海洋物理学の教科書をパラパラめくると、流体力学の偏微分方程式がいきなり出てきて、初っ端から挫折してしまう人が多いハズである。本参考書の著者(大木)は物理学科出身なので、学部学生のころは、偏微分方程式は当たり前のように解いていた。しかし、20年以上も前のことなので、その感覚は何処かへ飛んで行ってしまったようだ。今からでも、再び流体力学を一から学ぶべきなのだが、ずっとサボり続けてきた。のちのち、本コースにて「ゼロからはじめる海洋物理学」の章を作ろう! と決心したときに、私も海洋物理学をゼロから学ぼうかと思う。
自分のことはさておき、海洋学の将来を担う若い人たちには、生物・化学屋を自認していても、是非海洋物理学も学んで欲しい。
以下は、海洋学の一般教科書の範ちゅうであるが、
海水の鉛直構造や水塊、海流については、「新しい海洋科学,能沢源右衛門著,成山堂書店」 30年前に出版された。永遠に「新しい」を冠してほしい! それより前の「古い海洋科学?」の教科書と比較したら違いを書評に記そう。初学者向けに丁寧に説明されている。ネットで中古本が手に入る。「ほぼ新品」は、プレミア価格で6000円!(「状態が良い」は1500円)
これから読んで学ぼうと思っているのが、「海洋の物理学, 現代地球科学入門シリーズ4, 共立出版, 花輪公雄著」です。こちらは出版されたばかり。パラパラ読んでいるところですが、説明が分かりやすい。
海の流れの仕組みを定性的に理解したいなら、「海の流れと波の科学,宇野木早苗著,東海大学出版」がお勧めです。私は本書で海の流れを定性的に理解したつもり(・・・)になれてよかった。また、海洋物理学をもう少し深く知りたい、というキッカケを与えてくれた本です。ただし、海洋物理学は、数式を組み立てシッカリ解いてゆくというのが基本なので、本書は海洋物理学入門には当てはまらないかもしれない。生物・化学屋が本書を読んで、海洋物理学に興味を持ち、その後海洋物理学に入門するのがよいでしょう。
(大木淳之)