用語集
アクチン:アクチンフィラメントを形作るタンパク質
遠沈管(えんちんかん):遠心分離機を用いた実験に使われる容器
解糖系(かいとうけい):糖の代謝経路
筋原線維(きんげんせんい):筋繊維内の微小な繊維
カラムクロマトグラフィー:筒状の容器(カラム)を利用して物質を分離、精製する手法
緩衝液(かんしょうえき):濃度が変化してもpH が大きく変化しない溶液
筋形質画分(きんけいしつかくぶん):筋繊維の細胞質の一部の成分を取り分けたもの
酵素(こうそ):タンパク質性の触媒
サイトゾル:細胞質から細胞小器官を除いた部分
サルコメア:筋原線維の構造および筋収縮の単位
熱変性(ねつへんせい):タンパク質が高温により変性すること
ミオグロビン:タンパク質の1種
ミオシン:タンパク質の1種
字幕
1
00:00:05,705 --> 00:00:12,245
この実験では
コイの普通筋からタンパク質を作ります
2
00:00:12,245 --> 00:00:20,954
血合筋から作ったタンパク質と
普通筋から作ったタンパク質は 構造も特性も違います
3
00:00:20,954 --> 00:00:28,395
普通筋と血合筋を
一緒くたに扱うのは学問的によくないため
4
00:00:28,395
--> 00:00:37,203
筋組織の主要な部分である
普通筋だけを材料にして進めていきます
5
00:00:37,203 --> 00:00:45,679
タンパク質は 他の生体高分子である
多糖類や核酸よりも 変性を起こしやすいです
6
00:00:46,79 --> 00:00:54,154
変性を起こすと本来の機能や
特性を失ってしまい 実験になりません
7
00:00:54,154
--> 00:00:58,425
特に熱変性に
気をつけていただきます
8
00:00:58,425 --> 00:01:03,396
(魚類のタンパク質は)低い温度で
効率的に働けるようにできていますが
9
00:01:03,396 --> 00:01:09,502
逆に加熱による変性には
とても弱いという特徴があります
10
00:01:09,502 --> 00:01:14,207
溶液を室温に置いておくだけで
加熱しているのと同じです
11
00:01:14,207
--> 00:01:18,545
徐々に熱変性を
起こしてしまいます
12
00:01:18,545 --> 00:01:31,324
そうならないように 試料の溶液 材料 試薬 実験器具を
常に冷やしながら (実験を)行います
13
00:01:31,725 --> 00:01:39,632
ビーカーが冷えたら
材料となるコイの挽肉を(4.5g) 入れます
14
00:01:40,367
--> 00:01:44,404
低塩濃度緩衡液を
(冷やした)三角フラスコに取り分けますので
15
00:01:44,404 --> 00:01:50,310
ビーカーの目盛り50ml (挽肉の10倍の量)まで
三角フラスコから注ぎます
16
00:01:50,310 --> 00:01:58,952
ガラス棒で挽肉を砕くようにしながら
ゆっくり攪拌します
17
00:01:59,252
--> 00:02:09,329
変性を防ぐためのもう一つの注意点は
攪拌するときに 泡立てないこと
18
00:02:09,329 --> 00:02:16,736
泡が立つということは
タンパク質が空気とふれる部分が 多くなります
19
00:02:17,804 --> 00:02:28,782
空気が触れると 空気中の酸素によって
酸化による変性が起こります
20
00:02:28,782
--> 00:02:32,919
だいたい5分ほど攪拌します
21
00:02:32,919 --> 00:02:42,529
攪拌しても 筋肉は溶けていません
22
00:02:42,529 --> 00:02:45,365
でも 一部だけ溶け出しています
23
00:02:45,365 --> 00:02:52,305
溶け出しているのは サルコメアを形作っている
ミオシンやアクチンではなく
24
00:02:52,305
--> 00:02:55,408
その周辺の サイトゾルが
溶けだしています
25
00:02:55,408 --> 00:02:57,977
それを分離します
26
00:02:57,977 --> 00:03:06,453
(ビーカーに)長方形のガーゼ1枚を
二つ折りにしてのせます
27
00:03:06,453 --> 00:03:14,494
そこに100ml のビーカーに入っている
懸濁液を注ぎます
28
00:03:14,494
--> 00:03:20,100
すると 濾液 それからガーゼの上に
残渣が残ります
29
00:03:20,100 --> 00:03:24,537
残渣のほうに
アクチンやミオシンが入っています
30
00:03:24,537 --> 00:03:28,174
濾液のほうには サイトゾルの成分
31
00:03:28,174 --> 00:03:35,648
筋形質画分と呼ばれる
ミオグロビンや解糖系の酵素が
入っています
32
00:03:35,648 --> 00:03:37,650
(残渣と濾液の)
どちらも(実験に) 使います
33
00:03:37,650 --> 00:03:43,690
(おおかた濾過ができたら )
きれいな手で残渣をくるっと丸めて
34
00:03:43,690 --> 00:03:48,828
きゅっきゅっきゅっと
軽く絞って 濾液を切ります
35
00:03:51,998
--> 00:04:01,975
ガーゼを通り抜けた濾液は 筋形質画分と言われ
カラムクロマトグラフィーで 後日分析します
36
00:04:02,8 --> 00:04:11,584
遠沈管に10ml くらい
注いでください
37
00:04:11,584 --> 00:04:16,389
キャップをして
(濾液は)冷凍庫に保管します
38
00:04:16,389 -->
00:04:23,997
ガーゼの上の残渣は もう1回
低塩濃度緩衡液50ml を入れ ガラス棒で攪拌して
39
00:04:24,497 --> 00:04:27,300
また 2層のガーゼで
濾過します
40
00:04:27,300 --> 00:04:33,373
2回目の濾液は
成分が薄くなりますので 使いません
41
00:04:33,373 --> 00:04:39,479
2回目の濾過が終わった後の
ガーゼの上の残渣は
42
00:04:39,479
--> 00:04:43,350
筋原線維が主成分です
43
00:04:43,350 --> 00:04:47,53
50ml のスタンド付き遠沈管に
残渣の塊を入れます
44
00:04:47,53 --> 00:04:49,489
50ml のスタンド付き遠沈管に
残渣の塊を入れます
45
00:04:49,889 --> 00:04:57,564
(ここに)25ml
の
高塩濃度緩衡液を入れます
46
00:04:57,564 --> 00:05:08,141
遠沈管を氷に差して冷やしながら
ガラス棒でつついて 泡立てないように攪拌します
47
00:05:08,141 --> 00:05:13,279
(全体が)均一になるまで 攪拌したら
今日の作業は終了です
48
00:05:14,414 --> 00:05:17,317
アクトミオシンは
冷凍すると
失活してしまうので
49
00:05:17,317 --> 00:05:23,857
(絶対に冷凍室には入れず )
冷蔵庫のスタンドラックに並べてください
50
00:05:26,526 --> 00:05:36,936
2日後まで静置している間
アクトミオシンの抽出が進みます