Topic outline
「魚病学」について
魚病学とは?
魚の感染症に関する研究です。
病気になった魚がどのような症状を起こすのか、それに対して生体防御がどのように働くのか、などを広く学びます。
病気になった魚の例
カンパチの主な疾病を例に多様な疾病を紹介します。
赤字で示された疾病はワクチンを利用して予防が可能で、緑字の疾病は投薬治療が出来ます。それ以外の病気については薬に頼ることは現状厳しく、飼育環境の改善などの工夫で防いでいくしかありません。
それぞれの疾病は、3年次の魚病学で説明します。
では、日本で主に養殖されている魚種を見てみましょう。
畜産では主に牛、豚、鶏に限られているものの、水産養殖ではこのように多種多様な魚介類が生産され、今現在も新たな養殖品種が開発されています。
しかし、魚を飼育するときに、各魚種ごとの病気が発生するのが養殖現場の悩みになっています。
日本は生産量100万トンに対し,魚病被害額100億円程度です。
これを世界の養殖業生産量11,451万トンに当てはめると1兆円超の魚病被害と推計されます。
魚病研究の事例:サケ科魚ヘルペスウイルス
- 1978年に北海道大学水産学部の木村教授らによって分離
- 日本由来株は株によって病原性および腫瘍原性が異なる
サクラマスとギンザケ由来の株は腫瘍を誘発しますが(腫瘍原性あり)、ニジマス由来は腫瘍ができない(腫瘍原性なし)とされています。
これの原因がウイルスの違いによるものか、宿主(感染される側)の影響なのかについて研究しています。
診断,治療および予防
家畜の場合、獣医師が診断および治療を行いますが、魚の場合は、獣医師だけでなく資格を持っている県職員(公務員)が診断し、薬剤の使用指導書を発行します。
魚病の診断から使用指導書発行までの流れ
未知の病気や病原体の場合は,増養殖研の魚病診断センターか大学に依頼することになります。
飼育現場で行われる検体採取の様子
(注意!採血や解剖の映像が含まれています)
ここでOIEという組織についてご紹介したいと思います。
OIEは人間のWHOに相当する、動物の健康を守るための世界的な組織です。
まとめと今後の課題
- 魚にも多様な感染症が存在する
- 人間や動物と同様に,診断・治療および予防がなされている
- 水産用医薬品の開発促進,特にワクチンの開発が急務である