13
ミオシンとアクチンは
血合筋と普通筋のどちらにも含まれますが
54
00:05:13,13 --> 00:05:21,287
そのミオシンやアクチンの細かな構造
(たとえば)アミノ酸の配列などが異なります
55
00:05:21,287 --> 00:05:28,428
色の違いの主たる原因は
血合筋の毛細血管が発達していることに加え
56
00:05:29,362 --> 00:05:39,339
筋肉の色素である
ミオグロビンが 血合筋に多いことが挙げられます
57
00:05:39,339 --> 00:05:47,213
(普通筋と血合筋は) 色や形が違うだけでなく
収縮に関する特性も違います
58
00:05:47,213 --> 00:05:54,521
例えば 普通筋のほうが
収縮する速度は大きいということが知られています
59
00:05:54,521 --> 00:05:58,725
血合筋の部分は あまり収縮速度が
大きくないけれども
60
00:05:58,725 --> 00:06:04,731
多くの酸素を保持するために
ミオグロビンが たくさん含まれており
61
00:06:04,731 --> 00:06:12,305
普通筋とは特性を変えて
役割分担をしていると 考えられています
62
00:06:12,305 --> 00:06:20,280
血合筋は ミオグロビンも多く
収縮速度も小さいということで
63
00:06:20,280 --> 00:06:25,85
哺乳類でいうと 血合筋は遅筋(赤い筋肉)
64
00:06:25,85 --> 00:06:33,626
普通筋は速筋(白い筋肉) に
相当すると考えられています
65
00:06:33,626 --> 00:06:42,869
速筋の方は瞬発力があり 大きいです
遅筋は 持久力が高いといわれています
66
00:06:42,869 --> 00:06:45,638
(普通筋と血合筋に)
含まれるタンパク質は
67
00:06:45,638 --> 00:06:49,142
似てはいますが
全く同じではありません
68
00:06:49,142 --> 00:06:53,279
ミオシンというのは
このような形をした分子です
69
00:06:53,279 --> 00:06:57,584
分子量50万という
非常に大きなタンパク質です
70
00:06:57,584 --> 00:07:06,993
重鎖2つ 軽鎖4つ 合計6つのポリペプチド鎖が
1つのミオシン分子を作っています
71
00:07:07,360 --> 00:07:10,463
さらに ミオシン分子それぞれが
72
00:07:10,463 --> 00:07:17,904
長く伸びた 尾部(Tail)同士で
くっつき合って ミオシンの束を作ります
73
00:07:18,171 --> 00:07:23,643
それがミオシンフィラメントと呼ばれ
横紋筋の中に 存在している状態になります
74
00:07:23,643 --> 00:07:31,885
この図はミオシンの重鎖について
アミノ酸配列を示したものです
75
00:07:32,118 --> 00:07:36,189
上の方がN末端
76
00:07:36,189 --> 00:07:38,324
右下がC末端です
77
00:07:38,324 --> 00:07:43,997
約1940個のアミノ酸が
つながってできています
78
00:07:43,997 --> 00:07:48,735
(ミオシン分子の)頭部の
洋ナシの形をした方がN末端です
79
00:07:48,735 --> 00:07:51,137
尾部がC末端です
80
00:07:51,137 --> 00:07:57,844
ここで示したアミノ酸配列は
何行にも分かれています
81
00:07:57,844 --> 00:08:00,280
それぞれの行が
さらに2つに分かれています
82
00:08:00,814 --> 00:08:05,685
上の方がゼブラフィッシュの普通筋の
ミオシンの重鎖
83
00:08:05,685 --> 00:08:10,690
下の方が血合筋の
ミオシン重鎖です
84
00:08:11,157 --> 00:08:17,30
血合筋のミオシン重鎖は
普通筋ミオシン重鎖と同一の場合 「・」で示しています
85
00:08:17,30 --> 00:08:23,670
違うところは 1文字の
アミノ酸の略号を入れています
86
00:08:23,803 --> 00:08:28,675
このように 共通しているところが
たくさんありますが
87
00:08:28,675 --> 00:08:31,111
違うところも
たくさんあります
88
00:08:31,811 --> 00:08:39,552
約1940個のアミノ酸のうち 20%以上が
普通筋と血合筋で違います
89
00:08:39,552 --> 00:08:45,959
青色で示したのは 頭部のアミノ酸配列
赤色で示したのは 尾部のアミノ酸配列です
90
00:08:45,959 --> 00:08:53,99
頭部はATPを分解する作用の
酵素活性を持っています
91
00:08:53,99 --> 00:08:58,638
アクチンと結合したり 解離したりして
アクチンフィラメントを手繰り寄せるのも頭部の役割です
92
00:08:58,638 --> 00:09:06,713
こうしたアミノ酸配列の違いが
アクチンとミオシンが滑り合う速度の違いとなり
93
00:09:06,713 --> 00:09:13,19
血合筋と普通筋の特性の違いに
関わっていると考えられています
94
00:09:13,19 --> 00:09:15,689
具体的に
どのアミノ酸が どう違っているから
95
00:09:15,689 --> 00:09:21,161
収縮が 遅いとか速いとかといった
細かいところまでは まだ分かっていませんが
96
00:09:21,161 --> 00:09:26,766
こういう(アミノ酸配列の)違いが
筋肉の特性の違いにまでつながっています
(2)コイの挽肉からのタンパク質(アクトミオシン)抽出
水圏生化学実験(タンパク質)(2)コイの挽肉からのタンパク質(アクトミオシン)抽出
用語集
アクチン:アクチンフィラメントを形作るタンパク質
遠沈管(えんちんかん):遠心分離機を用いた実験に使われる容器
解糖系(かいとうけい):糖の代謝経路
筋原線維(きんげんせんい):筋繊維内の微小な繊維
カラムクロマトグラフィー:筒状の容器(カラム)を利用して物質を分離、精製する手法
緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpH が大きく変化しない溶液
筋形質画分(きんけいしつかくぶん):筋繊維の細胞質の一部の成分を取り分けたもの
酵素(こうそ):タンパク質性の触媒
サイトゾル:細胞質から細胞小器官を除いた部分
サルコメア:筋原線維の構造および筋収縮の単位
熱変性(ねつへんせい):タンパク質が高温により変性すること
ミオグロビン:タンパク質の1種
ミオシン:タンパク質の1種
字幕
1
00:00:05,705 --> 00:00:12,245
この実験では
コイの普通筋からタンパク質を作ります
2
00:00:12,245 --> 00:00:20,954
血合筋から作ったタンパク質と
普通筋から作ったタンパク質は 構造も特性も違います
3
00:00:20,954 --> 00:00:28,395
普通筋と血合筋を
一緒くたに扱うのは学問的によくないため
4
00:00:28,395 --> 00:00:37,203
筋組織の主要な部分である
普通筋だけを材料にして進めていきます
5
00:00:37,203 --> 00:00:45,679
タンパク質は 他の生体高分子である
多糖類や核酸よりも 変性を起こしやすいです
6
00:00:46,79 --> 00:00:54,154
変性を起こすと本来の機能や
特性を失ってしまい 実験になりません
7
00:00:54,154 --> 00:00:58,425
特に熱変性に
気をつけていただきます
8
00:00:58,425 --> 00:01:03,396
(魚類のタンパク質は)低い温度で
効率的に働けるようにできていますが
9
00:01:03,396 --> 00:01:09,502
逆に加熱による変性には
とても弱いという特徴があります
10
00:01:09,502 --> 00:01:14,207
溶液を室温に置いておくだけで
加熱しているのと同じです
11
00:01:14,207 --> 00:01:18,545
徐々に熱変性を
起こしてしまいます
12
00:01:18,545 --> 00:01:31,324
そうならないように 試料の溶液 材料 試薬 実験器具を
常に冷やしながら (実験を)行います
13
00:01:31,725 --> 00:01:39,632
ビーカーが冷えたら
材料となるコイの挽肉を(4.5g) 入れます
14
00:01:40,367 --> 00:01:44,404
低塩濃度緩衡液を
(冷やした)三角フラスコに取り分けますので
15
00:01:44,404 --> 00:01:50,310
ビーカーの目盛り50ml (挽肉の10倍の量)まで
三角フラスコから注ぎます
16
00:01:50,310 --> 00:01:58,952
ガラス棒で挽肉を砕くようにしながら
ゆっくり攪拌します
17
00:01:59,252 --> 00:02:09,329
変性を防ぐためのもう一つの注意点は
攪拌するときに 泡立てないこと
18
00:02:09,329 --> 00:02:16,736
泡が立つということは
タンパク質が空気とふれる部分が 多くなります
19
00:02:17,804 --> 00:02:28,782
空気が触れると 空気中の酸素によって
酸化による変性が起こります
20
00:02:28,782 --> 00:02:32,919
だいたい5分ほど攪拌します
21
00:02:32,919 --> 00:02:42,529
攪拌しても 筋肉は溶けていません
22
00:02:42,529 --> 00:02:45,365
でも 一部だけ溶け出しています
23
00:02:45,365 --> 00:02:52,305
溶け出しているのは サルコメアを形作っている
ミオシンやアクチンではなく
24
00:02:52,305 --> 00:02:55,408
その周辺の サイトゾルが
溶けだしています
25
00:02:55,408 --> 00:02:57,977
それを分離します
26
00:02:57,977 --> 00:03:06,453
(ビーカーに)長方形のガーゼ1枚を
二つ折りにしてのせます
27
00:03:06,453 --> 00:03:14,494
そこに100ml のビーカーに入っている
懸濁液を注ぎます
28
00:03:14,494 --> 00:03:20,100
すると 濾液 それからガーゼの上に
残渣が残ります
29
00:03:20,100 --> 00:03:24,537
残渣のほうに
アクチンやミオシンが入っています
30
00:03:24,537 --> 00:03:28,174
濾液のほうには サイトゾルの成分
31
00:03:28,174 --> 00:03:35,648
筋形質画分と呼ばれる
ミオグロビンや解糖系の酵素が 入っています
32
00:03:35,648 --> 00:03:37,650
(残渣と濾液の)
どちらも(実験に) 使います
33
00:03:37,650 --> 00:03:43,690
(おおかた濾過ができたら )
きれいな手で残渣をくるっと丸めて
34
00:03:43,690 --> 00:03:48,828
きゅっきゅっきゅっと
軽く絞って 濾液を切ります
35
00:03:51,998 --> 00:04:01,975
ガーゼを通り抜けた濾液は 筋形質画分と言われ
カラムクロマトグラフィーで 後日分析します
36
00:04:02,8 --> 00:04:11,584
遠沈管に10ml くらい
注いでください
37
00:04:11,584 --> 00:04:16,389
キャップをして
(濾液は)冷凍庫に保管します
38
00:04:16,389 --> 00:04:23,997
ガーゼの上の残渣は もう1回
低塩濃度緩衡液50ml を入れ ガラス棒で攪拌して
39
00:04:24,497 --> 00:04:27,300
また 2層のガーゼで
濾過します
40
00:04:27,300 --> 00:04:33,373
2回目の濾液は
成分が薄くなりますので 使いません
41
00:04:33,373 --> 00:04:39,479
2回目の濾過が終わった後の
ガーゼの上の残渣は
42
00:04:39,479 --> 00:04:43,350
筋原線維が主成分です
43
00:04:43,350 --> 00:04:47,53
50ml のスタンド付き遠沈管に
残渣の塊を入れます
44
00:04:47,53 --> 00:04:49,489
50ml のスタンド付き遠沈管に
残渣の塊を入れます
45
00:04:49,889 --> 00:04:57,564
(ここに)25ml の
高塩濃度緩衡液を入れます
46
00:04:57,564 --> 00:05:08,141
遠沈管を氷に差して冷やしながら
ガラス棒でつついて 泡立てないように攪拌します
47
00:05:08,141 --> 00:05:13,279
(全体が)均一になるまで 攪拌したら
今日の作業は終了です
48
00:05:14,414 --> 00:05:17,317
アクトミオシンは
冷凍すると 失活してしまうので
49
00:05:17,317 --> 00:05:23,857
(絶対に冷凍室には入れず )
冷蔵庫のスタンドラックに並べてください
50
00:05:26,526 --> 00:05:36,936
2日後まで静置している間
アクトミオシンの抽出が進みます
(3)アクトミオシンの精製(希釈沈殿)
水圏生化学実験(タンパク質)(3)アクトミオシンの精製(希釈沈殿)
用語集
KCl(ケーシーエル):塩化カリウム
M(モーラー):mol/L
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:10,477
2日間冷蔵庫で静置することで
アクトミオシンが溶け出してきているので
2
00:00:10,477 --> 00:00:15,348
溶液の粘度が上がって
かなりどろっとした状態に なっています
3
00:00:15,648 --> 00:00:23,823
氷で冷やしたビーカーの上にガーゼを載せて
試料を濾過し 濾液を回収します
4
00:00:23,823 --> 00:00:30,196
濾液は粘度があって
濾過するのに時間がかかるかもしれませんが
5
00:00:31,197 --> 00:00:37,303
濾液の体積は20ml くらい
少なくても15ml くらい回収します
6
00:00:37,303 --> 00:00:40,540
体積はビーカーの
目盛りではかります
7
00:00:40,573 --> 00:00:45,979
残渣は溶け残った
筋原線維が大半ですが
8
00:00:45,979 --> 00:00:52,352
結合組織などが
濾液の中に 混ざってしまいますので
9
00:00:52,719 --> 00:00:58,324
ガーゼでこすったり
絞ったりするのは やめてください
10
00:00:59,192 --> 00:01:08,535
次に 氷の上の濾液の入ったビーカーに
冷純水(冷蒸留水)を加えます
11
00:01:08,535 --> 00:01:13,573
ビーカーの目盛りで読み取った濾液の
3倍の体積の冷純水を加えます
12
00:01:13,573 --> 00:01:24,651
20ml とれていたら60ml
15ml とれていたら45ml の冷純水を加えます
13
00:01:26,19 --> 00:01:30,457
濾液に冷純水を加えて
ガラス棒で攪拌します
14
00:01:31,991 --> 00:01:39,799
塩濃度は冷蔵庫の中では
0.6M KCl でしたが
15
00:01:39,799 --> 00:01:49,809
3倍体積の水を加えますので
塩濃度は1/4=0.15M KCl になります
16
00:01:49,976 --> 00:01:54,848
するとアクトミオシンが不溶化してきます
17
00:01:54,848 --> 00:02:00,720
アクトミオシンというタンパク質は
高塩濃度の約0.3M KCl 以上では 溶けていますが
18
00:02:00,720 --> 00:02:07,27
0.2M KCl 以下ですと
不溶化して 析出するという特性を持っています
19
00:02:07,27 --> 00:02:11,197
このような特性を持ったタンパク質は
筋肉の中には他にないので
20
00:02:12,232 --> 00:02:17,904
それを利用して精製します
アクトミオシンの純度を高めます
21
00:02:17,904 --> 00:02:26,646
0.15M KCl になるとアクトミオシンが析出して
溶液が白く濁ります
(4)アクトミオシンの精製(遠心分離)
水圏生化学実験(タンパク質)(4)アクトミオシンの精製(遠心分離)
用語集
緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpHが大きく変化しない溶液
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:10,777
(アクトミオシンは)粒子が
小さすぎるため 遠心力をかけ
2
00:00:10,777 --> 00:00:12,912
不溶化したものを
沈殿として回収します
3
00:00:12,946 --> 00:00:21,521
アクトミオシン以外のタンパク質は
塩濃度を下げても不溶化せず
4
00:00:21,521 --> 00:00:24,90
遠心分離をしても
上澄みに留まります
5
00:00:24,90 --> 00:00:25,792
そして 上澄みを捨てれば
6
00:00:25,792 --> 00:00:31,598
沈殿から より純度の高まった
アクトミオシンを回収できるというやり方になります
7
00:00:31,598 --> 00:00:40,507
遠沈管2本に (懸濁液を)
同じ体積になるように加えます
8
00:00:40,507 --> 00:00:46,312
(2本の遠沈管の)重さは
天秤を使って揃えます
9
00:00:46,312 --> 00:00:51,351
(遠心分離を行います)
10
00:00:51,351 --> 00:00:56,356
(同じ重さの遠沈管が 対称になるよう)
11
00:00:56,356 --> 00:01:01,361
(高速冷却遠心機の ローターにセットします)
12
00:01:01,361 --> 00:01:06,866
蓋を閉めます
13
00:01:06,866 --> 00:01:12,872
蓋をしないと (試料)が漏れたときに
(遠心機の)中身が大変なことになります
14
00:01:12,872 --> 00:01:15,275
この(外側の)蓋も
よく閉めます
15
00:01:15,275 --> 00:01:22,315
回転数1万1千回
回転時間5分間 温度4℃ に設定します
16
00:01:22,315 --> 00:01:30,757
回転半径と回転数の表があって
1万1千回転だと1万g かかるようになっています
17
00:01:30,757 --> 00:01:34,461
スタートボタンを押します
18
00:01:34,494 --> 00:01:36,730
回転が始まる音がします
19
00:01:36,730 --> 00:01:41,901
回転数が1万1千 に達するまでは
そばから離れないようにします
20
00:01:41,901 --> 00:01:44,938
回転する音以外にも
21
00:01:44,938 --> 00:01:48,508
冷蔵機能付きの遠心機のため
22
00:01:48,508 --> 00:01:54,147
ガーッという音が鳴りますが
正常の範囲内の音です
23
00:01:54,147 --> 00:02:06,860
機械が揺れたり
まっすぐ回っていないような音がしたりすると危険です
24
00:02:06,860 --> 00:02:07,894
今回は 大丈夫ですね
25
00:02:10,563 --> 00:02:14,401
7千回転 8千回転と
(回転数が)徐々に上がっていきます
26
00:02:14,401 --> 00:02:20,674
ACCELとDECELは9という値が最大で
加速も減速も最大速度になっています
27
00:02:20,674 --> 00:02:25,11
(回転数) 1万8百 1万9百
28
00:02:25,11 --> 00:02:27,814
回転数が設定(1万1千)まで上がると
タイマーがスタートします
29
00:02:27,814 --> 00:02:29,215
今から5分間 回ります
30
00:02:29,215 --> 00:02:30,717
(遠心分離 終了!)
31
00:02:30,717 --> 00:02:32,986
(遠心分離 終了!)
蓋を開けます
32
00:02:32,986 --> 00:02:39,225
(遠沈管を冷やしながら
実験室に持ち帰ります)
33
00:02:39,225 --> 00:02:45,899
(白く沈殿しているものが
不溶化したアクトミオシンです)
(5)アクトミオシンの精製(透析)
水圏生化学実験(タンパク質)(5)アクトミオシンの精製(透析)
用語集
緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpHが大きく変化しない溶液
透析(とうせき):タンパク質などのコロイド粒子が半透膜を通過できないことを利用して不純物を除く操作
透析外液(とうせきがいえき):透析チューブを漬ける溶液
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:12,112
次に この沈殿物を
アクトミオシが溶ける高塩濃度緩衝液に溶かします
2
00:00:12,112 --> 00:00:14,814
2本の遠沈管に
3
00:00:14,814 --> 00:00:22,756
それぞれ高塩濃度緩衝液 5ml を加えます
4
00:00:22,756 --> 00:00:24,424
沈殿を溶かします
5
00:00:24,424 --> 00:00:24,491
沈殿を溶かします
6
00:00:24,491 --> 00:00:34,167
溶かす時は 駒込ピペットの先端で
沈殿をぐりぐりと崩します
7
00:00:34,934 --> 00:00:46,12
それから 駒込ピペットのゴム球を握ったり戻したりして
水流を起こして 沈殿を砕きます
8
00:00:46,12 --> 00:00:50,917
ただ その際に泡をなるべく
入れない(ように注意してください)
9
00:00:50,917 --> 00:00:55,755
泡を入れると
空気による酸化の変性が起こります
10
00:00:55,755 --> 00:01:01,461
(沈殿が)溶けた液について
今度は透析操作を行います
11
00:01:01,461 --> 00:01:08,702
沈殿は 0.15M KCl
加えた高塩濃度緩衝液は 0.6M KCl
12
00:01:08,702 --> 00:01:10,770
塩濃度が不定です
13
00:01:10,770 --> 00:01:15,809
どれくらいの量 高塩濃度緩衝液を加えたか
どれくらい沈殿ができたかによって
14
00:01:15,809 --> 00:01:17,477
塩濃度が一定しません
15
00:01:17,477 --> 00:01:20,447
これは今の実験に
支障をきたしますので
16
00:01:21,181 --> 00:01:25,552
所定の溶媒になるように
透析を行います
17
00:01:25,552 --> 00:01:33,426
半透膜でできたチューブの中に
タンパク質の溶液を入れて
18
00:01:33,426 --> 00:01:37,764
たくさんの透析外液の入った
ビーカーに入れておきます
19
00:01:37,797 --> 00:01:44,404
すると タンパク質などの高分子は
膜を透過しないので
20
00:01:44,404 --> 00:01:46,6
チューブの中に留まります
21
00:01:46,6 --> 00:01:52,512
水の分子や塩のイオンなどは
膜を自由に透過するので
22
00:01:52,512 --> 00:01:58,651
(最初) 試料の塩濃度と
透析外液の塩濃度は違っていましたが
23
00:01:58,651 --> 00:02:00,620
時間がたつと同じになってきます
24
00:02:00,620 --> 00:02:05,658
透析外液を何度も何度も
新しいものに交換していくと
25
00:02:05,658 --> 00:02:13,99
意図した透析外液の塩濃度に
試料の塩濃度を完全に合わせることができます
26
00:02:13,99 --> 00:02:16,169
通常は 何度も何度も
透析外液を交換するのですが
27
00:02:16,169 --> 00:02:22,609
(今回の実験では) 交換しません
透析をしながら 翌日まで置いて できあがりです
28
00:02:22,609 --> 00:02:23,877
透析の方法は
29
00:02:23,877 --> 00:02:30,884
ビーカーに0.6M KCl の
高塩濃度緩衝液500ml を入れておきます
30
00:02:30,884 --> 00:02:33,386
冷蔵庫で 一晩置いておくと
31
00:02:33,386 --> 00:02:38,391
塩濃度が 透析外液と揃って
透析は完了します
(6)アクトミオシン濃度の測定
水圏生化学実験(タンパク質)(6)アクトミオシン濃度の測定
用語集
アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
吸光度(きゅうこうど):溶液に吸収される光の量
検量線(けんりょうせん):得られたデータと目的とする量との対応を規定するグラフ
透析外液(とうせきがいえき):透析チューブを漬ける溶液
ビウレット法:タンパク質を検出する手法の1種
ブランク:評価する対象を抜いた試料
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:08,108
今日はまず タンパク質濃度を測ります
2
00:00:08,108 --> 00:00:13,113
どのくらいの量のアクトミオシンが
取れたかを把握します
3
00:00:13,113 --> 00:00:17,83
ビウレット法は 検量線を使って
4
00:00:17,83 --> 00:00:21,654
未知の試料のタンパク質濃度を求める
という操作になります
5
00:00:21,654 --> 00:00:26,926
まず透析している試料を 取り出します
6
00:00:26,926 --> 00:00:30,263
初めに遠沈管を
氷に刺して冷やしておき
7
00:00:30,263 --> 00:00:33,400
透析チューブの試料を絞り出します
8
00:00:33,466 --> 00:00:41,508
出したあと
透析外液が新たに中に入ってきて
9
00:00:41,508 --> 00:00:45,679
濃度の高いところと低いところとがあり
均一になっていません
10
00:00:45,679 --> 00:00:53,19
なので上下に振ったり回転させたりなど
泡が立たないように軽く混ぜて濃度を均一にします
11
00:00:54,988 --> 00:00:57,891
(遠沈管)は氷に刺して
置いておきます
12
00:00:57,891 --> 00:01:00,360
まず試験管を4本用意します
13
00:01:00,360 --> 00:01:05,398
きれいな乾いた試験管を用意し
ラベルを貼ります
14
00:01:05,398 --> 00:01:07,133
1本はブランクです
15
00:01:07,133 --> 00:01:17,143
残り3本で 3通りの希釈濃度の
アクトミオシン溶液を用意します
16
00:01:17,143 --> 00:01:28,21
1000μl のマイクロピペットを使って
(100、200、500μl ずつ)アクトミオシンの溶液を入れます
17
00:01:28,21 --> 00:01:34,127
次に高塩濃度緩衝液を入れます
(それぞれの試験管の全量を1000μl にします)
18
00:01:34,127 --> 00:01:39,65
ビウレット試薬を10ml のメスピペットに
19
00:01:39,65 --> 00:01:42,969
安全ピペッターを取り付けて
20
00:01:42,969 --> 00:01:46,673
4ml ずつ(加えて)いきます
21
00:01:46,673 --> 00:01:49,309
ビウレット試薬を 1本の試験管に加えるごとに
激しく攪拌します
22
00:01:49,309 --> 00:01:52,479
30分後に吸光度を測ります
23
00:01:52,479 --> 00:01:57,150
タンパク質濃度の低いもの 吸光度の低いものから
順番に測っていきます
24
00:01:57,150 --> 00:02:01,554
そこから
ブランクの吸光度を引き算して
25
00:02:01,554 --> 00:02:08,328
検量線からタンパク質濃度を求めます
26
00:02:08,328 --> 00:02:14,334
タンパク質濃度は (1本の試験管から1つ)
(合計で)3つ出ます
27
00:02:14,334 --> 00:02:17,303
3つは (希釈濃度に応じて10、5、2倍すれば)
本来 同じ(原液の)値になるはずです
28
00:02:17,337 --> 00:02:22,609
希釈の仕方が正確であれば
(希釈濃度に応じて計算すると) 3つとも同じ値になるはずです
29
00:02:24,10 --> 00:02:30,417
1つ外れた値がある これは明らかにおかしい
という値があれば除外して
30
00:02:30,417 --> 00:02:32,752
残りの2つの平均で行います
31
00:02:32,752 --> 00:02:38,992
どれも同じようにばらついて
どれが外れ値なのか分からない場合は
32
00:02:38,992 --> 00:02:44,30
3つの値を平均して
タンパク質濃度とします
33
00:02:44,30 --> 00:02:58,311
タンパク質濃度というのは50ml の遠沈管から抜き出した
アクトミオシンの原液の濃度ということになります
(7)超沈殿の観察(説明)
水圏生化学実験(タンパク質)(7)超沈殿の観察(説明)
用語集
ADP(エーディーピー):アデノシン二リン酸
ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
Z線(ゼットせん):横紋筋のサルコメアを仕切る盤状の構造
アクチン:アクチンフィラメントを形作るタンパク質
アクチンフィラメント:タンパク質の複合体
アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
ウラン:ウラニウム、原子番号92の元素
加水分解(かすいぶんかい):反応物に水が反応し、分解生成物が得られる反応
光学顕微鏡(こうがくけんびきょう):可視光線を利用する顕微鏡
酵素(こうそ):タンパク質性の触媒
酢酸ウラン:酢酸ウラニル、ネガティブ染色法に使用される
サルコメア:筋原線維の構造および筋収縮の単位
重金属(じゅうきんぞく):比重が4以上の金属元素
超沈殿(ちょうちんでん):アクトミオシンに、ATPを加えると収縮して生じる特異な沈殿
電子線(でんしせん):電子ビーム、ある方向に向かう電子の流れ
透過型電子顕微鏡(とうかがたでんしけんびきょう):観察対象に電子線をあて、透過してきた電子線の強弱から観察する電子顕微鏡
トロポニン:トロポニンT、I、Cの複合体
トロポミオシン:アクチン結合タンパク質
ニトロセルロース:セルロースの硝酸エステル
ネガティブ染色法:試料の周辺を染色することによって観察する手法
ミオシンフィラメント:ミオシンが繊維状に結合したもの
ミオシン:タンパク質の1種
リン酸:リンのオキソ酸の1種
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:12,45
皆さんが作るアクトミオシンは
非常に巨大な分子になります
2
00:00:12,45 --> 00:00:17,751
溶液になっていて溶けていますが
分子がすごく大きいので
3
00:00:17,751 --> 00:00:21,654
電子顕微鏡で見ると
観察することができます
4
00:00:21,654 --> 00:00:41,7
こちらの左側の写真は
観察倍率2万倍で
5
00:00:41,7 --> 00:00:47,447
作ったアクトミオシンを染色して
電子顕微鏡で観察したものです
6
00:00:47,447 --> 00:00:51,451
透過型電子顕微鏡なのですが
7
00:00:51,451 --> 00:00:54,688
光学顕微鏡と違って
8
00:00:54,688 --> 00:01:02,495
像のコントラストは
電子線の通りやすさで付きます
9
00:01:02,495 --> 00:01:08,668
電子線が通りにくい所は色が濃く見えて
通りやすい所は明るく見える
10
00:01:08,668 --> 00:01:15,742
染色するときに
電子を通しにくいような染色剤を使います
11
00:01:15,742 --> 00:01:21,614
この場合は重金属 ウラン
酢酸ウランという試薬を使って
12
00:01:21,614 --> 00:01:29,889
まず ニトロセルロースの薄い膜に溶液を垂らして
13
00:01:29,889 --> 00:01:36,496
そこに酢酸ウランの溶液を垂らして乾燥する
14
00:01:36,496 --> 00:01:43,303
するとタンパク質の分子があって
分子そのものはウランでは染まらないのですが
15
00:01:43,303 --> 00:01:47,774
(タンパク質の)周辺にウランの溶液がたまります
16
00:01:47,774 --> 00:01:52,312
そして乾燥したものを
透過型電子顕微鏡で観察すると
17
00:01:52,312 --> 00:01:55,315
タンパク質分子は白く抜けて見えますが
18
00:01:55,315 --> 00:02:00,320
その周辺が暗くなって
タンパク質分子の形が見えるという
19
00:02:00,320 --> 00:02:03,23
ネガティブ染色法というのですが
20
00:02:03,23 --> 00:02:07,494
そのようにしてアクトミオシンの観察ができます
21
00:02:07,494 --> 00:02:14,367
長さは1.2μm
光学顕微鏡でも見える長さです
22
00:02:14,367 --> 00:02:20,106
これをさらに拡大してみると
このようになります
23
00:02:20,106 --> 00:02:24,477
この1本1本が
アクトミオシンの分子です
24
00:02:24,477 --> 00:02:30,417
これを見ると 突起のようなものがたくさん出ています
25
00:02:30,417 --> 00:02:35,88
この突起は ミオシン分子です
26
00:02:35,88 --> 00:02:39,659
アクトミオシンはどのようなものかというと
27
00:02:39,659 --> 00:02:45,532
まず アクチンフィラメントが
アクトミオシンの中に存在しています
28
00:02:45,532 --> 00:02:50,303
アクチンフィラメントというのは
アクチンが100% でできているのではなくて
29
00:02:50,303 --> 00:02:55,408
アクチンは この球状のタンパク質で
30
00:02:55,408 --> 00:03:01,381
それが数珠つなぎになって
二重らせんを描いて長くなっているのですが
31
00:03:01,381 --> 00:03:07,253
その上にトロポミオシンやトロポニンという
タンパク質が結合しています
32
00:03:07,253 --> 00:03:13,193
こういう物にさらにミオシン分子
33
00:03:13,193 --> 00:03:16,196
こういう分子量50万ほどの
34
00:03:16,196 --> 00:03:21,568
ミオシン分子が頭部で
アクチンにたくさん結合している
35
00:03:21,568 --> 00:03:24,270
これがアクトミオシンです
36
00:03:24,270 --> 00:03:31,811
なので 先ほどの図にあった突起の部分は
ミオシン分子です
37
00:03:31,811 --> 00:03:36,316
この突起をよく見てみると
38
00:03:36,316 --> 00:03:41,187
(図に)「矢尻構造」と書いてありますが
39
00:03:41,187 --> 00:03:50,897
突起の付いている向きが
一定方向なのが分かります
40
00:03:50,897 --> 00:04:04,611
このような方向で突起が付いています
41
00:04:04,611 --> 00:04:13,386
こちらは逆にこのように付いています
42
00:04:13,386 --> 00:04:18,625
これは何故かというと
アクチンフィラメントに結合するミオシン分子の向きが
43
00:04:18,625 --> 00:04:22,862
それぞれのフィラメントで
一定になっているからです
44
00:04:22,862 --> 00:04:29,369
これは アクチンフィラメントに
方向性があるということです
45
00:04:29,369 --> 00:04:34,274
元々筋肉の中ではこういう
サルコメア構造をとっています
46
00:04:34,274 --> 00:04:39,612
この突起の向きは
この図のように対応している
47
00:04:39,612 --> 00:04:45,185
つまり矢印の方向
48
00:04:45,185 --> 00:04:53,93
例えば これは
こちらの方向になっているのですが
49
00:04:53,93 --> 00:05:02,936
この矢印の方向は このようになりますね
50
00:05:02,936 --> 00:05:26,259
つまり このアクチンフィラメントは
こちら側がZ線だったということになります
51
00:05:26,259 --> 00:05:33,733
筋肉が縮むときは
Z線の方がたぐり寄せられるように移動するので
52
00:05:33,733 --> 00:05:37,937
ちょうどこの矢印の向きに
53
00:05:37,937 --> 00:05:45,645
ミオシンフィラメントがアクチンフィラメントを
たぐり寄せて収縮します
54
00:05:45,645 --> 00:05:52,385
こういう物が
皆さんの作ったアクトミオシンですが
55
00:05:52,385 --> 00:05:56,122
これにATPを加えてみるというのが
56
00:05:56,122 --> 00:05:58,958
今日の超沈殿の観察となります
57
00:05:58,958 --> 00:06:03,163
(アクトミオシンに) ATPを加えたときに
どんなことが起こるのかということですが
58
00:06:03,163 --> 00:06:07,267
筋収縮と同じような現象が起こる
と言われています
59
00:06:07,267 --> 00:06:10,770
アクチンフィラメントにミオシンが
結合している状態というのは
60
00:06:10,770 --> 00:06:14,774
結構がっちりと
結合した状態になっています
61
00:06:14,774 --> 00:06:17,310
ここにATPを入れると
62
00:06:17,310 --> 00:06:21,147
ATPは ミオシンの頭部に結合するのですが
63
00:06:21,147 --> 00:06:25,452
すると ミオシンの頭部が
アクチンから離れてしまいます
64
00:06:25,452 --> 00:06:29,289
離れるのですが
ATPはまだそのままで
65
00:06:29,289 --> 00:06:36,763
頭部でATPが ADPとリン酸に
酵素的に加水分解されます
66
00:06:36,763 --> 00:06:41,701
加水分解されても
まだADPとリン酸は頭部にくっついたままです
67
00:06:41,701 --> 00:06:46,740
この状態のままで
アクチンと結合できます
68
00:06:46,740 --> 00:06:49,409
ATPが結合すると離れるのですが
69
00:06:49,409 --> 00:06:53,113
ATPが分解されると アクチンに結合できる
70
00:06:53,113 --> 00:06:57,650
しかし 結合する場所を見ると
71
00:06:57,650 --> 00:07:01,788
最初に結合していた場所と
違う所に結合しています
72
00:07:01,788 --> 00:07:09,763
次に この頭部が
首を振るように角度を変えます
73
00:07:09,763 --> 00:07:14,768
すると リン酸とADPが
ここから放出される
74
00:07:14,768 --> 00:07:20,774
放出されると
最初と同じ状態になります
75
00:07:20,774 --> 00:07:25,111
また次のATPが来ると
同じことがどんどん繰り返されていく
76
00:07:25,111 --> 00:07:28,782
どんどんATPを分解しながら
77
00:07:28,782 --> 00:07:31,651
ミオシンの頭部は首を振りながら
78
00:07:31,651 --> 00:07:36,222
アクチンの違う場所に移動して
引き寄せてということを繰り返して
79
00:07:36,222 --> 00:07:40,193
筋収縮を起こすと
考えられています
80
00:07:40,193 --> 00:07:45,465
これは色々な説があって
81
00:07:45,465 --> 00:07:48,501
例えば この図では
82
00:07:48,501 --> 00:07:53,807
一度離れて また結合するところが
隣のアクチンに結合していますが
83
00:07:53,807 --> 00:07:55,909
必ずしもそうではなくて
84
00:07:55,909 --> 00:08:00,13
かなり離れたところに
結合するという説もありますし
85
00:08:00,13 --> 00:08:03,450
少し戻ることもある
という説もあって
86
00:08:03,450 --> 00:08:07,754
本当に 首振り運動をしているのか
ということは
87
00:08:07,754 --> 00:08:10,90
まだ完全には
解明されていないのですが
88
00:08:10,90 --> 00:08:14,661
基本的には
このような仕組みと考えられています
89
00:08:14,661 --> 00:08:17,664
皆さんのアクトミオシンは
この状態です
90
00:08:17,664 --> 00:08:21,101
ここにATPを入れると
ぱっと離れます
91
00:08:21,101 --> 00:08:26,6
離れるのですが
離れるとミオシン分子
92
00:08:26,6 --> 00:08:29,309
こういう形のものが自由になります
93
00:08:29,309 --> 00:08:31,244
(ミオシン分子が)
溶媒の中に分散する
94
00:08:31,244 --> 00:08:33,346
(溶媒は)低塩濃度になっています
95
00:08:33,346 --> 00:08:35,348
(溶媒が)低塩濃度になっていると
96
00:08:35,348 --> 00:08:39,853
ミオシン分子は
尾部の部分がお互いに引き合って
97
00:08:39,853 --> 00:08:45,625
結合して
ミオシンフィラメントという束を作ります
98
00:08:45,625 --> 00:08:52,465
束を作ったうえで 頭部の部分が
(たぐり寄せる)反応を続けます
99
00:08:52,465 --> 00:08:55,568
ということは
アクチンフィラメント
100
00:08:55,568 --> 00:09:00,807
これはずっとミオシンが離れずに
この構造のままですから
101
00:09:00,807 --> 00:09:02,208
ミオシンフィラメントが
102
00:09:02,208 --> 00:09:07,914
アクチンフィラメントをたぐり寄せるように
滑っていくということになります
103
00:09:07,914 --> 00:09:13,653
アクチンフィラメントはものすごく長い
1μm くらいあって
104
00:09:13,653 --> 00:09:16,156
それがたぐり寄せられて
105
00:09:16,156 --> 00:09:18,158
そのアクチンフィラメントには
106
00:09:18,158 --> 00:09:21,661
また別のミオシンフィラメントが結合していて
また同じことを繰り返します
107
00:09:21,661 --> 00:09:26,366
(最初は)やや不溶化したような
濁った液のような状態なのですけども
108
00:09:26,366 --> 00:09:31,638
(ATPを入れると) その濁り自体が縮んでいくような
現象が観察されます
109
00:09:31,638 --> 00:09:34,641
それが超沈殿ということになります
110
00:09:34,641 --> 00:09:39,279
(超沈殿は) 条件によって
うまくできたり できなかったりします
111
00:09:39,279 --> 00:09:48,288
2、3分ではっきり観察できる人もいれば
15分くらいかかる人もいます
112
00:09:48,288 --> 00:09:51,791
全く 超沈殿を観察できない
という人もいます
113
00:09:51,791 --> 00:09:56,629
例えば (溶媒の)塩濃度が0.1M KCl
ではなかったりすると
114
00:09:56,629 --> 00:09:59,632
超沈殿が 起こらなくなります
115
00:09:59,632 --> 00:10:05,105
それからタンパク質の濃度も
高い方がうまくいきます
116
00:10:05,105 --> 00:10:11,644
濃度が低い人は
うまく超沈殿が観察できないこともあります
117
00:10:11,644 --> 00:10:22,622
不溶性を満たす条件で こういう反応が出るので
再現性が良くないところが 難しい所になります
118
00:10:22,622 --> 00:10:28,995
試してみて観察記録をつける というのが
今日の講義です
(8)超沈殿の観察(実施)
水圏生化学実験(タンパク質)(8)超沈殿の観察(実施)
用語集
ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
KCl(ケーシーエル):塩化カリウム
M(モーラー):mol/L
アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpHが大きく変化しない溶液
コントロール:対照群
プランジャー:スライド時の位置決め用の部品
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:10,243
こちらは 2本の試験管を用意します
2
00:00:10,243 --> 00:00:19,886
試験管に「コントロール」と「ATP」の
2つのラベルを貼ります
3
00:00:19,886 --> 00:00:28,128
そこに50ml の遠沈管に取り出した
アクトミオシンの原液を500μl とって
4
00:00:28,128 --> 00:00:32,198
高塩濃度緩衝液を 500μl 加えます
5
00:00:32,198 --> 00:00:37,904
すると 濃度が半分になる溶液が
1ml できます
6
00:00:37,904 --> 00:00:49,883
そこに室温の純水をマイクロピペットで
1ml 加えては試験管を軽く振る
7
00:00:49,883 --> 00:00:53,620
また1ml 加えては軽く振ることを繰り返して
8
00:00:53,620 --> 00:00:56,89
合計5ml 加えます
9
00:00:56,89 --> 00:00:58,291
少しずつ塩濃度を下げていく
10
00:00:58,291 --> 00:01:00,960
一気に5ml 加えるのではなく
11
00:01:00,960 --> 00:01:04,164
1ml 加えては攪拌
1ml 加えては攪拌
12
00:01:04,164 --> 00:01:11,705
そうすると 合計の体積が6ml ですが
13
00:01:11,705 --> 00:01:15,75
KClの濃度は0.1M(モーラー)になります
14
00:01:15,75 --> 00:01:20,814
アクトミオシンは本来
不溶性となる塩濃度となります
15
00:01:20,814 --> 00:01:27,721
その状態で置いておくと
不溶性ですから だんだん底に沈殿してしまいます
16
00:01:27,721 --> 00:01:31,291
(すると) 超沈殿が
観察できなくなりますので
17
00:01:31,291 --> 00:01:39,699
6ml 入れたらすぐ
プリントの3番をやってください
18
00:01:39,699 --> 00:01:43,203
ここでプリントの訂正があります
19
00:01:43,203 --> 00:01:49,843
「コントロール」に純水を30μl
これを60μl にします
20
00:01:49,843 --> 00:01:56,249
それから「ATP添加」に
0.2M ATPを30μl とありますけど
21
00:01:56,249 --> 00:02:01,721
これが0.1M ATPを60μl
に変更します
22
00:02:01,721 --> 00:02:06,593
60μl といったら 1滴よりは多いですが
結構少ない量です
23
00:02:06,593 --> 00:02:10,730
なので 試験管の上の方から入れると
24
00:02:10,730 --> 00:02:15,168
試験管の内壁にくっついて
溶液の中に入らないことがあります
25
00:02:15,168 --> 00:02:17,470
確実に入れるために
26
00:02:17,470 --> 00:02:19,105
(純水や)ATPの溶液は
27
00:02:19,105 --> 00:02:25,211
チップの先端を液面より中まで入れて
28
00:02:25,211 --> 00:02:28,748
そしてプランジャーを押して 押し出す
29
00:02:28,748 --> 00:02:37,323
入れたら 試験管を強めに振ります
30
00:02:37,323 --> 00:02:40,827
振ったら 試験管立てに置く
31
00:02:40,827 --> 00:02:43,229
そこから先は動かさない
32
00:02:43,229 --> 00:02:46,366
動かさないで
そこから時間を測って
33
00:02:46,366 --> 00:02:53,540
何分後に どちらの試験管にどういう変化が起こったのか
ということを記録してください
34
00:02:53,540 --> 00:02:59,79
試験管内での筋収縮という風に
呼ばれているのですが
35
00:02:59,79 --> 00:03:02,515
不溶化した沈殿ができるのですが
36
00:03:02,515 --> 00:03:07,654
その沈殿が収縮していく
動いていくという現象が見られます
(9)筋肉の収縮と弛緩のしくみ
水圏生化学実験(タンパク質)(9)筋肉の収縮と弛緩のしくみ
用語集
ADP(エーディーピー):アデノシン二リン酸
ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
ATPase(エーティーピーアーゼ):ATPを分解する酵素
アクチン:アクチンフィラメントを形作るタンパク質
アクチンフィラメント:タンパク質の複合体
アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
カルシウムイオン:カルシウム原子がプラスの電荷を帯びたもの
カルシウムポンプ:カルシウムイオンをATP由来のエネルギーを利用して運搬するタンパク質
カルモジュリン:カルシウム結合タンパク質の1種
筋小胞体(きんしょうほうたい):筋原線維の周囲に発達している小胞
筋繊維(きんせんい):筋細胞のこと、筋肉を構成する線維状の細胞
軽鎖(けいさ):タンパク質が大小2つの基本単位で構成されている場合の分子量の小さい方
細胞質(さいぼうしつ):原形質のうち核質以外の部分
トロポニン:トロポニンT、I、Cの複合体
トロポニンC:トロポニンを構成するサブユニット、カルシウムイオンと結合する
トロポニンI:トロポニンを構成するサブユニット
トロポニンT:トロポニンを構成するサブユニット
トロポミオシン:アクチン結合タンパク質
ミオシン:タンパク質の1種
ミオシンフィラメント:ミオシンが繊維状に結合したもの
リン酸:リンのオキソ酸の1種
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:16,483
ATPの分解は 生体内では
アクチンフィラメントをたぐり寄せながら行われますが
2
00:00:16,483 --> 00:00:20,53
超沈殿が起こるとき
ATPを分解しながら
3
00:00:20,53 --> 00:00:23,590
どんなことが起こるのかを
説明します
4
00:00:23,590 --> 00:00:33,433
この反応はATPとアクチンで起こる
サイクル反応ですが
5
00:00:33,433 --> 00:00:35,935
生体内の筋肉の中で
6
00:00:35,935 --> 00:00:41,508
ATPは 細胞の中に
常に一定の濃度で存在しています
7
00:00:41,508 --> 00:00:45,478
ATPが消費されたら
解糖系などの様々なところ
8
00:00:45,478 --> 00:00:49,382
リン酸を保存している所から
ATPが再生されて
9
00:00:49,382 --> 00:00:51,751
常に一定の濃度になるように
存在しています
10
00:00:51,751 --> 00:00:56,56
アクチンもミオシンも
筋肉の中にあるとなると
11
00:00:56,56 --> 00:01:01,94
この反応が常時動いたまま
つまり このサイクルが回ったままになり
12
00:01:01,94 --> 00:01:05,932
筋肉は常に収縮した状態に
なってしまいます
13
00:01:05,932 --> 00:01:09,936
それでは困るので
どうなっているかというと
14
00:01:09,936 --> 00:01:14,140
筋細胞に刺激が伝達された時だけ
この反応が起こって
15
00:01:14,140 --> 00:01:19,913
伝達されないときは この反応が起こらないように
制御されています
16
00:01:19,913 --> 00:01:24,117
それに関わるのが
カルシウムイオンです
17
00:01:24,117 --> 00:01:27,754
皆さんのアクトミオシンにも
含まれていますが
18
00:01:27,754 --> 00:01:30,557
アクチンフィラメントの構造を見ると
19
00:01:30,557 --> 00:01:35,295
トロポミオシンや
トロポニンというタンパク質があります
20
00:01:35,295 --> 00:01:40,767
これが カルシウムイオンによる調節に関わっている
タンパク質です
21
00:01:40,767 --> 00:01:47,707
神経から筋細胞 即ち筋繊維に
刺激が到達すると
22
00:01:47,707 --> 00:01:54,914
その刺激が 細胞の膜系を通って
筋小胞体にまで伝達されます
23
00:01:54,914 --> 00:02:02,255
筋小胞体には
細胞質中のカルシウムイオンを くみ上げて貯蔵する
24
00:02:02,255 --> 00:02:05,959
カルシウムポンプというものがあり
それが常時働いています
25
00:02:05,959 --> 00:02:10,630
筋小胞体の中は
カルシウムイオン濃度が高くなっていますが
26
00:02:10,630 --> 00:02:15,435
小胞体の外側は カルシウムイオンがほとんどない
という状態に保たれています
27
00:02:15,435 --> 00:02:22,475
筋細胞に刺激が伝達されると
その筋小胞体にあるカルシウムイオンチャネルが開く
28
00:02:22,475 --> 00:02:29,849
すると 小胞体から
アクチンフィラメントやミオシンフィラメントがあるところに
29
00:02:29,849 --> 00:02:31,885
カルシウムイオンが放出されます
30
00:02:31,885 --> 00:02:33,653
そのカルシウムイオンが
31
00:02:33,653 --> 00:02:35,255
トロポニンCに結合します
32
00:02:35,255 --> 00:02:38,491
トロポニンCのCは
カルシウムのCです
33
00:02:38,491 --> 00:02:40,960
ここにカルシウムイオンが結合すると
34
00:02:40,960 --> 00:02:45,298
トロポニンCは
とても大きな立体構造の変化をします
35
00:02:45,298 --> 00:02:54,74
その情報が 隣にくっついているトロポニンIやトロポニンT
さらにトロポミオシンに伝達されます
36
00:02:54,74 --> 00:02:59,646
アクチンの上に トロポミオシンが
横たわるように結合しています
37
00:02:59,646 --> 00:03:02,148
(トロポミオシン)が
少し位置を変えます
38
00:03:02,148 --> 00:03:07,520
すると アクチン分子上のミオシンと接合します
39
00:03:07,520 --> 00:03:12,759
ミオシンはアクチンの
特定の場所に結合します
40
00:03:12,759 --> 00:03:15,462
(アクチンの)特定の場所が
表面に出てくる
41
00:03:15,462 --> 00:03:19,332
それによって
③ ④の反応が可能になります
42
00:03:19,332 --> 00:03:22,736
②で(ミオシンは)
アクチンから離れますが またくっつく
43
00:03:22,736 --> 00:03:27,974
くっつくことによって ADPとリン酸が分離(③)されて
サイクルが回ります
44
00:03:27,974 --> 00:03:32,479
アクチンとミオシンが
くっつくことができなければ
45
00:03:32,479 --> 00:03:36,649
①~④のサイクルが回らず
筋肉は収縮しません
46
00:03:36,649 --> 00:03:40,487
刺激が無いときは
トロポミオシンが
47
00:03:40,487 --> 00:03:43,523
アクチン上のミオシンの頭部が
結合する部位を
48
00:03:43,523 --> 00:03:47,427
邪魔して
結合が起こらないようにしています
49
00:03:47,427 --> 00:03:50,864
カルシウムが
トロポニンCと結合すると
50
00:03:50,864 --> 00:03:55,969
トロポミオシンが
移動して収縮が起こります
51
00:03:55,969 --> 00:04:02,442
刺激が止み
収縮の必要がなくなると
52
00:04:02,442 --> 00:04:07,914
常時働いている
筋小胞体の膜にあるカルシウムポンプが
53
00:04:07,914 --> 00:04:14,320
周りを漂っていたカルシウムイオンを
どんどん小胞体の中に汲み上げていきます
54
00:04:14,320 --> 00:04:17,90
そのためカルシウムイオンの濃度が
どんどん下がっていきます
55
00:04:17,90 --> 00:04:22,562
濃度が下がっていくと
トロポニンCに結合していたカルシウムイオンも解離して
56
00:04:22,595 --> 00:04:27,500
また立体構造が変化して
刺激が無いときの状態に戻ります
57
00:04:28,1 --> 00:04:31,604
アクチンとミオシンの結合を
トロポミオシンが邪魔して
58
00:04:31,604 --> 00:04:36,242
筋肉の収縮が
止むことになります
59
00:04:36,242 --> 00:04:41,214
アクチンフィラメントとミオシンは
60
00:04:41,214 --> 00:04:44,484
こういう構造を
皆さんの溶媒の中でも保っています
61
00:04:44,484 --> 00:04:48,722
アクトミオシンに
トロポニンやトロポミオシンがついています
62
00:04:48,722 --> 00:04:52,258
ですので 溶媒の中に
63
00:04:52,258 --> 00:04:56,96
カルシウムイオンを
入れたり入れなかったりすると
64
00:04:56,96 --> 00:04:59,632
ATPを入れたときに
起こる②~④の反応も
65
00:04:59,632 --> 00:05:02,635
起こったり
起こらなかったりするはずです
66
00:05:02,635 --> 00:05:07,674
ATPが分解されて
ADPとリン酸が放出されるためには
67
00:05:07,674 --> 00:05:10,777
アクチンとミオシンを
結合しなければならないので
68
00:05:10,777 --> 00:05:17,83
カルシウムが無いときは結合できないので
リン酸(Pi)の遊離がない
69
00:05:17,83 --> 00:05:24,324
カルシウムがあるときは結合できるので
リン酸が遊離してサイクルがまわることを学ぶので
70
00:05:24,391 --> 00:05:29,829
ATPase活性を 皆さんは
カルシウムのある条件 ない条件
71
00:05:29,829 --> 00:05:35,68
2通りで測って 結果を比較してもらうというのが
(ATPase活性測定)の実験です
72
00:05:35,68 --> 00:05:39,873
この カルシウムによる筋肉の収縮調節というのは
73
00:05:39,873 --> 00:05:44,978
筋肉の種類や動物の種類で
だいぶ違います
74
00:05:44,978 --> 00:05:52,118
同じ脊椎動物でも 横紋筋は
トロポニンによって収縮調整されていますが
75
00:05:52,118 --> 00:05:54,354
平滑筋は全く違います
76
00:05:54,354 --> 00:05:58,825
カルシウムが結合するのは
トロポニンCではなく カルモジュリン
77
00:05:58,825 --> 00:06:01,928
別のカルシウム結合タンパク質になります
78
00:06:01,928 --> 00:06:07,801
また 同じ横紋筋でも無脊椎動物
軟体動物などは
79
00:06:07,801 --> 00:06:19,412
カルシウムは トロポニンCにも結合しますが
ミオシンのアルカリ軽鎖にも結合します
80
00:06:19,412 --> 00:06:24,351
それによって アクチンとの結合が
促されて収縮が起こります
81
00:06:24,351 --> 00:06:28,555
このように
動物の種類によっても異なっています
(10)ATPace活性の測定
水圏生化学実験(タンパク質)(10)ATPace活性の測定
用語集
ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
ATPase(エーティーピーアーゼ):ATPを分解する酵素
M(モーラー):mol/L
アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
吸光度(きゅうこうど):溶液に吸収される光の量
パラフィルム:プラスチックパラフィンフィルム
反応混液(はんのうこんえき):混合物の溶液
ブランク:評価する対象を抜いた試料
分光光度計(ぶんこうこうどけい):溶液の吸収スペクトルを測定し定量分析を行う機器
リン酸:リンのオキソ酸の1種
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:14,247
今回は アクトミオシンの
Mg-ATPase活性の測定を行います
2
00:00:14,247 --> 00:00:19,252
これは アクトミオシンの状態が
きちんとしているかどうか
3
00:00:19,252 --> 00:00:25,225
ちゃんと活性を保っているかどうか
失活していないかどうかの指標になります
4
00:00:25,392 --> 00:00:30,230
この測定は条件を変えて行うのですが
5
00:00:30,230 --> 00:00:36,269
これは 生体内で筋肉が
収縮したり 弛緩したりする
6
00:00:36,302 --> 00:00:42,876
神経による制御と関連があります
7
00:00:42,876 --> 00:00:46,746
(アクトミオシンによって)
1分子のATPは
8
00:00:46,746 --> 00:00:57,257
1分子のADPとリン酸に
加水分解されます
9
00:00:57,257 --> 00:01:04,664
アクトミオシン溶液に
ATPを加えて
10
00:01:04,664 --> 00:01:12,739
その溶液の中のATPの濃度が
時間とともにどのように下がっていくか
11
00:01:12,739 --> 00:01:18,545
それを測定できれば
ATPase活性が算出できるのですが
12
00:01:18,545 --> 00:01:25,618
ATPの濃度を測定するというのは
割と難しいので
13
00:01:25,618 --> 00:01:29,456
一番簡単で
やりやすい方法は
14
00:01:29,456 --> 00:01:35,161
1分子のATPから1分子のリン酸が出ますので
リン酸を見ます
15
00:01:35,161 --> 00:01:42,669
反応液の中で 時間とともに
リン酸の濃度が どのように上昇していくのか
16
00:01:42,669 --> 00:01:51,77
追跡することで ATPがどれだけ分解されているのか
見極めるという方法が一般的です
17
00:01:51,77 --> 00:01:55,382
アクトミオシンの溶液は
氷冷した試験管に希釈します
18
00:01:55,382 --> 00:02:04,257
ビウレット法で求めたタンパク質濃度に基づいて
(緩衝液を入れる量を) 計算してください
19
00:02:04,257 --> 00:02:14,267
きれいな試験管に
0.75mg/ml のアクトミオシン溶液1ml を調合します
20
00:02:14,267 --> 00:02:23,410
どのように混ぜたらよいか計算して
氷で冷やした試験管の中に
21
00:02:23,410 --> 00:02:28,948
0.75mg/ml のアクトミオシン 1ml を
作ってください
22
00:02:30,650 --> 00:02:37,524
次に 調合した反応混液
(+Ca 4.3ml と -Ca 4.3ml) を使用します
23
00:02:37,524 --> 00:02:44,531
(そしてそれぞれに)
0.75mg/ml に希釈したアクトミオシンを
24
00:02:44,531 --> 00:02:51,504
0.2ml (200μl) ずつ
マイクロピペットで (反応混液に)加えます
25
00:02:51,504 --> 00:02:54,808
すると 体積が4.5ml になります
26
00:02:54,808 --> 00:03:04,184
加えたら アクトミオシンが均一になるように
泡を立てないようにしっかり混ぜてください
27
00:03:04,184 --> 00:03:10,790
恒温水槽(25℃) の所に
2本の試験管を同時に入れます
28
00:03:10,790 --> 00:03:17,697
25℃ というのは 反応させる温度で
ATPを分解させる温度です
29
00:03:17,697 --> 00:03:23,336
後で そこにATP溶液を加えて
反応を起こさせるので
30
00:03:23,336 --> 00:03:35,115
ATPの溶液も25℃ の恒温水槽の中に入れて
温めておきます
31
00:03:35,115 --> 00:03:45,458
5分間 置いて アクトミオシンの +Caと -Caの溶液と
ATPの溶液を25℃ に温めます
32
00:03:45,458 --> 00:03:54,534
25℃ になったATPを マイクロピペットで
0.5ml(500μl)取って
33
00:03:54,534 --> 00:03:59,739
+Caの方の試験管に吹き込みます
34
00:03:59,739 --> 00:04:05,812
入れたらその瞬間に
もう1人がストップウォッチを押します
35
00:04:05,812 --> 00:04:12,385
ストップウォッチを押すと同時に
ATPを入れた人は試験管を振ります
36
00:04:12,385 --> 00:04:19,659
泡立てないように 強めに振ります
振ったらすぐ 25℃ の水槽に戻します
37
00:04:19,659 --> 00:04:28,168
次に 1分になる時点で
-Caの方に 同じようにATPを入れます
38
00:04:28,168 --> 00:04:40,580
時計が1分を示す瞬間に吹き込んで混ぜたら
恒温水槽の中に試験管を入れます
39
00:04:40,580 --> 00:04:43,283
次に 2分でする操作に移ります
40
00:04:43,283 --> 00:04:52,692
2分以降は ATPを加えた+Ca、-Caの
反応している液から
41
00:04:52,692 --> 00:04:56,196
反応停止液に取るという操作になります
42
00:04:56,896 --> 00:05:09,743
2分になる前に チップを付けて準備して
+Caの溶液から1000μl 吸引します
43
00:05:09,743 --> 00:05:19,753
そして2分になる瞬間に
+Ca2分とラベリングしてある試験管に吹き込みます
44
00:05:19,753 --> 00:05:24,524
吹き込んだら
変性させて反応を止めますので
45
00:05:24,524 --> 00:05:29,696
激しく 泡立てないように振ります
そしてまた 氷冷します
46
00:05:31,498 --> 00:05:40,173
3分になるときに -Caも 同じ手順で行います
47
00:05:40,173 --> 00:05:47,747
同じく 4分になるときに +Caを
5分になるときに -Ca を操作します
48
00:05:47,747 --> 00:05:57,190
そうすると +Caも-Caも25℃ で
ATPとともにインキュベートして
49
00:05:57,190 --> 00:06:04,397
その後 2分で反応を止めたもの
4分で反応を止めたものという
50
00:06:04,397 --> 00:06:07,834
4本の試験管が氷の上にできることとなります
51
00:06:07,934 --> 00:06:17,944
次に そこにクエン酸を入れます
1M のクエン酸を全ての試験管に 500μl ずつ入れます
52
00:06:17,944 --> 00:06:20,380
入れる順番やタイミングはどうでもいいです
53
00:06:20,380 --> 00:06:23,216
入れたら激しく混ぜて
また氷冷します
54
00:06:23,216 --> 00:06:32,125
次に試験管に水などが入らないように
試験管の口にパラフィルムでシールします
55
00:06:32,158 --> 00:06:39,599
そして今度は
一番右側の恒温水槽(30℃)を予約します
56
00:06:39,599 --> 00:06:49,175
各班に4本ある
反応が止まり クエン酸を加えた試験管ですが
57
00:06:49,175 --> 00:06:55,815
入れる直前に
もう一度よく振ってください
58
00:06:55,815 --> 00:07:02,222
すると (20分後)リン酸の濃度に応じて
緑色に発色してきます
59
00:07:02,222 --> 00:07:07,27
黄色が リン酸の濃度に応じて
緑色に変化します
60
00:07:07,27 --> 00:07:15,969
その緑色の濃さを 630nm の吸光度を
測定することによって 求めます
61
00:07:15,969 --> 00:07:22,842
30℃ で20分インキュベートした後
分光光度計ですぐ吸光度を測った方がいいです
62
00:07:22,842 --> 00:07:25,945
吸光度は4つ測ります
63
00:07:25,945 --> 00:07:30,350
今日の吸光度測定では
ブランクは グラフを作って求めます
64
00:07:30,350 --> 00:07:47,867
その方法は 吸光度(縦軸)と反応時間(横軸)の
グラフを作成し y切片の値をブランクとします
65
00:07:47,867 --> 00:07:51,571
時間とともに吸光度が増えていくはずです
66
00:07:51,571 --> 00:07:55,475
この2点を直線で結びます
67
00:07:55,475 --> 00:07:59,546
y切片 これがブランクです
68
00:08:01,81 --> 00:08:19,232
1つのグラフに
+Caと -Caの2つを記入します
69
00:08:19,232 --> 00:08:27,440
カルシウムのあるときと ないときで
アクトミオシンのATP分解に 差が出ます
70
00:08:27,440 --> 00:08:30,977
その後 これを計算して
71
00:08:30,977 --> 00:08:37,417
時間あたり アクトミオシンの単位重量あたり
ATPが何mol 分解されたか
72
00:08:37,417 --> 00:08:39,686
それを求めるのですが
73
00:08:39,686 --> 00:08:50,830
そのプロセスについては 明日公開しますので
各自でその計算をしてください
74
00:08:50,830 --> 00:08:53,299
するのが課題の1つになります
(11)陰イオン交換クロマトグラフィー(解説)
水圏生化学実験(タンパク質)(11)陰イオン交換クロマトグラフィー(解説)
用語集
DEAE(ディーイーエーイー):ジエチルアミノエチル
KCl(ケーシーエル):塩化カリウム
M(モーラー):mol/L
Q-Sepharose(キューセファロース):アガロースビーズを担体とした強イオン交換担体
Quaternary ammonium(クォーテナリーアンモニウム):第四級アンモニウム
アガロース:ゲル化しやすい中性多糖
陰イオン交換体官能基(いんいおんこうかんたいかんのうき):プラスの電荷をもち、陰イオンを結合する官能基
塩基性アミノ酸(えんきせいあみのさん):塩基性の側鎖をもつアミノ酸
塩化物イオン(えんかぶついおん):塩素の陰イオン
解糖系(かいとうけい):糖の代謝経路
化学修飾(かがくしゅうしょく):官能基を化学的に変化させること
吸光度(きゅうこうど):溶液に吸収される光の量
筋形質画分(きんけいしつかくぶん):筋繊維の細胞質の一部の成分を取り分けたもの
緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpH が大きく変化しない溶液
クロマトグラフィー:物質を分離、精製する手法の1種
懸濁(けんだく):固体粒子が液体中に分散した状態
酵素(こうそ):タンパク質性の触媒
サイトゾル:細胞質から細胞小器官を除いた部分
酸性アミノ酸:酸性の側鎖をもつアミノ酸
担体(たんたい):他の物質を固定する土台となる物質
芳香族(ほうこうぞく):芳香族化合物、環状不飽和有機化合物の一群
ミオグロビン:タンパク質の1種
リニアグラジエント:直線的濃度勾配
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:14,347
タンパク質の混合物から 構成成分を分離するという
クロマトグラフィーの手法です
2
00:00:14,347 --> 00:00:16,616
何を分離するかというと
3
00:00:16,616 --> 00:00:22,122
この実験の初日にできた
筋形質画分
4
00:00:22,122 --> 00:00:30,797
コイの挽肉に低塩濃度緩衝液を添加して
ガーゼで濾過した濾液です
5
00:00:30,797 --> 00:00:36,269
濾液は凍らせて
冷凍庫に保管されていますが
6
00:00:36,269 --> 00:00:42,375
そこには解糖系の酵素とか
ミオグロビンとか
7
00:00:42,375 --> 00:00:49,683
アクトミオシン以外のサイトゾルに含まれる
タンパク質が溶けています
8
00:00:49,683 --> 00:00:56,89
それを分離・分析するのが
今日と明日2日間の実験です
9
00:00:56,89 --> 00:01:02,662
空のカラムに 担体を充填するのが
今日の作業です
10
00:01:02,662 --> 00:01:04,764
実物(の担体)は これですが
11
00:01:04,764 --> 00:01:09,703
今は 1M の塩化カリウム溶液に
懸濁してあります
12
00:01:09,703 --> 00:01:14,908
下の方に沈んでいますが
(担体は)球状のビーズ(Q-Sepharose)です
13
00:01:15,41 --> 00:01:22,48
直径が だいたい90μm
14
00:01:22,515 --> 00:01:26,19
アガロースのビーズです
15
00:01:26,19 --> 00:01:33,159
アガロースは多孔質なので
中に溶媒やタンパク質がしみこんでいきます
16
00:01:33,560 --> 00:01:38,598
このアガロースに
化学修飾がされていきます
17
00:01:38,598 --> 00:01:44,70
何が結合するかというと
この「Q」が結合します
18
00:01:44,70 --> 00:01:48,708
この「Q」が何かというと
19
00:01:48,708 --> 00:01:59,619
(陰イオン交換体官能基の1種
Quaternary ammoniumです)
20
00:01:59,619 --> 00:02:09,629
こういうものが
表面にたくさん結合しています
21
00:02:10,697 --> 00:02:16,636
こういう官能基なのですが
常に正に荷電しています
22
00:02:16,636 --> 00:02:22,575
例えば 今でしたら 1M の塩化カリウム溶液に
懸濁していますが
23
00:02:22,575 --> 00:02:32,585
塩化カリウムの中の塩化物イオン(Cl⁻)と
結合した状態になっています
24
00:02:32,585 --> 00:02:39,526
こういうものが
表面にいっぱいくっついた
25
00:02:39,526 --> 00:02:44,30
つまり 正に荷電した官能基が
26
00:02:45,365 --> 00:02:54,474
たくさん表面に付いた
ビーズになるのですが
27
00:02:54,474 --> 00:03:04,17
ここに 負に荷電したタンパク質を流して
+ と- を引き合わせて結合させる
28
00:03:04,551 --> 00:03:09,289
結合の強さが
タンパク質の種類によって違うことを利用して
29
00:03:09,289 --> 00:03:16,396
タンパク質の混合物から
個々のタンパク質を分離する というのが
30
00:03:16,396 --> 00:03:19,799
イオン交換クロマトグラフィーです
31
00:03:20,200 --> 00:03:29,576
+ に荷電している担体ですから
ここに結合するのは - に荷電したものとなります
32
00:03:29,576 --> 00:03:38,551
タンパク質の中でも
- によく荷電したタンパク質は強く結合しますし
33
00:03:38,551 --> 00:03:50,597
そうではなく + に荷電したタンパク質は結合しない
という特性を示します
34
00:03:51,364 --> 00:03:57,904
時間短縮のために
今回は 空のカラムの中に
35
00:03:57,904 --> 00:04:04,611
半分くらい 担体を詰めています
36
00:04:04,611 --> 00:04:12,686
その上から
タンパク質の混合物を流し込みます
37
00:04:13,520 --> 00:04:18,725
そして このチューブの先から
38
00:04:21,628 --> 00:04:33,173
分離して出てくるものを
5ml ずつ 別々の試験管で取ります
39
00:04:34,307 --> 00:04:43,49
担体に強く結合する - の荷電の強いタンパク質は
なかなか出てきません
40
00:04:43,49 --> 00:04:50,223
しかし + の荷電を持ったタンパク質は
反発しあうので 決して結合しません
41
00:04:50,223 --> 00:05:01,234
それから - の荷電を持っていても
タンパク質の種類で 荷電の強さが違います
42
00:05:01,768 --> 00:05:07,974
少ししか - の荷電がないタンパク質は
(出てくるのが)比較的早いです
43
00:05:07,974 --> 00:05:11,378
たくさん- の荷電を持っているタンパク質は
なかなか出てこないです
44
00:05:11,378 --> 00:05:17,617
タンパク質の荷電状態は
種類によって違います
45
00:05:17,617 --> 00:05:22,589
それを左右するのは
タンパク質のアミノ酸配列の中に
46
00:05:22,589 --> 00:05:27,327
どういうアミノ酸が
どのくらい含まれているかということになります
47
00:05:27,327 --> 00:05:34,134
(プリントの)上に
酸性アミノ酸と塩基性アミノ酸がありますが
48
00:05:34,134 --> 00:05:42,709
酸性アミノ酸
これは下の方を向いているCOOH(カルボキシ基)
49
00:05:42,709 --> 00:05:47,47
ここが中性付近では
COO⁻ に解離しますので
50
00:05:47,47 --> 00:05:48,682
この酸性アミノ酸
51
00:05:48,682 --> 00:05:53,586
アスパラギン酸とグルタミン酸が
相対的に多く含まれているタンパク質は
52
00:05:53,586 --> 00:06:00,326
より強く負に荷電する
そんなタンパク質を 酸性タンパク質と言います
53
00:06:00,326 --> 00:06:03,863
この 陰イオン交換クロマトグラフィーをすると
54
00:06:03,863 --> 00:06:07,567
(正に荷電した)担体とより強く結合するので
なかなか出てきません
55
00:06:07,567 --> 00:06:11,304
一方 タンパク質は
酸性アミノ酸だけではなく
56
00:06:11,304 --> 00:06:15,642
塩基性アミノ酸も
たくさん存在しています
57
00:06:15,642 --> 00:06:19,212
ヒスチジンは
あまり強い塩基性アミノ酸ではないですが
58
00:06:19,212 --> 00:06:30,223
リジンやアルギニンの先端にあるNH₂や
アルギニンのグアニジノ基は
59
00:06:30,223 --> 00:06:35,462
これは 中性付近では
強く正に荷電しています
60
00:06:35,462 --> 00:06:39,766
相対的に 酸性アミノ酸と
塩基性アミノ酸はどちらが多いか
61
00:06:39,766 --> 00:06:46,606
まったく同じ数だと
荷電が0 になってしまうのですが
62
00:06:46,606 --> 00:06:51,311
塩基性アミノ酸のほうが
酸性アミノ酸より多い場合
63
00:06:51,311 --> 00:06:57,917
担体の荷電と
タンパク質の荷電が反発しあうので
64
00:06:57,917 --> 00:07:02,322
上から流した時に
担体と全く結合しないで真っ先に流れてきます
65
00:07:02,322 --> 00:07:03,690
明日についてですが
66
00:07:03,990 --> 00:07:06,626
グラフを描いてもらいます
67
00:07:06,626 --> 00:07:10,597
グラフの確認が終わってから
帰っていただきます
68
00:07:10,597 --> 00:07:14,534
横軸は溶出体積
69
00:07:14,901 --> 00:07:19,406
溶出体積とは
下から何ml 出てきたか
70
00:07:22,442 --> 00:07:27,213
縦軸は吸光度なのですが
71
00:07:28,548 --> 00:07:33,286
多くのタンパク質は
芳香族のアミノ酸を持っていますので
72
00:07:33,286 --> 00:07:36,923
紫外線を吸収します
73
00:07:36,923 --> 00:07:43,263
280nm の紫外線の吸光度を測ります
74
00:07:43,263 --> 00:07:47,267
下から出てきた溶液を
5ml ずつ試験管に受け取って
75
00:07:47,267 --> 00:07:55,408
10本くらいとって 吸光度を測り
グラフにプロットします
76
00:07:55,408 --> 00:08:01,481
だいたい 山が2つくらいできると思います
77
00:08:02,215 --> 00:08:10,690
最初の山は
塩基性タンパク質
78
00:08:10,690 --> 00:08:14,594
早く出てきます
79
00:08:14,594 --> 00:08:20,66
遅れて出てくるのは
(担体と)強く結合している 酸性タンパク質です
80
00:08:20,66 --> 00:08:26,740
単にタンパク質の混合液を流すだけでも
分離しますが
81
00:08:26,740 --> 00:08:30,877
効率よく分離するためには
82
00:08:30,877 --> 00:08:35,48
例えば 強く担体に結合したタンパク質は
83
00:08:35,48 --> 00:08:39,652
溶媒をたくさん流しても
がっちり結合しているので 出てきません
84
00:08:39,652 --> 00:08:45,392
結合しているのを
離すためにどうするかというと
85
00:08:45,392 --> 00:08:52,98
(担体に) - の荷電を持ったタンパク質が
結合しているのですが
86
00:08:52,98 --> 00:09:02,42
タンパク質よりも もっと強く - に荷電していて
強く担体と結合する溶媒を
87
00:09:02,42 --> 00:09:06,546
上から流していく
それは何かというと
88
00:09:06,546 --> 00:09:10,917
今回の場合は塩化物イオンです
89
00:09:10,917 --> 00:09:16,256
塩化物イオンを 1M KCl溶液に懸濁してありますが
90
00:09:16,256 --> 00:09:23,363
1M までではありませんが
最大で300mM の塩化カリウムを流していて
91
00:09:23,363 --> 00:09:25,799
塩化物イオンが流れてくると
92
00:09:25,799 --> 00:09:35,809
濃度にもよりますが
+ の部分に塩化物イオンが結合していきます
93
00:09:36,843 --> 00:09:46,853
始めはタンパク質が結合していたのですが
これが塩化物イオンに置き換わります
94
00:09:46,853 --> 00:09:55,95
そして タンパク質が離れて
下から出てきます
95
00:09:55,95 --> 00:10:02,302
強く結合しているタンパク質は
塩化物イオンの濃度を高くしないと出てきません
96
00:10:02,302 --> 00:10:12,312
弱く結合しているタンパク質は
比較的低い塩化物イオンの濃度でも出てきます
97
00:10:12,679 --> 00:10:19,285
上から流す溶媒の中に含まれる
塩化物イオンの濃度ですが
98
00:10:19,285 --> 00:10:25,592
始めは低くして
徐々に高くしていくというように
99
00:10:25,592 --> 00:10:29,662
溶媒を流して溶出させます
100
00:10:29,662 --> 00:10:33,433
これが 塩化物イオンの濃度の変化です
101
00:10:33,433 --> 00:10:45,345
最初は0mM 最後は300mM になるように
102
00:10:46,179 --> 00:10:49,115
(右上がりのグラフを)
「リニアグラジエント」と言います
103
00:10:49,115 --> 00:10:53,286
上から流す緩衝液に含まれる
塩化物イオンの濃度を
104
00:10:53,286 --> 00:10:57,724
0から300mM に
直線的に上げていくことによって
105
00:10:57,724 --> 00:11:01,628
弱く結合している
タンパク質を先に出し
106
00:11:01,628 --> 00:11:04,964
強く結合している
タンパク質を後から出す
107
00:11:04,964 --> 00:11:07,133
そのようにして
分離を行います
108
00:11:07,133 --> 00:11:12,539
今日使う担体は
「Q-Sepharose」ですけれども
109
00:11:12,539 --> 00:11:17,77
陰イオン交換担体は
ほかにもいろいろな種類があります
110
00:11:19,479 --> 00:11:29,489
原研究室の学生実験では
DEAEを使いましたが それは
111
00:11:31,691 --> 00:11:38,465
ジエチルアミノエチル というもので
これは
112
00:11:39,199 --> 00:11:48,441
ここに水素イオンが結合すると
+ に荷電した状態になります
113
00:11:48,441 --> 00:11:52,645
結合していなければ
荷電はなくなります
114
00:11:54,47 --> 00:11:56,850
溶媒のpHによりますが
115
00:11:56,850 --> 00:12:02,756
中性付近ではここに水素イオンが結合すると
+ に荷電する
116
00:12:02,756 --> 00:12:07,761
今回使う 「Q-Sepharose」は
117
00:12:07,761 --> 00:12:12,832
水素イオンが結合していなくても
最初から+ に荷電しています
118
00:12:12,832 --> 00:12:18,338
なので DEAEよりも
より強く正に荷電しているので
119
00:12:18,338 --> 00:12:25,812
今回の担体のほうが
陰イオン性のタンパク質を結合する力が強いです
120
00:12:25,812 --> 00:12:32,385
ですので 溶出させるのにも
DEAEよりも強い条件で
121
00:12:32,385 --> 00:12:38,625
塩化物イオンの濃度を
より高めにしなければなりません
122
00:12:38,625 --> 00:12:42,796
つまり 含まれているタンパク質の種類によって
このような担体
123
00:12:42,796 --> 00:12:48,768
陰イオン交換担体でも
いろいろな種類を使い分けるようにします
(12)陰イオン交換クロマトグラフィー(カラムの準備)
水圏生化学実験(タンパク質)(12)陰イオン交換クロマトグラフィー(カラムの準備)
用語集
KCl(ケーシーエル):塩化カリウム
M(モーラー):mol/L
SH基(えすえいちき):チオール基
酸化防止剤:自らを酸化することで相手の酸化を防ぐ物質
ジスルフィルド結合:SH基間で形成されるS-S結合
チオール化合物:SH基をもつ化合物
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:07,507
担体を十分に懸濁して
2
00:00:07,507 --> 00:00:13,79
上から懸濁液(1M KCl 溶液)を
20ml のメモリまで注ぎます
3
00:00:13,79 --> 00:00:21,654
すると 全体が白く濁った状態になり
下の方から担体が沈み 詰まっていきます
4
00:00:21,654 --> 00:00:27,694
上の方は透明で
下の方は白く詰まっている状態になりますが
5
00:00:27,694 --> 00:00:29,195
さらによく見ると
6
00:00:29,195 --> 00:00:36,369
詰まっている担体の下の方は
より濃く詰まっているのが見えます
7
00:00:36,369 --> 00:00:38,738
完璧に詰まっている部分が
8
00:00:38,738 --> 00:00:44,878
最終的に 8~10ml になるように
調節してください
9
00:00:44,878 --> 00:00:50,116
担体が露出するまで液面が下がると
10
00:00:50,116 --> 00:00:55,422
このタイプの担体(Q-Sepharose)は
詰まっているところがひび割れします
11
00:00:55,422 --> 00:00:59,125
(ひび割れると)
タンパク質の溶液を流したときに
12
00:00:59,125 --> 00:01:03,897
本当は上の方から流れてほしいのですが
ひびの間を流れてきてしまい
13
00:01:03,897 --> 00:01:06,66
きちんと分離ができなくなってしまいます
14
00:01:06,66 --> 00:01:10,3
(次に) 溶媒 (Tris-HClと 2-メルカプとエタノール)を
50ml 上から流します
15
00:01:10,3 --> 00:01:14,240
(溶媒の)トリス塩酸(Tris-HCl)には
塩化物イオン(Cl⁻)が入っていますが
16
00:01:14,240 --> 00:01:18,678
10mM という
とても低い濃度になっています
17
00:01:18,712 --> 00:01:25,385
流すと (- に荷電した)塩化物イオンが除去されて
担体の周りにない状態になるので
18
00:01:25,385 --> 00:01:28,455
(- に荷電した)
タンパク質を結合させる準備ができます
19
00:01:28,455 --> 00:01:33,727
(駒込ピペットで 内壁に)液を
伝わらせるようにして 流していきます
20
00:01:33,727 --> 00:01:45,305
流すときも 一か所からだけ流すと
下の担体が偏ってえぐれてしまいます
21
00:01:45,305 --> 00:01:53,113
上手な人は ピペットの先端を内壁に接触させたまま
ぐるぐると回して流します
22
00:01:53,113 --> 00:01:56,850
それから (溶媒の)
5mM 2-メルカプトエタノールというのは
23
00:01:56,850 --> 00:01:59,786
酸化防止剤です
24
00:01:59,786 --> 00:02:08,194
タンパク質が空気中の酸素で酸化されると
ジスルフィド結合が起きてしまうと言いましたが
25
00:02:08,194 --> 00:02:10,430
それを防ぐためのものです
26
00:02:10,630 --> 00:02:16,136
2-メルカプトエタノール自体が チオール化合物
SH基を持っているので
27
00:02:16,136 --> 00:02:19,973
これが酸化されることによって
タンパク質の酸化を防ぎます
28
00:02:20,206 --> 00:02:24,811
担体が詰まっている部分よりも 3cm くらい
液面が上になるように
29
00:02:24,811 --> 00:02:29,382
保持した状態で 流れを止めておきます
(13)陰イオン交換クロマトグラフィー(試料の準備)
水圏生化学実験(タンパク質)(13)陰イオン交換クロマトグラフィー(試料の準備)
用語集
ATP(エーティーピー):アデノシン三リン酸
M(モーラー):mol/L
筋形質画分(きんけいしつかくぶん):筋繊維の細胞質の一部の成分を取り分けたもの
クロマトグラフィー:物質を分離、精製する手法の1種
透析(とうせき):タンパク質などのコロイド粒子が半透膜を通過できないことを利用して不純物を除く操作
透析外液(とうせきがいえき):透析チューブを漬ける溶液
透析チューブ(とうせきちゅーぶ):半透膜でできたチューブ
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:11,44
(筋形質画分を) 冷凍庫から取り出して
それを (30℃の恒温水槽で) とかします
2
00:00:11,44 --> 00:00:16,616
中の氷がとけたら すぐ
(試験管を)氷の上に置きます
3
00:00:16,683 --> 00:00:21,287
試料には タンパク質以外の低分子も
いろいろ含まれています
4
00:00:21,287 --> 00:00:24,991
(コイの)挽肉を低塩濃度緩衝液に
懸濁して(濾過した) だけですので
5
00:00:24,991 --> 00:00:29,629
ATPや多糖類など
いろんなものが 含まれています
6
00:00:29,629 --> 00:00:38,705
それから塩(えん)は 40mM のKClが
低塩濃度緩衝液に入っていますので
7
00:00:38,705 --> 00:00:41,675
それも クロマトグラフィーを妨害します
8
00:00:41,675 --> 00:00:44,778
それを除くために
透析を行います
9
00:00:44,811 --> 00:00:48,581
だいたい10ml くらい
試料があるはずですが
10
00:00:48,581 --> 00:00:56,222
そのうち 最低でも5ml
だいたい7~8ml くらい
11
00:00:56,356 --> 00:01:01,661
それを透析チューブに入れて
12
00:01:01,661 --> 00:01:04,531
(透析外液はカラムの) 平衡化に使うのと
同じ緩衝液を使います
13
00:01:04,531 --> 00:01:11,37
そして冷蔵庫に 一晩置いて
試料に含まれる低分子を除去する
14
00:01:11,37 --> 00:01:16,242
塩濃度(Cl⁻)を下げる
脱塩を行います
(14)陰イオン交換クロマトグラフィー(実施)
水圏生化学実験(タンパク質)(14)陰イオン交換クロマトグラフィー(実施)
用語集
M(モーラー):mol/L
遠沈管(えんちんかん):遠心分離機を用いた実験に使われる容器
緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpHが大きく変化しない溶液
透析(とうせき):タンパク質などのコロイド粒子が半透膜を通過できないことを利用して不純物を除く操作
透析外液(とうせきがいえき):透析チューブを漬ける溶液
ベンゼン環(べんぜんかん):炭素原子が正六角形の形に結合した分子構造
字幕
1
00:00:05,638 --> 00:00:11,277
はじめに 透析した試料を
透析チューブから出します
2
00:00:11,277 --> 00:00:14,14
その中に少し沈殿した
不溶物が入っています
3
00:00:14,14 --> 00:00:23,356
それをそのままカラムに流すと
担体の目が詰まって 流れが止まってしまいます
4
00:00:23,957 --> 00:00:30,63
ですので一度 弱く遠心分離機にかけて
(沈殿を取り除き)
5
00:00:30,63 --> 00:00:33,99
上清だけを カラムに流すようにします
6
00:00:33,99 --> 00:00:39,439
(遠心分離機の)回転数は3000回転
2700G くらいの遠心力になります
7
00:00:39,439 --> 00:00:47,313
今回 各班の試料は1本なので
8
00:00:47,313 --> 00:00:52,252
(遠心分離する際には)
他の班と 重さを合わせてください
9
00:00:52,252 --> 00:01:02,262
重さをはかったら その班の代表がペアになり
遠心分離機のところまで持ってきてください
10
00:01:02,262 --> 00:01:10,70
3000回転での遠心分離が終わって
遠沈管を受け取ったら 確認してほしいのは
11
00:01:10,70 --> 00:01:14,341
チューブの先端に
沈殿がたまっていることです
12
00:01:14,341 --> 00:01:16,876
これを振り混ぜたりしないでください
13
00:01:16,876 --> 00:01:23,316
(次に) 10mM Tris-HCl(トリス塩酸)
透析外液にした緩衝液です
14
00:01:23,316 --> 00:01:35,328
その三角フラスコから
メスシリンダーで25ml ずつ はかりとって
15
00:01:35,328 --> 00:01:45,338
(ビーカー)AとBに
各25ml ずつ 入れます
16
00:01:45,472 --> 00:01:46,172
そこに
17
00:01:46,172 --> 00:01:53,546
薬包紙の上に はかりとった塩化カリウム0.559g を
Bのビーカーに入れます
18
00:01:53,546 --> 00:01:55,382
Aには入れないです
19
00:01:55,382 --> 00:02:00,553
すると Bの溶液だけ
20
00:02:00,553 --> 00:02:05,492
塩化カリウムの濃度が
0.3M (300mM) になります
21
00:02:05,492 --> 00:02:10,997
次に 試料をカラムに流し始めます
22
00:02:10,997 --> 00:02:14,134
(カラムを)スタンドに
垂直に括り付けます
23
00:02:14,134 --> 00:02:21,41
チューブの下のキャップを開けて
担体が液面に出そうになるまで緩衝液を流します
24
00:02:21,41 --> 00:02:24,611
上部に3cm ほどある
緩衝液を除去してください
25
00:02:24,611 --> 00:02:32,185
次に 試験管立てに
空の試験管を11本程度並べます
26
00:02:32,185 --> 00:02:43,263
そして 最初の試験管に
チューブの先端を入れます
27
00:02:43,263 --> 00:02:53,873
その状態でキャップを開けて
上から試料を少しずつ流し込みます
28
00:02:53,873 --> 00:03:00,447
(カラムに)5ml 入ると
入った分だけ 下から出てきます
29
00:03:00,847 --> 00:03:09,522
最初に出てくるのは 流した試料に由来するものではなく
先にカラムに入っていた緩衝液です
30
00:03:09,522 --> 00:03:15,228
それを 1本の試験管に
全部受け取ってください
31
00:03:15,228 --> 00:03:19,32
それが 1本目の試験管です
32
00:03:19,32 --> 00:03:29,476
次は Aのビーカーから
メスピペットまたはマイクロピペットで5ml 取ります
33
00:03:29,609 --> 00:03:33,847
このとき出てくる液は
2本目の試験管に回収します
34
00:03:33,847 --> 00:03:43,857
5ml 流して 液がなくなってきて
担体が干上がるところまで来ると
35
00:03:43,857 --> 00:03:45,158
液が出なくなります
36
00:03:45,158 --> 00:03:48,94
(そうなりましたら)
チューブを 次の試験管に移します
37
00:03:48,94 --> 00:03:58,304
今度は BのビーカーからAのビーカーに
2.5ml 移して
38
00:03:58,304 --> 00:04:02,809
Aのビーカーを
ガラス棒で攪拌します
39
00:04:02,809 --> 00:04:14,754
均一になったら Aから5ml 取り
カラムに先ほどの要領で流します
40
00:04:14,754 --> 00:04:19,25
出てくる液は
3本目の試験管に全部回収します
41
00:04:19,25 --> 00:04:22,28
以降は それの繰り返しです
42
00:04:22,28 --> 00:04:30,804
こうすると カラムに供給される緩衝液のKCl濃度が
直線的に増えていきます
43
00:04:30,804 --> 00:04:33,707
全部で(試験管が)11本くらいになるはずです
44
00:04:33,707 --> 00:04:35,942
(次に 280nm の)
吸光度をはかります
45
00:04:35,942 --> 00:04:42,48
280nm というのは
ベンゼン環などが吸収を示す波長域です
46
00:04:42,315 --> 00:04:50,457
タンパク質の濃度が高いと
280nm の吸光度が高くなります
47
00:04:51,825 --> 00:04:58,264
(グラフは)吸光度が縦軸
横軸は溶出体積(ml) とありますが
48
00:04:58,264 --> 00:05:09,743
横軸を簡単に
フラクションナンバー(試験管番号)とします
49
00:05:09,743 --> 00:05:17,717
折れ線グラフではなく
散布図の形にしてください
50
00:05:18,318 --> 00:05:26,359
そして ポイントを直線で結んで
グラフを作ってください
51
00:05:26,359 --> 00:05:34,467
一番最初に出てくるのは
最初からカラムに入っていた液なので
52
00:05:34,768 --> 00:05:43,943
そこには タンパク質は含まれていないので
1番の試験管は吸光度が低いです
53
00:05:43,943 --> 00:05:46,946
その後 吸光度がぐーんと
上がってきます
54
00:05:46,946 --> 00:05:56,756
それは 担体と相互作用せずに
素通りして出てきたタンパク質の成分です
55
00:05:56,756 --> 00:06:01,861
担体と反発しあう
正に荷電した塩基性タンパク質が出てきます
56
00:06:01,861 --> 00:06:06,800
それから
しばらくして出てくるのが
57
00:06:06,800 --> 00:06:12,872
塩化物イオンの濃度が上がらないと
担体から離れない
58
00:06:12,872 --> 00:06:18,378
担体と より強く結合している
酸性タンパク質
59
00:06:18,378 --> 00:06:22,549
- に強く荷電した
タンパク質が出てきます
(15)電気泳動(試料の準備)
水圏生化学実験(タンパク質)(15)電気泳動(試料の準備)
用語集
ATPase(エーティーピーアーゼ):ATPを分解する酵素
BPB(ビーピービー):ブロモフェノールブルー、酸塩基指示薬の1種
SDS(エスディーエス):ラウリル硫酸ナトリウム、陰イオン性界面活性剤の1種
Tris(トリス):トリスヒドロキシメチルアミノメタン、緩衝剤の1種
アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
アルミブロック恒温槽(あるみぶろっくこうおんそう):熱媒体としてアルミブロックを用いる恒温槽
緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpHが大きく変化しない溶液
電気泳動(でんきえいどう):荷電分子が電場中を移動する現象を利用してタンパク質を分離する手法
透析(とうせき):タンパク質などのコロイド粒子が半透膜を通過できないことを利用して不純物を除く操作
透析外液(とうせきがいえき):透析チューブを漬ける溶液
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:13,313
(クロマトグラムでピークを示した3本の)試験管から
それぞれ少しずつ採取して 電気泳動をして
2
00:00:13,313 --> 00:00:18,318
それぞれのピークで
どんなタンパク質が出てくるか分析するのですが
3
00:00:18,318 --> 00:00:27,193
カラムにかけて分離する前の試料
遠心分離後の上清も
4
00:00:27,193 --> 00:00:31,965
それも同時に電気泳動で分析します
5
00:00:31,965 --> 00:00:33,800
(4つの試料を)
マイクロテストチューブにとります
6
00:00:33,800 --> 00:00:38,972
さらに 試薬を加えます
7
00:00:39,773 --> 00:00:44,611
50% グリセロール
10mM Tris-HCl(pH 7.6)
8
00:00:44,611 --> 00:00:50,784
1% SDS 0.01% BPB
10% 2-メルカプトエタノール
9
00:00:50,784 --> 00:00:52,852
という試薬です
10
00:00:52,852 --> 00:01:00,160
青い色が付いた試薬で
青は BPBというpHの指示薬の色素です
11
00:01:00,160 --> 00:01:06,433
手袋をしてふたを開けて
マイクロピペットで 50μl 加えます
12
00:01:06,433 --> 00:01:11,604
それを 手で振り混ぜたり
指ではじいたりして攪拌してください
13
00:01:13,173 --> 00:01:19,179
(分離前と) カラムにかけて分離した後の
3つのピーク時の試料を並べて
14
00:01:19,179 --> 00:01:23,49
電気泳動を行い
結果を比較します
15
00:01:23,49 --> 00:01:23,983
もう一つ
16
00:01:23,983 --> 00:01:30,924
皆さんが 先週の実験で使ってきた
アクトミオシンも
17
00:01:30,924 --> 00:01:35,261
電気泳動で分析します
18
00:01:35,261 --> 00:01:38,698
冷蔵庫に入っている
皆さんのアクトミオシン
19
00:01:39,132 --> 00:01:43,903
これを 氷の上にとります
20
00:01:43,903 --> 00:01:49,9
そして 高塩濃度緩衝液で希釈して
21
00:01:49,9 --> 00:01:55,482
以前 ATPase活性の測定のときに
0.75mg/ml の溶液を1.0ml 作りましたが
22
00:01:55,482 --> 00:02:01,588
それと同じ要領で
各班のタンパク質濃度から計算して
23
00:02:01,588 --> 00:02:07,861
4mg/ml の溶液1.0ml を
試験管に作ってください
24
00:02:09,429 --> 00:02:19,439
作ったら それを振り混ぜて
全て透析チューブに入れて透析します
25
00:02:19,706 --> 00:02:25,912
アクトミオシンは高塩濃度緩衝液
0.6M KCl に溶けています
26
00:02:26,579 --> 00:02:29,582
塩濃度が高いと
電気泳動がきれいにできません
27
00:02:29,582 --> 00:02:36,956
特に KClのカリウムイオンは
電気泳動と相性が悪いです
28
00:02:36,956 --> 00:02:39,459
それを除去するために
透析を行います
29
00:02:39,459 --> 00:02:41,928
今日の透析外液は
30
00:02:41,928 --> 00:02:54,274
10mM Tris-HCl (pH7.6)
0.1%SDS 5mM の2-メルカプトエタノールです
31
00:02:54,274 --> 00:02:57,110
それを冷蔵庫に入れて一晩置きます
32
00:02:57,110 --> 00:03:00,180
特に カリウムイオンが電気泳動を妨害するので
33
00:03:00,347 --> 00:03:04,951
それを除去するのが
この操作になります
34
00:03:04,951 --> 00:03:12,359
皆さんは 手袋をしてから
自分の班の(透析)チューブを出して
35
00:03:12,359 --> 00:03:15,362
外側をキムワイプで拭いた後
36
00:03:15,362 --> 00:03:20,133
(マイクロテストチューブ)の中に
透析チューブの中身を入れてください
37
00:03:20,133 --> 00:03:25,538
アクトミオシンを
チューブにとったうち 50μl を
38
00:03:25,538 --> 00:03:31,878
1.5ml のチューブに移します
39
00:03:32,145 --> 00:03:42,255
そして 昨日使った青い色素(BPB)の入った
電気泳動試料用の緩衝液を
40
00:03:42,255 --> 00:03:47,894
50μl とって混合し
電気泳動用試料とします
41
00:03:47,894 --> 00:03:55,835
電気泳動の前に
加熱して還元する操作が必要です
42
00:03:56,69 --> 00:04:00,407
チューブに100μl
電気泳動用試料ができたら
43
00:04:00,407 --> 00:04:06,680
95℃ にした アルミブロック恒温槽がありますから
そこに置いてください
44
00:04:06,880 --> 00:04:11,651
5分経ったら出して
室温に戻すようにしてください
45
00:04:11,818 --> 00:04:18,158
全部で5つの試料を
分子量マーカーと一緒に
46
00:04:18,158 --> 00:04:22,262
電気泳動をします
(16)電気泳動(ゲルの作成)
水圏生化学実験(タンパク質)(16)電気泳動(ゲルの作成)
用語集
APS(エーピーエス):過硫酸アンモニウム
BISアクリルアミド(ビスアクリルアミド):ポリアクリルアミドゲル作製の際の架橋剤
EDTA(イーディーティーエー):エチレンジアミン四酢酸
M(モーラー):mol/L
SDS(エスディーエス):ラウリル硫酸ナトリウム、陰イオン性界面活性剤の1種
TEMED(テメッド):テトラメチルエチレンジアミン、アクリルアミドをポリアクリルアミドゲルとする重合反応の開始剤
Tris(トリス):トリスヒドロキシメチルアミノメタン、緩衝剤の1種
アクリルアミド:アクリル酸を母体とするアミドの1種
グリシン:アミノ酸の1種
グリセロール:グリセリン、3価のアルコールの1種
重合反応:ポリマーを合成する化学反応
フリーラジカル:不対電子をもつ分子や原子
ポリマー:重合体
モノマー:単量体
字幕
1
00:00:05,638 --> 00:00:08,8
ポリアクリルアミドゲルは
2
00:00:08,8 --> 00:00:16,216
2枚のガラス板の隙間に
アクリルアミドモノマー液を流し込んで
3
00:00:16,216 --> 00:00:19,52
重合させて作成します
4
00:00:19,52 --> 00:00:28,695
サイドにスペーサーの貼ってあるガラス板と
何も付いていないガラス板を用意します
5
00:00:28,695 --> 00:00:34,167
そしてこれは シールガスケットです
シリコンゴムでできています
6
00:00:34,167 --> 00:00:38,371
この裏表に注意して
7
00:00:38,371 --> 00:00:45,812
スペーサーのあるガラス板の
サイドの部分をシールするように配置します
8
00:00:45,812 --> 00:00:55,822
シールガスケットが大きくゆがんだり
スペーサーの上に乗ったりしないように 注意してください
9
00:00:55,989 --> 00:01:04,631
次に スペーサーのないガラス板を
上にそっと重ねます
10
00:01:05,31 --> 00:01:07,567
この状態でまとめて手に取り
11
00:01:07,600 --> 00:01:13,73
スペーサーの上に
ガスケットが乗り上げていないかどうか
12
00:01:13,73 --> 00:01:20,246
また ガスケットが大きく歪んでいないかどうか
もう一度確認してください
13
00:01:20,980 --> 00:01:27,587
サイドをクリップで止めます
14
00:01:29,589 --> 00:01:36,363
このようにすると
ガラス板の隙間から モノマー液を注いでも
15
00:01:36,363 --> 00:01:39,933
モノマー液が外に漏れることはありません
16
00:01:41,234 --> 00:01:46,773
モノマー液をたくさん注いだあと
こちらの コーム(Comb)
17
00:01:47,240 --> 00:01:53,747
コームを差し込んでから
重合させます
18
00:01:53,747 --> 00:01:56,983
重合させたらコームを
引き抜きます
19
00:01:56,983 --> 00:02:04,791
するとゲルに 試料を入れるための
試料溝がたくさんできます
20
00:02:06,626 --> 00:02:14,34
始めにモノマー液を用意する前に
コームをさし込み
21
00:02:15,602 --> 00:02:24,611
コームの先端から1.5cm 下に
マジックで印をつけてください
22
00:02:25,912 --> 00:02:31,685
次に 氷で冷やしたナス型フラスコを用意して
23
00:02:31,685 --> 00:02:35,355
そこにモノマー液を調合します
24
00:02:35,355 --> 00:02:40,493
30% アクリルアミド
0.3% BISアクリルアミド
25
00:02:40,493 --> 00:02:44,698
0.5M Tris
1.5M グリシン
26
00:02:44,698 --> 00:02:50,570
50% グリセロール
1mM EDTA
27
00:02:51,371 --> 00:02:57,410
2.25% APS
(過硫酸アンモニウム)
28
00:02:57,410 --> 00:03:00,347
それから 純水です
29
00:03:00,347 --> 00:03:07,220
これらをナス型フラスコにとったら
一度 攪拌します
30
00:03:07,253 --> 00:03:14,461
そして 口の部分にガラス管を通した
ゴム栓をはめ込みます
31
00:03:14,461 --> 00:03:23,870
ガラス管から 水流アスピレーターなどの
真空ポンプで吸引 内部を減圧にし 脱気します
32
00:03:23,870 --> 00:03:30,76
脱気するのは 試薬や水に溶存している
酸素を除去するためです
33
00:03:30,76 --> 00:03:34,981
重合反応を酸素が妨害します
34
00:03:35,882 --> 00:03:45,892
ガラス管にホースをつないで
真空ポンプで2分間吸引します
35
00:03:45,959 --> 00:03:49,629
2分経過
36
00:03:49,629 --> 00:03:52,732
脱気したあと ホースを外すと
37
00:03:52,732 --> 00:03:57,470
ナス型フラスコの中に
空気が入りますけれども
38
00:03:57,470 --> 00:04:00,774
十分 脱気の効果があります
39
00:04:01,174 --> 00:04:08,915
(ここに) 10% のSDSと
重合反応を開始する TEMEDという試薬を加えます
40
00:04:08,915 --> 00:04:18,491
脱気のあとにSDSを加えるのは
先に加えると (試料が)泡立つからです
41
00:04:18,491 --> 00:04:21,294
TEMEDを加えると
42
00:04:21,294 --> 00:04:24,364
脱気前にナス型フラスコに入っていた
43
00:04:24,364 --> 00:04:27,701
過硫酸アンモニウムとTEMEDが反応して
44
00:04:27,701 --> 00:04:30,203
フリーラジカルが発生します
45
00:04:30,203 --> 00:04:36,910
そして アクリルアミドモノマーの
重合反応(連鎖重合)が開始されます
46
00:04:37,210 --> 00:04:40,647
なので TEMEDを加えてから
47
00:04:40,647 --> 00:04:45,985
迅速に モノマー液をガラス板の間に注ぎます
48
00:04:50,123 --> 00:04:55,362
(TEMEDを)加えたら ナス型フラスコを
揺すって攪拌します
49
00:04:55,362 --> 00:04:58,231
(ナス型フラスコを)
氷で冷やしているのは
50
00:04:58,231 --> 00:05:05,438
取り扱いが容易なように
重合反応の速度を 少し遅らせるためです
51
00:05:05,438 --> 00:05:13,913
モノマー液は
マジックで印をつけたところまで注ぎます
52
00:05:14,447 --> 00:05:18,918
そして その上に蒸留水を重ねて
53
00:05:18,918 --> 00:05:21,855
空気を遮断し 重合させます
54
00:05:23,823 --> 00:05:31,464
一気に注がずに
少量注いでは 左右に揺すります
55
00:05:31,965 --> 00:05:37,871
一カ所からだけでなく
左右や中央から少しずつ注ぎ
56
00:05:37,871 --> 00:05:40,407
水位を上げていきます
57
00:05:40,607 --> 00:05:44,10
マジックの印のところまで注いだら
58
00:05:44,44 --> 00:05:48,615
平らな机の上に立てます
59
00:05:48,982 --> 00:05:54,154
そして マイクロピペットで
少量の水を 1滴ずつ
60
00:05:55,989 --> 00:05:58,425
左右 中央付近
61
00:05:58,591 --> 00:06:02,929
何カ所かに分けて
静かに加えていきます
62
00:06:03,596 --> 00:06:11,37
こうすることで モノマー液の上に
水の層ができて
63
00:06:11,37 --> 00:06:12,972
空気を遮断します
64
00:06:12,972 --> 00:06:18,545
十分に空気が遮断されていないと
モノマーが 重合しません
65
00:06:18,545 --> 00:06:22,515
20分くらい置くと
重合が完了します
66
00:06:22,515 --> 00:06:27,787
水の下のモノマーが重合して
ゲルになっているのが分かります
67
00:06:28,755 --> 00:06:36,262
この水を キムワイプで吸い取って
取り除きます
68
00:06:40,500 --> 00:06:48,808
下のゲルの上に もう1種類
濃縮ゲルになるモノマー液を注ぎ
69
00:06:48,808 --> 00:06:56,816
コームをさして重合させたら
電気泳動のゲルが完成します
70
00:06:57,50 --> 00:07:03,189
モノマー液を調合するための
空のナス型フラスコを氷冷します
71
00:07:03,423 --> 00:07:08,328
そこに 8% アクリルアミド
0.2% BISアクリルアミド
72
00:07:08,328 --> 00:07:15,802
緩衝液として
0.5M Tris-HCl(pH6.8)
73
00:07:17,103 --> 00:07:23,910
それから 過硫酸アンモニウムと
水を 混合します
74
00:07:24,144 --> 00:07:30,383
(すべて混合したら)
先ほどと同様 ゴム栓をして減圧し 脱気します
75
00:07:30,383 --> 00:07:34,187
脱気のあとに SDSを加えます
76
00:07:34,187 --> 00:07:38,892
最後に TEMEDを加えると
重合反応が開始されます
77
00:07:39,359 --> 00:07:49,369
これ(調合したモノマー液)を 水を吸い取ったあとの
分離ゲルの上に重ねていきます
78
00:07:49,369 --> 00:07:54,541
まず 少量を注いで
79
00:07:56,943 --> 00:08:05,85
全体になじませてから
注ぎます
80
00:08:06,586 --> 00:08:14,694
ガラス板の切欠のふちの部分まで
たっぷり入れます
81
00:08:14,961 --> 00:08:24,504
そして 机の上に立てて
コームをさし込みます
82
00:08:25,171 --> 00:08:27,707
コームを差し込んだあと
83
00:08:27,707 --> 00:08:34,748
先端に気泡が付いていると
その部分は重合しませんので
84
00:08:34,748 --> 00:08:39,619
気泡があったら
(コームを)一度抜き 再度さして
85
00:08:39,619 --> 00:08:42,188
気泡を追い出します
86
00:08:42,222 --> 00:08:47,227
この状態で
また20分程度 放置します
87
00:08:47,227 --> 00:08:53,33
(20分後)
重合すると 傾けても流れださなくなります
(17)電気泳動(実施)
水圏生化学実験(タンパク質)(17)電気泳動(実施)
用語集
running buffer(ランニングバッファー):泳動用緩衝液
分子ふるい効果:分子の大きさによって電気泳動速度が異なること
字幕
1
00:00:09,242 --> 00:00:15,615
出来上がったゲルは
ガラス板ごと 泳動槽に取り付けて
2
00:00:15,615 --> 00:00:18,785
電気泳動を行います
3
00:00:18,785 --> 00:00:24,224
始めに サイドのクリップを外します
4
00:00:28,261 --> 00:00:34,200
シールを 外します
5
00:00:37,203 --> 00:00:45,445
ガラス板の切り欠きのある部分に
洗瓶の純水を少し吹きかけて
6
00:00:46,846 --> 00:00:56,856
滑りを良くしてから
コームを少しずつ引き抜きます
7
00:00:56,856 --> 00:01:06,866
コームを抜くときに
試料溝が乱れてしまうことがありますが
8
00:01:07,567 --> 00:01:13,373
後で整えることができますので
大きな問題にはなりません
9
00:01:13,373 --> 00:01:16,476
しかし ゆっくり引き抜いて
10
00:01:16,476 --> 00:01:24,484
試料溝の壁を引きちぎらないように
注意することが必要です
11
00:01:26,853 --> 00:01:30,724
泳動槽には
12
00:01:30,724 --> 00:01:38,231
下から3センチくらいまで
Running Buffer(泳動用緩衝液)を入れておきます
13
00:01:38,598 --> 00:01:43,269
この中に ゲルを浸しますが
14
00:01:43,303 --> 00:01:52,278
水色のフレームに
ゲルを作成したガラス板をはめ込みます
15
00:01:52,278 --> 00:01:59,686
切り欠きのあるガラス板が
内側になるようにはめ込んで
16
00:02:02,856 --> 00:02:11,765
中央のフレームに
カチッと取り付けます
17
00:02:14,901 --> 00:02:21,241
反対側にも 同じように
切り欠きのあるガラス板を内側にして
18
00:02:21,508 --> 00:02:26,312
ゲルを取り付けます
19
00:02:26,780 --> 00:02:31,217
フレームを泳動槽に入れると
20
00:02:32,252 --> 00:02:37,357
2枚のガラス板の間に
気泡が入ります
21
00:02:37,357 --> 00:02:43,863
この気泡は通電を妨げるので
必ず除去します
22
00:02:44,597 --> 00:02:46,633
泳動槽を傾けると
23
00:02:46,633 --> 00:02:54,774
気泡が斜め上方に移動して
抜けていきますので
24
00:02:55,408 --> 00:03:03,249
左右に傾けて
気泡を取り除いてください
25
00:03:04,117 --> 00:03:11,591
2枚のガラス板に挟まれた
上部電極層にも
26
00:03:11,591 --> 00:03:17,797
泳動用緩衝液を
たっぷり注ぎます
27
00:03:17,797 --> 00:03:20,433
次にサンプルをのせていきます
28
00:03:20,433 --> 00:03:24,104
2枚のガラス板の間の試料溝に
29
00:03:24,104 --> 00:03:30,110
マイクロシリンジや
先の細いピペットチップを使って
30
00:03:30,110 --> 00:03:33,446
試料を注入します
31
00:03:33,446 --> 00:03:39,452
チップやシリンジの針の先を
深いところまで刺し込み
32
00:03:39,452 --> 00:03:46,326
少し 試料を押し出します
33
00:03:46,326 --> 00:03:53,533
すると 試料が
試料溝の底に たまってきますので
34
00:03:53,533 --> 00:03:59,539
たまってきたら 針先やチップの先端を
上に引き上げます
35
00:04:00,440 --> 00:04:04,911
全ての試料溝に
試料を注入し終えたら
36
00:04:04,911 --> 00:04:14,154
カバーをかぶせて電源ケーブルを取り付け
通電します
37
00:04:14,154 --> 00:04:16,756
(40mA 定電流で泳動
約80分かかります)
38
00:04:17,524 --> 00:04:25,598
(4年生 実験補助)
泳動を開始すると
今の電流・時間・電圧が 確認できます
39
00:04:26,499 --> 00:04:28,401
通電が始まると
40
00:04:28,401 --> 00:04:32,605
青い ブロモフェノールブルー(BPB)は
41
00:04:32,639 --> 00:04:39,346
タンパク質よりも先に
下の方(+極)に 移動していきます
42
00:04:39,346 --> 00:04:42,349
ゲルの上方には
43
00:04:42,349 --> 00:04:44,718
濃縮ゲルがありますが
44
00:04:44,718 --> 00:04:49,656
濃縮ゲルでは
普通 タンパク質の分離は行われません
45
00:04:49,656 --> 00:04:51,24
縦方向に
46
00:04:51,91 --> 00:04:55,795
タンパク質が
広がって分布している状態なのですが
47
00:04:55,795 --> 00:05:00,967
濃縮ゲルは
これを圧縮する働きを持っています
48
00:05:00,967 --> 00:05:03,970
(通電開始から6分)
49
00:05:03,970 --> 00:05:06,973
(通電開始から10分)
50
00:05:06,973 --> 00:05:09,943
(通電開始から15分)
51
00:05:09,943 --> 00:05:14,147
(通電開始から22分)
縦方向に 細く圧縮された状態で
52
00:05:14,147 --> 00:05:17,83
分離ゲルに入っていく訳ですが
53
00:05:17,83 --> 00:05:21,521
分離ゲルの中では
分子ふるい効果により
54
00:05:21,521 --> 00:05:25,25
分子量の大小によって
タンパク質が分離されます
55
00:05:25,25 --> 00:05:28,862
圧縮されて
分離ゲルに突入することにより
56
00:05:28,862 --> 00:05:32,98
バンド(の発色)がシャープになる効果があります
57
00:05:32,98 --> 00:05:35,101
(通電開始から60分)
58
00:05:35,101 --> 00:05:38,905
(通電開始から84分) ブロモフェノールブルーが ゲルの下端から
59
00:05:38,905 --> 00:05:41,307
(通電開始から84分) 5mm くらいの所まで来たら
60
00:05:41,307 --> 00:05:43,977
泳動は 終了です
61
00:05:44,244 --> 00:05:48,515
泳動が終了したら
泳動槽を流しに持っていきます
62
00:05:49,249 --> 00:05:52,552
泳動用緩衝液を捨てて
63
00:05:52,552 --> 00:05:55,522
内側のカセットを取り出します
64
00:05:58,91 --> 00:06:06,266
フレームを取り外し
ガラス板を取り出します
65
00:06:06,933 --> 00:06:13,73
切り欠きのあるガラス板を
下にして持って
66
00:06:13,73 --> 00:06:20,947
2枚のガラス板の間に
定規や下敷きのようなものを差し込んで
67
00:06:20,947 --> 00:06:23,249
こじ開けます
68
00:06:24,851 --> 00:06:30,623
すると ゲルは
切り欠きのあるガラス板にくっついてきます
69
00:06:32,325 --> 00:06:37,130
次に ゲルとスペーサーの間に
70
00:06:39,666 --> 00:06:47,273
注射針を当てて
切り離します
71
00:06:51,778 --> 00:06:56,249
濃縮ゲルと分離ゲルの間に
境界線が見えますが
72
00:06:56,416 --> 00:07:02,756
ここも 注射針でなぞって
切り離します
73
00:07:16,136 --> 00:07:23,143
この段階で
洗瓶の純水を少量ゲルにかけます
74
00:07:23,576 --> 00:07:27,113
次に タッパーに染色液を用意します
75
00:07:30,50 --> 00:07:34,888
そして ガラス板から ゲルをはがしとります
76
00:07:36,56 --> 00:07:41,261
(はがし方は)
ゲルの下に指を少しずつ入れるようにします
77
00:07:41,394 --> 00:07:46,666
ゲルの端をつまんで持ち上げるのではなく
78
00:07:46,666 --> 00:07:52,972
複数の指を
ゲルの下に滑り込ませて
79
00:07:52,972 --> 00:07:56,710
広い面積を持って
引き上げるようにします
80
00:07:59,112 --> 00:08:02,849
これを染色液の中に入れます
81
00:08:05,352 --> 00:08:08,788
ゲルがよれたり
折れ曲がったりしていると
82
00:08:08,788 --> 00:08:11,291
染色のムラの原因になりますので
83
00:08:11,291 --> 00:08:15,495
(タッパーを)
揺すって広げてやります
84
00:08:15,495 --> 00:08:22,802
ときどき攪拌しながら
5分くらいつけておきます
85
00:08:23,103 --> 00:08:28,475
5分経ったら
ゲルを落とさないように注意しながら
86
00:08:28,475 --> 00:08:31,578
染色液を瓶に戻します
87
00:08:33,246 --> 00:08:38,752
そして ゲルを水道水で洗浄してください
88
00:08:38,752 --> 00:08:43,23
ゲル全体が
青く染まっています
89
00:08:43,89 --> 00:08:47,293
(青く染まった)ゲルを
さらに脱色液に浸して処理すると
90
00:08:47,293 --> 00:08:48,895
バンドが見えてきます
91
00:08:48,895 --> 00:08:52,565
脱色液をタッパーに入れて
92
00:08:52,565 --> 00:08:56,136
底に キムワイプを広げて入れます
93
00:08:58,38 --> 00:09:01,508
このキムワイプは
ゲルから抜け出してきた
94
00:09:01,508 --> 00:09:07,714
余計なCBB色素を
吸着する働きをします
95
00:09:09,516 --> 00:09:15,155
ここに 染色したゲルをのせます
96
00:09:17,924 --> 00:09:23,797
その上から さらに
もう1枚のキムワイプを 重ねて入れます
97
00:09:25,231 --> 00:09:31,37
このタッパーにラップをして(針などで穴を空け)
電子レンジで2分加熱してください
(18)電気泳動(結果の解釈)
水圏生化学実験(タンパク質)(18)電気泳動(結果の解釈)
用語集
log(ログ):対数、aを何乗したらbになるかを表す数
アクチン:アクチンフィラメントを形作るタンパク質
アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
検量線(けんりょうせん):得られたデータと目的とする量との対応を規定するグラフ
対数値(たいすうち):aを何乗したらbになるかを表す値
トロポニン:トロポニンT、I、Cの複合体
トロポミオシン:アクチン結合タンパク質
分子量(ぶんしりょう):分子の相対的質量で単位はない、基準は原子量12の炭素原子
分子量マーカー(ぶんしりょうまーかー):分子量が既知のタンパク質で移動度と分子量の対応の基準
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:08,541
前回はSDS-PAGEを行いました
2
00:00:08,541 --> 00:00:13,646
ゲルを染色・脱色をして
バンドが見えてきたことを確認しました
3
00:00:13,646 --> 00:00:18,918
それぞれ 一番左側に分子量マーカー
次に アクトミオシン
4
00:00:18,918 --> 00:00:25,258
次に筋形質画分と
クロマトグラフィーのピーク1・2・3です
5
00:00:25,258 --> 00:00:30,30
バンドの上の方にあるのは
分子量が大きく
6
00:00:30,30 --> 00:00:31,931
下の方にあるのは
分子量が小さいです
7
00:00:31,931 --> 00:00:36,369
バンドの濃さや
面積というのは
8
00:00:36,369 --> 00:00:41,541
そこに存在している
タンパク質の量に相関しています
9
00:00:42,308 --> 00:00:45,378
例えば この太くて濃いバンドですと
10
00:00:45,378 --> 00:00:47,480
このタンパク質は たくさんあり
11
00:00:48,448 --> 00:00:51,551
このように細くて薄いバンドは
12
00:00:51,551 --> 00:00:56,389
(タンパク質は)
あまりないということを表しています
13
00:00:56,389 --> 00:01:03,730
基本的には バンドの色が濃く 大きいほど
タンパク質が多いです
14
00:01:03,730 --> 00:01:09,135
使用した分子量マーカーは
最初から染色してあります
15
00:01:09,135 --> 00:01:11,671
このレーンを見てみると
16
00:01:11,671 --> 00:01:12,605
分子量マーカー
17
00:01:12,605 --> 00:01:14,140
これがアクトミオシン
18
00:01:15,342 --> 00:01:21,247
(これは)分子量がとても大きくて
たくさん量があるタンパク質です
19
00:01:22,415 --> 00:01:26,252
それから これは中くらいの
分子量のタンパク質です
20
00:01:26,252 --> 00:01:27,687
これも たくさんあります
21
00:01:28,488 --> 00:01:38,498
この辺りは (分子量が)3万や2万です
色々な種類のタンパク質が混じっているところです
22
00:01:38,865 --> 00:01:44,504
アクトミオシンを構成している
ミオシンや アクチンの他に
23
00:01:44,504 --> 00:01:46,506
以前に 説明した
24
00:01:46,506 --> 00:01:49,909
アクチンフィラメントの中では
アクチンだけではなく
25
00:01:49,909 --> 00:01:55,115
トロポミオシンやトロポニンなど
様々なものが 結合しています
26
00:01:55,115 --> 00:01:59,986
そういうタンパク質が全て
一つ一つのバンドになって 分離されている状態です
27
00:02:01,721 --> 00:02:04,190
また 筋形質画分ですが
28
00:02:04,190 --> 00:02:09,896
アクトミオシンとは
パターンが全然違うことが分かります
29
00:02:09,896 --> 00:02:16,69
(例えば)この2つは 分子量は近いですが
同じではないことが分かります
30
00:02:16,69 --> 00:02:23,176
これらは似ているようですが
多分違うタンパク質だということが分かります
31
00:02:23,176 --> 00:02:29,349
このフラクションを
カラムクロマトグラフィーにかけて
32
00:02:29,349 --> 00:02:32,619
出てきたのが
この3つになります
33
00:02:32,619 --> 00:02:37,424
2つのピークと プラスもう1か所を
とってもらったと思います
34
00:02:37,424 --> 00:02:44,764
カラムクロマトグラフィーをかける前に
存在していたバンドの この位置に
35
00:02:44,764 --> 00:02:47,100
ピークの後半の方で
36
00:02:47,967 --> 00:02:52,772
後から出てくる酸性タンパク質の方に
37
00:02:52,772 --> 00:02:59,12
この太いバンドのタンパク質が
溶出しているということが分かります
38
00:02:59,12 --> 00:03:00,780
これもそうですね
39
00:03:00,780 --> 00:03:05,719
最初に溶出してくるところには
含まれず
40
00:03:05,719 --> 00:03:10,23
後から溶出してくる
担体に結合した画分に
41
00:03:10,23 --> 00:03:13,760
このタンパク質が
含まれていることが分かります
42
00:03:13,760 --> 00:03:17,597
つまり このタンパク質は
酸性タンパク質です
43
00:03:18,932 --> 00:03:21,134
これも 酸性タンパク質です
44
00:03:21,134 --> 00:03:24,537
ここら辺に 4~5本バンドがありますが
45
00:03:24,537 --> 00:03:28,74
それらは 最初の方で出てきています
46
00:03:29,309 --> 00:03:32,145
つまり 担体にあまり結合しないタンパク質です
47
00:03:32,145 --> 00:03:34,280
塩基性のタンパク質とか
48
00:03:34,280 --> 00:03:40,20
酸性であったとしても
あまり- の荷電が大きくないです
49
00:03:40,20 --> 00:03:43,189
(この2つは)
似ていますが同じではないです
50
00:03:43,189 --> 00:03:47,527
例えば このタンパク質は
後には出ていますが先には出ていません
51
00:03:47,527 --> 00:03:53,133
こちらは逆に
後には出ておらず 先に出ています
52
00:03:53,133 --> 00:03:57,337
1つのピークの中の
前半にあるタンパク質
53
00:03:57,337 --> 00:04:00,440
後半に別のタンパク質
という風に
54
00:04:00,440 --> 00:04:02,742
溶出している ということが分かります
55
00:04:03,476 --> 00:04:08,348
まず 分子量の大小と
56
00:04:08,348 --> 00:04:12,752
バンドの移動距離というのは
関係があります
57
00:04:12,752 --> 00:04:15,889
この関係を表す
グラフを作ってみてください
58
00:04:15,889 --> 00:04:20,226
(分子量マーカー) について
分子量はこのように分かっています
59
00:04:20,226 --> 00:04:22,462
一番上にあるのが
210,000
60
00:04:22,462 --> 00:04:24,931
一番下にあるのが
10,000です
61
00:04:24,931 --> 00:04:27,267
この分子量マーカーについて
62
00:04:27,267 --> 00:04:31,771
濃縮ゲルが上に付いていても
分離ゲルとの境目が見えますので
63
00:04:31,771 --> 00:04:33,173
分離ゲルの上端
64
00:04:33,173 --> 00:04:40,480
ここから それぞれのマーカーの
バンドまでの長さを測ります
65
00:04:40,480 --> 00:04:43,283
どのように測るかというと
66
00:04:43,283 --> 00:04:52,58
例えば 画像を解析する時であれば
ピクセルを測ります
67
00:04:52,58 --> 00:04:58,264
それから プリントアウトして
定規で長さを測ってもいいです
68
00:04:58,264 --> 00:05:03,503
印刷したサイズによって
大きさが違っていても大丈夫です
69
00:05:03,503 --> 00:05:07,774
分離ゲルの上端から
それぞれのバンドの
70
00:05:07,774 --> 00:05:14,514
ぼやっとしているところの
真ん中までの距離を測ってください
71
00:05:14,514 --> 00:05:16,750
それを横軸にとります
72
00:05:16,750 --> 00:05:20,987
縦軸に「log(の底が)10」の分子量
73
00:05:20,987 --> 00:05:25,25
10を底とする分子量の対数値になります
74
00:05:25,558 --> 00:05:29,996
つまり logが5ということは
(分子量が 10の5乗の)10万になります
75
00:05:29,996 --> 00:05:33,333
(logが) 4というと
1万になります
76
00:05:33,333 --> 00:05:42,175
この値を縦軸にとってプロットを描くと
直線ができるはずです
77
00:05:42,175 --> 00:05:46,46
移動距離の短いところ
78
00:05:46,46 --> 00:05:48,314
ゲルの上の方です
79
00:05:48,314 --> 00:05:53,620
それから 移動距離の長いところ
ゲルの下の方ですね
80
00:05:53,620 --> 00:05:58,358
これは 直線から外れた状況になります
81
00:05:58,358 --> 00:06:00,994
それも含めて確認してください
82
00:06:01,628 --> 00:06:04,364
そういうグラフを作ってください
83
00:06:04,364 --> 00:06:11,738
さらに そのグラフは
分子量の検量線となります
84
00:06:11,871 --> 00:06:14,607
つまり 同じゲルについて
85
00:06:15,575 --> 00:06:18,511
一緒に泳動した
未知の試料
86
00:06:18,511 --> 00:06:21,81
例えば このタンパク質
87
00:06:21,81 --> 00:06:24,50
このタンパク質の
分子量はいくつなのか
88
00:06:24,50 --> 00:06:28,755
作ったグラフから
それを求めます
89
00:06:29,889 --> 00:06:32,926
どのバンドについて求めるかというと
90
00:06:33,259 --> 00:06:38,531
アクトミオシンの中から
バンドを1つ 選んでいただきます
91
00:06:38,565 --> 00:06:40,734
それから 筋形質画分
92
00:06:40,734 --> 00:06:44,70
その中から また1つ
バンドを選んでいただきます
93
00:06:44,70 --> 00:06:48,174
合計2つです
各班で2つ バンドを選びます
94
00:06:48,174 --> 00:06:53,46
そのバンドのタンパク質の
分子量を測定します
95
00:06:53,46 --> 00:06:55,949
例えば
このバンドを選んだとしたら
96
00:06:55,949 --> 00:07:01,721
このレーンの上端から
選んだバンドの真ん中までの距離を測ります
97
00:07:03,356 --> 00:07:05,558
そしてその距離を
横軸にとって
98
00:07:06,493 --> 00:07:11,31
縦軸の直線とクロスするところの
縦軸の値を読むと
99
00:07:11,31 --> 00:07:13,66
10の その値乗
100
00:07:13,66 --> 00:07:15,468
それが 分子量となります
(19)ペプチドの質量分析(解説)
水圏生化学実験(タンパク質)(19)ペプチドの質量分析(解説)
用語集
PMF(ピーエムエフ):ペプチドマスフィンガープリンティング
真空乾燥:減圧した状態で乾燥すること
トリプシン:消化酵素の1種
intensity(インテンシティ):強度
分解能:計測可能な最小値
質量スペクトル:イオン化した原子や分子の質量mと電荷zの比m/zにしたがって、その相対量を表やグラフの形で表したもの
プロトン:水素陽イオン
分子量:分子の相対的質量で単位はない、基準は原子量12の炭素原子
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:06,973
今日行う実験は
2
00:00:06,973 --> 00:00:14,381
バンドがたくさん出てきましたが
そのバンドのタンパク質は何なのか ということです
3
00:00:14,447 --> 00:00:18,51
質量分析によるタンパク質の同定と
4
00:00:18,51 --> 00:00:19,886
一次構造の解析を行います
5
00:00:19,886 --> 00:00:21,921
質量分析というのは
6
00:00:22,22 --> 00:00:24,724
分子量を求める実験手法です
7
00:00:24,724 --> 00:00:29,129
非常に正確に
分子量を求めるには
8
00:00:29,129 --> 00:00:30,830
タンパク質であれば
9
00:00:30,830 --> 00:00:34,401
10万とか14万とか
書いてありますが
10
00:00:34,401 --> 00:00:42,175
有効数字は1桁か2桁の
精度しかありません
11
00:00:42,709 --> 00:00:45,578
そういう大雑把な分子量ではなく
12
00:00:45,578 --> 00:00:49,883
分子量の一の位まで
正確に求められるような
13
00:00:49,916 --> 00:00:52,152
そういう分析をします
14
00:00:53,19 --> 00:00:56,723
それから とても少ない量の試料
15
00:00:56,723 --> 00:01:02,462
電気泳動で バンドが かろうじて
見えるか見えないかくらいの少ない量でも
16
00:01:02,462 --> 00:01:06,800
測定ができるという手法です
17
00:01:07,0 --> 00:01:08,802
それを利用して
18
00:01:08,802 --> 00:01:13,473
このバンドが
何というタンパク質なのかを
19
00:01:13,473 --> 00:01:14,941
調べます
20
00:01:14,941 --> 00:01:17,510
その中の 1つの方法として
21
00:01:17,510 --> 00:01:20,947
PMF
(Peptide Mass Fingerprinting)
22
00:01:20,947 --> 00:01:23,917
PMF解析の原理という図があります
23
00:01:23,917 --> 00:01:25,285
それを行います
24
00:01:25,285 --> 00:01:30,290
(タンパク質をペプチドに消化して)
質量分析をします
25
00:01:30,290 --> 00:01:33,760
図の横軸に「m/z」と
書いてあります
26
00:01:33,760 --> 00:01:36,730
これは 基本的に
分子量に相当するものです
27
00:01:36,730 --> 00:01:43,570
分子量に 水素イオン(プロトン)が
くっついたものの質量になります
28
00:01:43,570 --> 00:01:48,41
だから 右のほうに行けば行くほど
分子量が大きいです
29
00:01:48,41 --> 00:01:56,149
それから intensityと言いますが
これはペプチドが検出された強度です
30
00:01:56,149 --> 00:02:00,86
棒のようなものが
一本一本立っていますが
31
00:02:00,86 --> 00:02:04,190
拡大してみると
ピークになっていて
32
00:02:04,190 --> 00:02:08,995
分子量の測定が
とても正確に行えて
33
00:02:08,995 --> 00:02:10,897
分解能がとても高いので
34
00:02:10,897 --> 00:02:14,100
針のような
細いピークになっています
35
00:02:14,401 --> 00:02:16,36
そこに書いてあるように
36
00:02:16,36 --> 00:02:20,507
大きな分子量のペプチドは
右のほうにピークを与えて
37
00:02:20,507 --> 00:02:23,777
小さな分子量のペプチドは
左の方にピークを与える
38
00:02:23,777 --> 00:02:26,513
それで こういうグラフができます
39
00:02:26,513 --> 00:02:30,116
これを 質量スペクトルと呼びます
40
00:02:30,116 --> 00:02:34,621
この質量スペクトルを
バンドそれぞれについて測るのを
41
00:02:34,621 --> 00:02:36,222
明日の実験でやります
(20)ペプチドの質量分析(ゲル内トリプシン消化)
水圏生化学実験(タンパク質)(20)ペプチドの質量分析(ゲル内トリプシン消化)
用語集
CBB(シービービー):Coomassie Brilliant Blue、タンパク質の染色剤の1種
トリプシン:消化酵素の1種
ボルテックスミキサー:攪拌用の実験器具
振盪機(しんとうき):攪拌用の機器
真空乾燥(しんくうかんそう):減圧した状態で乾燥すること
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:08,508
質量分析はとても感度が高いので
2
00:00:08,508 --> 00:00:11,978
汚染にとても影響を受けます
3
00:00:11,978 --> 00:00:13,246
何による汚染かというと
4
00:00:13,246 --> 00:00:15,715
ヒトの手あかによる汚染
5
00:00:15,715 --> 00:00:19,586
手あかは
そこら中にこびりついています
6
00:00:19,586 --> 00:00:25,125
もちろん 人体の皮膚の
表面にもありますし
7
00:00:25,125 --> 00:00:27,961
机の上も
手あかだらけです
8
00:00:27,961 --> 00:00:31,431
手あかは脂質など
いろいろ入っていますけど
9
00:00:31,431 --> 00:00:36,936
タンパク質である
ケラチンも入っていて
10
00:00:36,936 --> 00:00:40,807
それによる試料の汚染が
少しでも起こると
11
00:00:40,807 --> 00:00:46,513
ケラチンをトリプシン消化した
ペプチドが大量に検出されてしまいます
12
00:00:46,513 --> 00:00:47,981
それを防ぐために
13
00:00:47,981 --> 00:00:52,318
今日の全ての工程は
手袋をして行ってください
14
00:00:52,552 --> 00:00:56,623
一瞬でも
(試料を)机の上に落としたりとか
15
00:00:56,623 --> 00:01:01,761
手で触ってしまったりしたら
アウトですから 気をつけてください
16
00:01:01,761 --> 00:01:04,964
具体的な操作の手順ですが
17
00:01:04,964 --> 00:01:10,470
最初に 各班で
どの部分を分析するかを決めてもらいます
18
00:01:10,470 --> 00:01:14,974
アクトミオシンでは AM1からAM9のうち
各班どれか1つ
19
00:01:15,8 --> 00:01:21,948
それから 筋形質画分は
SP1からSP12
20
00:01:21,948 --> 00:01:24,517
その中からどれか1つ
21
00:01:24,517 --> 00:01:26,753
(各班が)1つのタンパク質に
集中しすぎないように
22
00:01:26,753 --> 00:01:29,189
いろいろなタンパク質を
分析してほしいです
23
00:01:29,189 --> 00:01:33,460
(分析する場所を)
決めたら ゲルを取り出します
24
00:01:33,460 --> 00:01:39,466
(キムタオルの上に)
手袋をした手で アルミホイルを広げます
25
00:01:39,466 --> 00:01:45,438
ゲルを壊さないようにつまんで
アルミホイルの上に置きます
26
00:01:45,438 --> 00:01:50,43
分析したいバンドを切り取ります
27
00:01:50,43 --> 00:01:55,248
手袋をした手で (メスの)替え刃を使って
切ってください
28
00:01:55,281 --> 00:02:00,720
バンドの周辺を長方形に切り取ります
29
00:02:00,720 --> 00:02:05,892
ピンセットの先をガスバーナーで焼いたものを
用意していますので
30
00:02:05,892 --> 00:02:08,828
それを使って
バンドを取り出してください
31
00:02:08,828 --> 00:02:16,169
取り出したら
ゲルの外の別のアルミホイルの上に置き
32
00:02:16,169 --> 00:02:21,274
メスで1mm 角くらいに刻んでください
33
00:02:21,274 --> 00:02:30,250
刻んだら 1.5ml の
マイクロテストチューブの中に入れてください
34
00:02:30,250 --> 00:02:35,188
次に CBB(バンドを染色したときに使用した染色液)
を除去する操作をします
35
00:02:35,188 --> 00:02:42,62
「100μl の50% アセトニトリル
25mM NH₄HCO₃ を加え」
36
00:02:42,62 --> 00:02:45,565
「ボルテックスミキサーで10分間振盪する」
37
00:02:45,565 --> 00:02:49,736
ボルテックスミキサーではありませんが
振盪機です
38
00:02:49,736 --> 00:02:55,608
すると 液体の部分に
赤紫色のCBBが溶けだしてきます
39
00:02:55,608 --> 00:03:00,847
それをマイクロピペットで
吸引して捨てる
40
00:03:00,847 --> 00:03:02,782
この作業をもう一度やります
41
00:03:03,183 --> 00:03:09,756
すると ゲルは脱水されて白くなります
42
00:03:09,756 --> 00:03:13,660
そこまで行きましたら 次に
43
00:03:13,660 --> 00:03:16,96
(チューブの)蓋を開けた状態で
44
00:03:16,96 --> 00:03:20,66
開いているところに
パラフィルムをします
45
00:03:20,66 --> 00:03:25,805
そして 針で5カ所ほど
(パラフィルムに)穴を空けます
46
00:03:25,805 --> 00:03:30,643
(真空乾燥器にセットしたら) 15分間
真空ポンプを動かして乾燥します
47
00:03:30,643 --> 00:03:34,714
すると ゲルがパサパサに
乾燥した状態になります
48
00:03:34,714 --> 00:03:43,23
乾いたら取り出して
パラフィルムをはがします
49
00:03:43,23 --> 00:03:50,497
はがしたときに 静電気で
乾燥したゲルが飛び出してくることがあります
50
00:03:50,497 --> 00:03:59,272
なので はがすときには
慎重に行ってください
51
00:03:59,272 --> 00:04:03,76
パラフィルムを取ったら
蓋を閉めます
52
00:04:04,310 --> 00:04:09,49
次に トリプシンの溶液を加えます
53
00:04:09,649 --> 00:04:12,652
それを氷の上に置いておきます
54
00:04:12,652 --> 00:04:14,254
30分静置します
55
00:04:14,254 --> 00:04:19,392
すると ゲルの中にトリプシンがしみ込んで
56
00:04:19,392 --> 00:04:24,864
乾燥していたゲルが
みずみずしい状態になります
57
00:04:24,864 --> 00:04:26,332
(次はチューブに) 蓋をします
58
00:04:26,332 --> 00:04:34,174
蓋をした上から パラフィルムを巻いて
密閉性を高めます
59
00:04:34,174 --> 00:04:37,977
この状態で
37℃のインキュベーターに入れます
60
00:04:38,11 --> 00:04:42,982
すると ゲルの中にある
固定されていたタンパク質に
61
00:04:42,982 --> 00:04:45,85
トリプシンが作用します
62
00:04:45,85 --> 00:04:51,825
タンパク質の中の
リジンとアルギニンのC末端側で切断されて
63
00:04:51,825 --> 00:04:53,560
分子量が小さくなります
64
00:04:53,560 --> 00:04:57,230
リジンやアルギニンは
タンパク質の中にたくさんありますので
65
00:04:57,230 --> 00:05:03,203
色々な種類の
とても小さな断片がたくさんできます
66
00:05:03,203 --> 00:05:07,7
K・R・K・R と
模式図で描かれていますが
67
00:05:07,7 --> 00:05:09,743
それが
リジンとアルギニンを表しています
68
00:05:09,743 --> 00:05:13,13
それにトリプシンを作用させると
69
00:05:13,13 --> 00:05:22,555
分子量が数百から数千程度の
小さなペプチドの混合物になります
70
00:05:22,555 --> 00:05:25,125
このように低分子になると
71
00:05:25,125 --> 00:05:28,561
もう ゲルの中にはとどまらないので
72
00:05:28,561 --> 00:05:31,564
抽出することができるようになります
(21)ペプチドの質量分析(質量分析計のしくみ)
水圏生化学実験(タンパク質)(21)ペプチドの質量分析(質量分析計のしくみ)
用語集
MALDI-TOF型質量分析計(マルディトフがたしつりょうぶんせきけい):マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計
α-CHCA(アルファシーエイチシーエー):MALDI-TOFMS用のマトリクス
アセトニトリル:有機溶媒の1種
トリフルオロ酢酸:カルボン酸の1種
マトリクス:ターゲット化合物のイオン化を支援する化合物
リフレクター:反射器
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:10,643
(37℃ のインキュベーターで
一晩 消化反応を進めました)
2
00:00:10,643 --> 00:00:12,812
(テキストから)変更する点は
3
00:00:12,812 --> 00:00:19,285
50% アセトニトリル
5% トリフルオロ酢酸(TFA)を50μl 加え
4
00:00:19,285 --> 00:00:21,588
というところが
25μl に変更になります
5
00:00:21,588 --> 00:00:22,889
(それから)30分間
6
00:00:22,889 --> 00:00:27,794
振盪器で攪拌とありますが
これを半分の15分に変更します
7
00:00:27,794 --> 00:00:30,296
ゲルの塊のようなものが
できますが
8
00:00:30,296 --> 00:00:34,734
それではなくて
液体の部分をほんの少量でよいです
9
00:00:34,734 --> 00:00:40,240
0.5μl をステンレスプレートの
所定の位置にのせます
10
00:00:40,240 --> 00:00:44,944
ここから 質量分析計での分析です
11
00:00:44,944 --> 00:00:48,281
これは 質量分析計の模式図です
12
00:00:48,281 --> 00:00:53,653
分子量を非常に精密に
分析できる装置です
13
00:00:53,653 --> 00:00:56,289
質量分析計にも 様々なタイプがあって
14
00:00:56,289 --> 00:01:02,862
今回使うのは
MALDI-TOF型質量分析計です
15
00:01:02,862 --> 00:01:11,304
Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization
- Time Of Flight の略です
16
00:01:11,304 --> 00:01:14,808
レーザーを使います
17
00:01:14,808 --> 00:01:18,478
ステンレスプレートの上に
試料をのせて
18
00:01:18,478 --> 00:01:23,283
さらにその上に
マトリクスと呼ばれる物質をのせます
19
00:01:23,283 --> 00:01:30,90
今回 (マトリクスとして)使うのは
α-CHCA
20
00:01:30,90 --> 00:01:32,92
こういう物質になります
21
00:01:32,92 --> 00:01:35,195
ベンゼン環を持っています
22
00:01:35,195 --> 00:01:39,566
マトリクスと試料を混ぜたものを
用意して
23
00:01:39,566 --> 00:01:42,302
それを乾燥し
結晶にします
24
00:01:42,302 --> 00:01:44,537
そこにレーザーを当てます
25
00:01:44,537 --> 00:01:48,842
レーザーの波長が355nm の
紫外線です
26
00:01:48,842 --> 00:01:54,180
紫外線を当てると
マトリクスがそれを吸収する
27
00:01:54,180 --> 00:01:59,719
そのエネルギーが試料の分子にうつると
28
00:01:59,719 --> 00:02:04,391
試料がイオン化されて
蒸発しやすくなります
29
00:02:04,391 --> 00:02:09,95
プラスのイオンとマイナスのイオンが
同時にできますが
30
00:02:09,95 --> 00:02:16,403
このうちプラスのイオンにだけ
高電圧をかけて 蒸発してきたものを
31
00:02:16,403 --> 00:02:20,206
引き出し さらに加速します
32
00:02:20,206 --> 00:02:23,276
こちら側に加速されます
33
00:02:23,276 --> 00:02:29,549
加速された先に勢い余って
飛び出していきます
34
00:02:29,549 --> 00:02:33,486
1m 2m の距離を飛んでいきます
35
00:02:33,486 --> 00:02:37,791
そして リフレクターという
特殊な電極があります
36
00:02:37,791 --> 00:02:43,830
(リフレクターで) イオンが曲げられて
(検出器)に到達すると 検出されます
37
00:02:43,830 --> 00:02:49,102
レーザーを当てるタイミングと
加速するタイミング
38
00:02:49,102 --> 00:02:52,405
それは同期しています
39
00:02:52,405 --> 00:02:58,111
加速してから
検出器にイオンが飛んできて
40
00:02:58,111 --> 00:03:02,515
検出されるまでの時間を
正確に測定する
41
00:03:02,515 --> 00:03:05,552
ナノ秒単位で正確に測定します
42
00:03:05,552 --> 00:03:10,557
すると 重いもの
質量が大きなものは
43
00:03:10,557 --> 00:03:14,27
検出器に到達するまでに
時間がかかる
44
00:03:14,27 --> 00:03:15,962
質量が小さいものは 早く到達する
45
00:03:15,962 --> 00:03:17,897
(到達する時間に) 差が生まれます
46
00:03:17,897 --> 00:03:22,836
それから こういう関係式がありますので
47
00:03:22,836 --> 00:03:26,406
イオンの質量が求められます
48
00:03:26,406 --> 00:03:31,845
飛行する時間を測定するので
飛行時間型の質量分析計と呼ばれます
49
00:03:31,845 --> 00:03:37,450
それがTOFと呼ばれる方式です
50
00:03:37,450 --> 00:03:40,653
イオン化のしかたは MALDI
(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)
51
00:03:40,653 --> 00:03:46,259
それから 質量の求め方は
TOF (Time Of Flight)
52
00:03:46,259 --> 00:03:49,229
MALDI-TOF型質量分析計
という装置です
(22)ペプチドの質量分析(質量分析計の使用)
水圏生化学実験(タンパク質)(22)ペプチドの質量分析(質量分析計の使用)
用語集
質量分析計(しつりょうぶんせきけい):原子や分子の質量を測定する装置
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:07,907
これが質量分析計です
2
00:00:07,907 --> 00:00:10,210
これが機械の本体で
3
00:00:10,210 --> 00:00:12,645
これが制御用の
コンピューターです
4
00:00:12,645 --> 00:00:15,448
こちらがデータを解析する用の
コンピューターです
5
00:00:15,448 --> 00:00:16,316
この本体を
6
00:00:16,316 --> 00:00:19,119
ちょっと近くに来てみてください
7
00:00:23,857 --> 00:00:26,593
ここがレーザーの光源
8
00:00:26,593 --> 00:00:29,429
ここからレーザーが
こちらに出ます
9
00:00:29,429 --> 00:00:31,564
ここに鏡があって
10
00:00:31,564 --> 00:00:32,399
こちらに反射して
11
00:00:32,399 --> 00:00:34,34
ここから (レーザーが)入っていきます
12
00:00:34,34 --> 00:00:36,703
この中にプレートを入れます
13
00:00:36,703 --> 00:00:38,938
ここにガラスの小さい窓がついていて
14
00:00:38,938 --> 00:00:40,440
そこにレーザーが通って
15
00:00:40,440 --> 00:00:42,876
中のプレートにレーザー光が当たります
16
00:00:44,277 --> 00:00:47,280
プレートはここから
17
00:00:47,280 --> 00:00:53,987
アームのようなものが
出てくるのでそこに入れます
18
00:00:53,987 --> 00:00:56,156
ここでイオンができて
19
00:00:56,156 --> 00:01:01,161
加速されて
この中を通っていきます
20
00:01:01,161 --> 00:01:04,164
ここはイオンの選別をする機能が
ついていますが
21
00:01:04,164 --> 00:01:06,733
今回は それは使っていないです
22
00:01:06,733 --> 00:01:09,169
ここは素通りして
飛んでいって
23
00:01:09,169 --> 00:01:10,470
奥までいって
戻ってきて
24
00:01:10,470 --> 00:01:13,373
ここら辺に 検出器があって
25
00:01:13,373 --> 00:01:18,812
そこまでのかかる時間を測って
分子量を計算します
26
00:01:18,812 --> 00:01:20,547
下の方には
27
00:01:20,547 --> 00:01:24,884
加速電圧を作るための
電源装置があります
28
00:01:24,884 --> 00:01:29,22
同じような機械が
たくさん並んでいます
29
00:01:29,22 --> 00:01:32,959
電源装置と 電源を切ったり入れたりする
装置があります
30
00:01:32,959 --> 00:01:36,262
こちら側だけ閉めておきます
31
00:01:36,262 --> 00:01:42,435
まずは プレートを入れます
32
00:01:42,435 --> 00:01:46,573
プレートを変える毎に
校正が必要です
33
00:01:48,875 --> 00:01:51,211
アームが出てきます
34
00:01:56,416 --> 00:01:58,385
(プレートを挿入します)
35
00:02:00,153 --> 00:02:01,721
入っていきます
36
00:02:01,721 --> 00:02:05,892
この丸いものがプレートにある
穴です
37
00:02:07,627 --> 00:02:10,330
ここにあるのが模式図で
38
00:02:10,330 --> 00:02:14,67
クリックすると
その場所が表示されます
39
00:02:14,67 --> 00:02:15,335
(TA 大学院生)
G1番を選びます
40
00:02:15,335 --> 00:02:19,839
(TA 大学院生)
そしてレーザーを当てるボタンを
押してください
41
00:02:19,839 --> 00:02:22,509
(TA 大学院生)
レーザーが出るまで 待ちます
42
00:02:23,843 --> 00:02:25,178
(TA 大学院生)
出ました
43
00:02:26,680 --> 00:02:30,417
(TA 大学院生)
どんどん ピークができていきます
44
00:02:47,500 --> 00:02:50,470
(TA 大学院生) はい 終わりました
それでは 保存しましょう
45
00:02:50,470 --> 00:02:53,540
(TA 大学院生) 上から3つ目の
view data です
46
00:02:53,540 --> 00:02:55,542
(TA 大学院生) Data Explorer で
見るという意味です
47
00:02:55,542 --> 00:03:01,915
(TA 大学院生) すると タブを切り替えると
Data Explorer にデータが出ます
48
00:03:01,915 --> 00:03:04,551
(TA 大学院生) そこです
そこを右クリックして
49
00:03:04,551 --> 00:03:06,353
(TA 大学院生)
Copy All Peaks
50
00:03:08,121 --> 00:03:10,690
(TA 大学院生)
そうしたら エクセルを開いて
51
00:03:10,690 --> 00:03:13,526
(TA 大学院生)
新しいシートを作って
52
00:03:13,526 --> 00:03:14,694
(TA 大学院生)
そこに貼り付けます
(23)ペプチドの質量分析(マススペクトルの解釈)
水圏生化学実験(タンパク質)(23)ペプチドの質量分析(質量スペクトルの解釈)
用語集
PMF(ピーエムエフ):ペプチドマスフィンガープリンティング
アイソトープ:同位体
同位体(どういたい):原子番号が同じで、中性子数の異なる核種を互いに同位体という
ヒストグラム:縦軸に度数、横軸に階級をとるグラフ
モノアイソトピックマス:モノアイソトピック質量、単一の同位体から成る分子の質量
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:10,577
タンパク質の同定に使う
分子量の値としては
2
00:00:10,577 --> 00:00:14,914
集まっているピークの中の
一番分子量の小さなもの
3
00:00:14,914 --> 00:00:17,17
一番左側のものを使います
4
00:00:17,17 --> 00:00:25,658
それは モノアイソトピックマス
といいます
5
00:00:25,658 --> 00:00:30,830
アイソトピックとは何かというと
アイソトープは同位体のことです
6
00:00:30,830 --> 00:00:36,770
ピークが複数に
1ずつずれて出てくるのは
7
00:00:36,770 --> 00:00:45,11
自然界に存在する
炭素原子の同位体と関係があります
8
00:00:45,11 --> 00:00:52,419
自然界に存在する炭素の
大部分 99% がC12です
9
00:00:52,419 --> 00:00:58,792
陽子と中性子の数が6個ずつの
C12が99% です
10
00:00:58,792 --> 00:01:07,934
しかし 陽子の数が6個 中性子の数が7個の
原子核をもった C13というのが1% 存在します
11
00:01:07,934 --> 00:01:12,706
C14というのは 放射性で
もっと割合は少ないです
12
00:01:12,706 --> 00:01:18,144
天然の炭素原子には
このように (3種類の同位体が)含まれます
13
00:01:18,144 --> 00:01:24,584
(炭素原子)で 生物の体も
タンパク質も ペプチドもできているので
14
00:01:24,584 --> 00:01:28,154
ペプチドの中にも
15
00:01:28,154 --> 00:01:36,96
炭素の原子が100個あれば
そのうち 1個はC12ではなく C13でしょう
16
00:01:36,96 --> 00:01:40,900
およそそれくらいの割合で
C13が含まれています
17
00:01:40,900 --> 00:01:48,141
モノアイソトピックマスのピークを
与えたペプチドは
18
00:01:48,141 --> 00:01:52,178
全ての炭素原子が
C12でできています
19
00:01:52,178 --> 00:01:58,585
ペプチドはアミノ酸が
5個とか10個とか20個 つながったものです
20
00:01:58,585 --> 00:02:05,458
炭素原子はその中に
10個 20個どころか 100個とかたくさんあります
21
00:02:05,458 --> 00:02:12,265
それが全部C12の場合は
モノアイソトピックマスを示します
22
00:02:12,265 --> 00:02:17,904
1個だけ C13が入っているという分子も
ある程度 あります
23
00:02:17,904 --> 00:02:21,808
それが (分子量が)1大きいところに
(ピークが) 出る理由です
24
00:02:21,808 --> 00:02:32,185
2個 C13が入っているという分子もあって
もう1つ大きいところに(ピークが)出ます
25
00:02:32,185 --> 00:02:35,522
その図にあるように
26
00:02:35,522 --> 00:02:44,97
分子量が600 当たりで一番高いピークは
モノアイソトピックマスです
27
00:02:44,97 --> 00:02:49,135
分子量が1800 くらいの
左から3番目のピークは
28
00:02:49,135 --> 00:02:57,344
モノアイソトピックマス(のピーク)と
1個だけC13が入っているピークは
29
00:02:57,344 --> 00:03:00,46
だいたい高さが同じになります
30
00:03:00,46 --> 00:03:07,420
ペプチドの分子量が大きくなると
炭素原子の数も多くなるからです
31
00:03:07,420 --> 00:03:12,959
そこにC13が1個入っている
という確率がだんだん高くなる
32
00:03:12,959 --> 00:03:19,566
さらに分子量が大きくなると
モノアイソトピックマスを示すものは ピークが低くなって
33
00:03:19,966 --> 00:03:27,907
C13が1個入っているもの 2個入っているものの方が
量が多くなります
34
00:03:27,907 --> 00:03:31,878
どの場合でも
PMFでタンパク質の同定をするときに
35
00:03:31,878 --> 00:03:37,384
重要なのは
モノアイソトピックマスの値です
36
00:03:37,384 --> 00:03:42,789
質量分析計は
分子量1の違いも測定できる
37
00:03:42,789 --> 00:03:50,797
1の誤差もないからこそ
タンパク質の同定ができます
38
00:03:50,797 --> 00:03:57,771
それを意識しながら
解析を行う必要があります
39
00:03:57,771 --> 00:04:03,9
モノアイソトピックマスの
ピークのリストを作ってもらいます
40
00:04:03,9 --> 00:04:08,348
最終的にピークのリストを
エクセルシートの形で保存します
41
00:04:08,348 --> 00:04:10,316
そのデータを使って
42
00:04:10,316 --> 00:04:15,355
PMF解析による
タンパク質の同定を(行います)
43
00:04:15,355 --> 00:04:17,257
最終的に
44
00:04:17,257 --> 00:04:23,96
電気泳動でも行った
どのバンドがどういう結果になりましたという
45
00:04:23,96 --> 00:04:25,231
一覧が完成します
(24)タンパク質の同定(解説)
水圏生化学実験(タンパク質)(24)タンパク質の同定(解説)
用語集
Centroid Mass(セントロイドマス)
S/N Ratio(エスエヌレシオ):SN比、信号と雑音の比
アクトミオシン:アクチンとミオシンの結合体
筋形質画分(きんけいしつかくぶん):筋繊維の細胞質の一部の成分を取り分けたもの
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:08,508
バンドのタンパク質の
同定ということで
2
00:00:08,508 --> 00:00:10,810
ゲル内消化した
3
00:00:10,810 --> 00:00:13,980
バンドのタンパク質の質量分析を行い
4
00:00:13,980 --> 00:00:17,217
質量スペクトルをとりました
5
00:00:17,217 --> 00:00:22,489
今日は このデータに基づいて
6
00:00:22,489 --> 00:00:24,424
ネット検索をして
7
00:00:24,424 --> 00:00:27,594
そのタンパク質が
何なのかを決定します
8
00:00:27,594 --> 00:00:32,565
正面のスクリーンに出ているのは
9
00:00:32,565 --> 00:00:33,500
アクトミオシンについては
10
00:00:33,500 --> 00:00:39,539
AM1からAM9の 9つのタンパク質
11
00:00:39,539 --> 00:00:41,408
筋形質画分タンパク質は
12
00:00:41,408 --> 00:00:46,813
SP1からSP12の 12種のバンドです
13
00:00:46,813 --> 00:00:52,452
青い文字は担当した班です
14
00:00:52,452 --> 00:00:59,592
これに 皆さんのタンパク質同定結果を
書き込んでもらって
15
00:00:59,592 --> 00:01:01,961
表を完成させます
16
00:01:01,961 --> 00:01:06,232
筋形質画分の11番は
今年のデータがありません
17
00:01:06,232 --> 00:01:13,640
実は 去年のデータがあるので
18
00:01:13,640 --> 00:01:19,713
それを使って 今日の作業を説明します
19
00:01:19,713 --> 00:01:30,657
スペクトルの下のピークリストから
データをエクセルに貼り付けます
20
00:01:30,657 --> 00:01:33,293
機械的に分子量1000以下の行を削除します
21
00:01:33,293 --> 00:01:37,697
エクセルシート 1行目は項目行
22
00:01:37,697 --> 00:01:39,866
ここは選択せずに
その下の行(2行目)からです
23
00:01:39,866 --> 00:01:43,436
A列はIndexで番号がついています
そのすぐ右側の
24
00:01:43,436 --> 00:01:48,274
B列が分子量で 506など
値が入っています
25
00:01:48,274 --> 00:01:49,309
2行目以下を選択します
26
00:01:49,309 --> 00:01:52,979
1000以下の行を全て選択します
27
00:01:52,979 --> 00:01:58,618
右クリックから 削除します
28
00:01:58,618 --> 00:02:05,759
次に シートの左上をクリックして
シート全体を選択します
29
00:02:05,759 --> 00:02:14,701
この状態で ホームタブの「並べ替えとフィルター」と
「ユーザー設定の並べ替え」をクリックします
30
00:02:14,701 --> 00:02:21,608
表示されたダイアログ内の左側
「最優先されるキー」をクリックします
31
00:02:21,608 --> 00:02:26,846
1行目の項目行の
項目が選択できます
32
00:02:26,846 --> 00:02:30,83
項目から 「S/N Ratio」 を選択します
33
00:02:30,83 --> 00:02:34,320
SはSignal NはNoise
34
00:02:34,320 --> 00:02:37,390
ノイズに対する シグナルの比
ということです
35
00:02:37,390 --> 00:02:46,66
ノイズに対してピークのシグナルがどれくらい
はっきりしているかを表す数値です
36
00:02:46,66 --> 00:02:54,140
次に 右端の「順序」を
「降順(大きい順)」にします
37
00:02:54,140 --> 00:02:56,142
「OK」をクリック
38
00:02:56,142 --> 00:03:03,49
S/N Ratio の大きい順に
並べ替えられます
39
00:03:03,49 --> 00:03:07,153
1番大きいのは1943で
段々小さくなっていきます
40
00:03:07,153 --> 00:03:12,492
次に 「Centroid Mass」の列
41
00:03:12,492 --> 00:03:17,864
その列だけを選択
42
00:03:17,864 --> 00:03:23,403
S/N Ratio が
20以上のものだけ選択します
43
00:03:23,403 --> 00:03:32,45
そしてこれをコピーします
(25)タンパク質の同定(Mascotでの検索)
水圏生化学実験(タンパク質)(25)タンパク質の同定(Mascotでの検索)
用語集
Adenylate kinase isoenzyme 1(アデニレートキナーゼアイソザイムワン):アデニル酸キナーゼ、ADPの再利用に作用する酵素
hypothetical protein(ハイポセティカルプロテイン):仮定的タンパク質
peptide tol.(ペプチドトル):ペプチドの分子量の誤差範囲
アクセッションID:アミノ酸配列に与えられた固有の番号
ゲノム:全遺伝情報
ゲノムプロジェクト:ある生物の全DNA配列を決定する取り組み
メチオニン:アミノ酸の1種
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:13,79
北大の 「Mascot Server」にアクセス
2
00:00:13,79 --> 00:00:20,787
左上の「Mascot」をクリック
3
00:00:20,787 --> 00:00:23,89
Peptide Mass Fingerprint
というのが
4
00:00:23,89 --> 00:00:26,760
これから行う PMF
5
00:00:26,760 --> 00:00:31,197
PMFは Peptide Mass Fingerprint
の略になります
6
00:00:31,197 --> 00:00:33,400
これをクリックすると
7
00:00:33,400 --> 00:00:34,467
入力画面になります
8
00:00:34,467 --> 00:00:37,837
1番下の大きい入力欄に
9
00:00:37,837 --> 00:00:48,314
(エクセルからのデータを)
貼り付けます
10
00:00:48,314 --> 00:00:53,19
そのほかの様々な設定を
適切に行います
11
00:00:53,19 --> 00:01:03,296
Databaseは
「NCBIcarp」を選択します
12
00:01:03,296 --> 00:01:10,937
その下の
Taxonomy(分類)は そのまま
13
00:01:10,937 --> 00:01:19,346
その下の Enzyme(酵素)は
使ったプロテアーゼの 「Trypsin」を選びます
14
00:01:19,346 --> 00:01:25,618
Allow up to 1 missed cleavages
というのは
15
00:01:25,618 --> 00:01:34,127
タンパク質をリジンとアルギニンのC末端で
切ったときに トリプシンが切り逃すことがあります
16
00:01:34,127 --> 00:01:40,200
リジンやアルギニンがあるけれども
そこで切らなかったということが ありえます
17
00:01:40,200 --> 00:01:47,741
1個 切り逃したペプチドの存在を想定する
設定になります
18
00:01:47,741 --> 00:02:02,722
2とすると 切り逃したリジンやアルギニンが
1か所 または2か所あることを想定した設定になります
19
00:02:02,722 --> 00:02:10,163
0から9まで設定できるので
デフォルトで まず検索してみて
20
00:02:10,163 --> 00:02:16,269
うまく同定できない人は
この数値を変えて やり直してみてください
21
00:02:16,269 --> 00:02:21,207
それから その下に modifications
というのが左と右にあります
22
00:02:21,207 --> 00:02:26,813
右の方(Variable modifications)を
スクロールしていくと
23
00:02:26,813 --> 00:02:31,918
「Oxidation(M)」(酸化)
というのがあります
24
00:02:31,918 --> 00:02:35,455
(M)と(HW) というのがあります
25
00:02:35,455 --> 00:02:40,794
M H W は
アミノ酸の1文字略号です
26
00:02:40,794 --> 00:02:48,501
Mはメチオニンです
メチオニンが 酸化されているかもしれない
27
00:02:48,501 --> 00:02:52,372
左側の内容は 必ず酸化されています
28
00:02:52,372 --> 00:02:58,345
右側の内容は 酸化されているかもしれない
という指定になります
29
00:02:58,345 --> 00:03:03,817
右の方だけ
「Oxidation(M)」を選んでください
30
00:03:03,817 --> 00:03:09,155
それから すごく大事なのが
その下の peptide tol. と書いてあるところです
31
00:03:09,155 --> 00:03:11,491
これは誤差です
32
00:03:11,491 --> 00:03:18,231
何の誤差かというと
先週分析した 質量分析の誤差になります
33
00:03:18,231 --> 00:03:22,802
誤差の数字が
大きすぎたり 小さすぎたりすると
34
00:03:22,802 --> 00:03:27,273
(タンパク質の)同定が
できたり できなかったりします
35
00:03:27,273 --> 00:03:35,148
この実験では
標準のペプチドを分析して校正をやったので
36
00:03:35,148 --> 00:03:39,753
精度は 非常に良くなっていると思います
37
00:03:39,753 --> 00:03:42,789
ここはデフォルトで
1.2となっていますが
38
00:03:42,789 --> 00:03:48,94
0.25 にしてください
39
00:03:48,94 --> 00:03:52,298
(設定を)確認したら
左下の 「Start Search」を押します
40
00:03:52,298 --> 00:03:55,802
サーバーがデータベースの中から
41
00:03:55,802 --> 00:04:05,812
入力した質量スペクトルを
与えるような配列を検索します
42
00:04:05,812 --> 00:04:08,615
これが検索結果画面になります
43
00:04:08,615 --> 00:04:12,18
画面の真ん中の辺りに
ヒストグラムがあります
44
00:04:12,18 --> 00:04:15,588
緑の斜線の四角があります
45
00:04:15,588 --> 00:04:20,860
その斜線の四角よりも右の方に
赤い棒が立っていると
46
00:04:20,860 --> 00:04:24,330
有意な同定ができた
ということになります
47
00:04:24,330 --> 00:04:28,968
もし緑の四角の中にしか
赤い棒がなかったら
48
00:04:28,968 --> 00:04:30,370
タンパク質が見つからない
49
00:04:30,370 --> 00:04:32,372
同定できなかった
ということになります
50
00:04:32,372 --> 00:04:36,710
その時は
前の画面に戻って
51
00:04:36,710 --> 00:04:41,314
パラメーターを変更して
また「Start Search」をクリックして
52
00:04:41,314 --> 00:04:47,220
なんとか赤い棒が緑の枠から出るように
試行錯誤します
53
00:04:47,220 --> 00:04:48,488
(Mascot searchの検索結果画面の)
下の方には
54
00:04:48,488 --> 00:04:52,692
何がヒットしたのか
という情報が書かれています
55
00:04:52,692 --> 00:04:56,596
赤い字でスコアが書かれているのが
有意なヒットということになります
56
00:04:56,596 --> 00:05:04,37
Adenylate kinase isoenzyme 1
という名前が出ています
57
00:05:04,37 --> 00:05:12,45
これが sp11の(バンドの)
タンパク質ということになります
58
00:05:12,45 --> 00:05:16,549
ここに青いリンクになっている
アクセッションIDがあります
59
00:05:16,549 --> 00:05:19,953
(アクセッションIDとタンパク質名)を
(エクセルの)表に入れます
60
00:05:19,953 --> 00:05:22,789
今はタンパク質名が
表示されましたが
61
00:05:22,789 --> 00:05:26,259
タンパク質名が
表示されないことがあります
62
00:05:26,259 --> 00:05:32,665
名前が出ないで
hypothetical protein (仮定的タンパク質)
63
00:05:32,665 --> 00:05:37,70
(名前ではなく)
数字しか出ないです
64
00:05:37,70 --> 00:05:42,208
それから predicted と
出ることもあります
65
00:05:42,208 --> 00:05:45,378
仮定的タンパク質(という表示)は
どういうことかというと
66
00:05:45,378 --> 00:05:47,714
そのようなタンパク質があると
仮定できるけれども
67
00:05:47,714 --> 00:05:51,418
本当にあるかどうか
まだ実験的に証明されていない
68
00:05:51,418 --> 00:05:54,554
という意味になります
69
00:05:54,554 --> 00:06:00,960
コイなどでも
ゲノムプロジェクトが進行していて
70
00:06:00,960 --> 00:06:06,733
全ゲノムの塩基配列を
どんどん分析していきましょう
71
00:06:06,733 --> 00:06:09,703
ということが 今行われています
72
00:06:09,703 --> 00:06:14,107
そのデータが
どんどん蓄積されていっているところです
73
00:06:14,107 --> 00:06:19,312
その塩基配列を機械的に
アミノ酸配列に翻訳してやると
74
00:06:19,312 --> 00:06:23,249
いろいろなタンパク質らしき
アミノ酸配列が たくさん出てきます
75
00:06:23,249 --> 00:06:28,655
そのアミノ酸配列を
データベースに登録しています
76
00:06:28,655 --> 00:06:31,791
だから 何というタンパク質か
わからないけれど
77
00:06:31,791 --> 00:06:35,228
とにかく コイの細胞の中に
そういうタンパク質があって
78
00:06:35,228 --> 00:06:39,999
発現していることが
仮定できますという意味です
79
00:06:39,999 --> 00:06:44,4
タンパク質の名前までは
はっきり示さないで
80
00:06:44,4 --> 00:06:46,906
配列がたくさん登録されています
81
00:06:46,906 --> 00:06:51,378
そして アクセッションIDは
与えられている
82
00:06:51,378 --> 00:06:55,15
というようなことが あります
83
00:06:55,15 --> 00:06:56,516
こういうとき どうするのか
84
00:06:56,516 --> 00:06:59,52
この場合は 一番上に
名前がついている(タンパク質)が ありましたし
85
00:06:59,52 --> 00:07:02,355
それが一番高いスコアを
与えたので 問題ありませんでした
86
00:07:02,355 --> 00:07:04,190
(タンパク質の名前がない)とき
どうするかというのは
87
00:07:04,190 --> 00:07:07,594
この青いリンクをクリックしたときに
88
00:07:07,594 --> 00:07:20,273
上の方に
NCBI BLAST search of KTF93928.1
89
00:07:20,273 --> 00:07:28,214
これは仮定的タンパク質についた
アクセッションIDです
90
00:07:28,214 --> 00:07:30,550
そういう表記が得られます
91
00:07:30,550 --> 00:07:33,586
仮定的タンパク質のアクセッションIDを
クリックして
92
00:07:33,586 --> 00:07:37,991
下にあるのが仮定的タンパク質の
アミノ酸配列です
93
00:07:37,991 --> 00:07:41,227
それが 既に入力された形で
94
00:07:41,227 --> 00:07:43,763
BLASTというページの
95
00:07:43,763 --> 00:07:47,567
ここに アクセッションID
またはアミノ酸配列を入力
96
00:07:47,567 --> 00:07:50,303
というのが済んだ状態で
表示されます
(26)タンパク質の同定(BLASTでの検索)
水圏生化学実験(タンパク質)(26)タンパク質の同定(BLASTでの検索)
用語集
Adenylate kinase(アデニレートキナーゼ):アデニル酸キナーゼ、ADPの再利用に作用する酵素
BLAST(ブラスト):Basic Local Alignment Search Tool、相同性検索を行うプログラム
pI(ピーアイ):等電点
陰イオン交換クロマトグラフィー:タンパク質を電荷の違いによって分離する手法
カルボキシル基:COOH基、カルボン酸の官能基
担体(たんたい):他の物質を固定する土台となる物質
等電点(とうでんてん):電荷が0になるときのpH
グルタミン酸:アミノ酸の1種
リジン:アミノ酸の1種
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:10,643
一番下に「BLAST」というのが出ていますので
それをクリックします
2
00:00:10,643 --> 00:00:14,781
途中で 設定するところありますけれども
設定しなくてもいいです
3
00:00:14,781 --> 00:00:16,916
これは何をしているかというと
4
00:00:16,916 --> 00:00:20,954
入力したアミノ酸配列と
似たアミノ酸配列が
5
00:00:20,954 --> 00:00:25,725
データベースの中に
どれくらいあるかを 検索しています
6
00:00:25,725 --> 00:00:31,131
ただそのデータベースというのは
コイや魚に限定したものではなく
7
00:00:31,131 --> 00:00:35,635
あらゆる生物
あらゆるアミノ酸配列
8
00:00:35,635 --> 00:00:40,607
微生物も植物もヒトも
9
00:00:40,607 --> 00:00:45,11
全て含まれる
データベースの中から検索しています
10
00:00:45,11 --> 00:00:47,580
そういうものの中には
11
00:00:47,580 --> 00:00:52,819
もう既に この配列は
何のタンパク質か
12
00:00:52,819 --> 00:00:56,256
名前がはっきり 確定しているものが
たくさんあります
13
00:00:56,256 --> 00:00:59,25
しばらく待っていると
(次の)画面が表示されます
14
00:00:59,25 --> 00:01:04,597
下の方に
リストがあります
15
00:01:04,597 --> 00:01:06,666
(リストを)拡大してみると
16
00:01:06,666 --> 00:01:11,671
一番上は
ヒットしたタンパク質です
17
00:01:11,671 --> 00:01:16,176
Mascot searchでヒットした
仮定的タンパク質です
18
00:01:16,176 --> 00:01:19,979
名前がついていない タンパク質が
一番上に出てきます
19
00:01:19,979 --> 00:01:24,784
ヒットしたタンパク質も 含まれている
データベースなので当たり前です
20
00:01:24,784 --> 00:01:28,888
右の方に Identと
書いてある列が あります
21
00:01:28,888 --> 00:01:31,624
これは配列の同一率です
22
00:01:31,624 --> 00:01:35,528
100%というのは
完全に配列が一致しています
23
00:01:35,528 --> 00:01:41,468
(同一率)が高い順番に
並んでいます
24
00:01:41,468 --> 00:01:44,270
2つ目から下を見ていくと
25
00:01:44,270 --> 00:01:47,707
軒並み Adenylate kinase
ばかりに なっています
26
00:01:47,707 --> 00:01:53,179
というのを 確認することで
ヒットしたのが hypothetical protein でも
27
00:01:53,179 --> 00:01:56,516
これは Adenylate kinase
ということがわかります
28
00:01:56,516 --> 00:01:58,752
Adenylate kinase
だということは
29
00:01:58,752 --> 00:02:05,125
最初の Mascot search の
段階で
30
00:02:05,125 --> 00:02:06,92
わかっていたけれども
31
00:02:06,92 --> 00:02:11,898
BLAST検索を行って
確認するのがよいと思います
32
00:02:11,898 --> 00:02:15,869
リストのリンクをクリックして
33
00:02:15,869 --> 00:02:24,144
上の方に分子量と等電点を
計算したものが 表示されます
34
00:02:24,144 --> 00:02:28,381
この場合だと 21475
35
00:02:28,381 --> 00:02:32,352
細かな分子量の数字が
表示されています
36
00:02:32,352 --> 00:02:41,127
これは データベースでヒットした アミノ酸配列から
計算で 求めた分子量です
37
00:02:41,127 --> 00:02:44,664
SDS-PAGE で求めた
分子量もありますね
38
00:02:44,664 --> 00:02:55,108
SDS-PAGE の分子量マーカーの移動度と
分子量の対数値の関係をグラフにしました
39
00:02:56,576 --> 00:03:00,580
そして そのグラフ 検量線から
40
00:03:00,580 --> 00:03:08,521
PMFで試料とした タンパク質の
分子量を求めることを 課題としています
41
00:03:08,521 --> 00:03:14,627
求めた分子量と
ヒットしたタンパク質のアミノ酸配列から
42
00:03:14,627 --> 00:03:20,233
計算された分子量が
どのくらい一致しているか
43
00:03:20,233 --> 00:03:22,535
一致していないとすれば
それはどうしてなのか
44
00:03:22,535 --> 00:03:24,871
ということを
考察してください
45
00:03:24,871 --> 00:03:28,842
等電点 Calculated pI value
というのがあります
46
00:03:28,842 --> 00:03:32,412
pI というのは等電点です
47
00:03:32,412 --> 00:03:39,719
等電点というのは
タンパク質のみかけの荷電状態が0になる
48
00:03:39,719 --> 00:03:44,624
±0になる pHになります
49
00:03:44,624 --> 00:03:49,996
等電点が7より小さいタンパク質は
酸性タンパク質です
50
00:03:49,996 --> 00:03:53,33
酸性アミノ酸が相対的に多いです
51
00:03:53,66 --> 00:03:58,4
等電点が7より大きいタンパク質は
塩基性タンパク質です
52
00:03:58,4 --> 00:04:03,476
酸性アミノ酸が塩基性アミノ酸よりも
相対的に少ないというもので
53
00:04:03,476 --> 00:04:09,482
これも全部計算で
配列から求められます
54
00:04:09,482 --> 00:04:13,186
リジンが何個あるか
グルタミン酸が何個あるか
55
00:04:13,186 --> 00:04:19,125
カルボキシル基が合計何個あるから
計算で等電点がいくつになるか 求められます
56
00:04:19,125 --> 00:04:23,29
このようにして ヒットしたタンパク質について
57
00:04:23,29 --> 00:04:26,900
計算で求めた等電点があります
58
00:04:26,900 --> 00:04:31,404
等電点が6.64となっています
59
00:04:31,404 --> 00:04:39,512
6.64で7よりも小さいということは
弱い酸性のタンパク質です
60
00:04:39,512 --> 00:04:44,984
なので それを
陰イオン交換クロマトグラフィーにかけたら
61
00:04:44,984 --> 00:04:53,159
弱い酸性ですから
弱く担体と結合していたことが推測されます
62
00:04:53,159 --> 00:04:57,330
実際どうだったかというのを
考察してください
63
00:04:57,330 --> 00:05:03,370
等電点がすごく小さい
(例えば)4などに計算される場合は
64
00:05:03,370 --> 00:05:07,474
これよりももっと強く担体と
結合するので
65
00:05:07,474 --> 00:05:09,642
遅れて出てきます
66
00:05:09,642 --> 00:05:12,979
逆に等電点が7よりも
大きかった場合
67
00:05:12,979 --> 00:05:17,684
塩基性のタンパク質ですから
担体には結合しないで 素通りして出てきます
68
00:05:17,684 --> 00:05:21,654
最初の方のピークに
見られたはず ということになります
69
00:05:21,654 --> 00:05:27,193
それも 矛盾がないかどうか
検討して
70
00:05:27,193 --> 00:05:31,297
矛盾があるとしたらそれは
どうしてなのか ということを考察してください
(27)タンパク質の同定(NCBIデータベースでの検索)
水圏生化学実験(タンパク質)(27)タンパク質の同定(NCBIデータベースでの検索)
用語集
BLAST(ブラスト):Basic Local Alignment Search Tool、相同性検索を行うプログラム
NCBIデータベース(エヌシービーアイでーたべーす):National Center for Biotechnology Information、米国国立バイオテクノロジー情報センターが運用するデータベース
字幕
1
00:00:05,605 --> 00:00:10,744
NCBI database というのは
BLAST ではありません
2
00:00:10,744 --> 00:00:14,481
(Mascot server) で取得した
アクセッションIDを使います
3
00:00:14,481 --> 00:00:21,788
上の方のAll Databases と
書いてあるところを Proteinにします
4
00:00:21,788 --> 00:00:28,128
そして アクセッションIDを入力します
5
00:00:28,128 --> 00:00:30,697
Search をクリックすると
6
00:00:30,697 --> 00:00:36,936
そのアクセッションIDに登録されている
中身の詳細が表示されます
7
00:00:38,304 --> 00:00:44,110
下の方に アミノ酸配列も
一文字略号で示されています
8
00:00:44,110 --> 00:00:47,714
そのタンパク質についての
詳細な情報です
9
00:00:47,714 --> 00:00:52,519
何という生き物から
得られたのかなどが 書かれています
10
00:00:52,519 --> 00:00:59,959
例えば この例だったら
organism のところに
11
00:00:59,959 --> 00:01:03,229
どういう生物なのか
学名が書いてあります
12
00:01:03,229 --> 00:01:04,931
Cyprinus carpio
13
00:01:04,931 --> 00:01:06,966
これは コイの学名になります
14
00:01:06,966 --> 00:01:09,636
それから female なので
メスです
15
00:01:09,636 --> 00:01:18,211
メスの個体から得られた
アミノ酸配列を示しています
16
00:01:18,278 --> 00:01:21,348
材料は何かというと
blood 血です
17
00:01:21,348 --> 00:01:23,683
血からこの配列を得ました
18
00:01:23,683 --> 00:01:28,288
それから developmental stage は
Adult 成体から得たものです
19
00:01:28,288 --> 00:01:33,760
それから 誰がこのデータを
登録したのかという 人の名前です
20
00:01:33,760 --> 00:01:38,965
どういう論文に載っているのか
という情報がここに載っています
21
00:01:38,965 --> 00:01:46,306
ここにタンパク質の名前が
書いてある場合もあります
22
00:01:46,306 --> 00:01:51,745
(表にタンパク質名などの
情報を記入していきます)
23
00:01:51,745 --> 00:01:56,750
(完成した表)
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