章节大纲

  •  本研究によって,動物プランクトンの糞粒を定量する方法として,細かな目合いによるプランクトンネットにより採集された試料中に出現した糞粒を,画像イメージングスキャナにより定量する方法が有効であることが示されました。これは従来行われていたセジメントトラップによる捕集には,2~3日間の係留捕集期間が必要であるため明らかに出来なかった,糞粒現存量やサイズに昼夜差があることを明らかにすることの出来る方法です。動物プランクトンの糞粒は,海洋における物質循環において重要な駆動源であるだけで無く,現場におけるとくに深海の動物プランクトンにとっての餌資源としての役割があります。動物プランクトンの糞粒の量やサイズに明確な昼夜差があることは,それらを餌とする深海生物の生態に大きな影響を及ぼすことが予想され,今後の深海生物研究に応用されることが期待される技術的な手法です。

     本研究成果を用いることにより,海洋における動物プランクトンの糞粒の量をより正確に定量することが可能になり,地球環境変動に大きな影響を及ぼす海洋における物質循環の正確な定量評価に繋がることが期待されます。