Perfilado de sección

    • 遊泳運動の定式化

       式2の未知パラメータa、b、c、dは、体軸上の各点における振幅の値を用いて指数近似により求めた。表2に式2の未知定数と、各流速における遊泳運動関数を求めるために用いた式3のλ、fの値を示す。なお、遊泳速度のBLは、供試魚の体長を基準とした。魚の体軸上の各点の時系列データを、実測データと、遊泳速度1.52 BL s-1で遊泳運動関数から求めたデータとを比較したところ、図8(R²=0.96)のようになった。


    • 図8. 魚の体軸上の各点におけるデータの時系列

      遊泳速度1.52BL s-1における実測データ(実線)と遊泳運動関数から求めた結果(破線)を比較したものである。


    • 表2. 式2の定数a, b, c, dと式3の尾びれの波長(λ)と周波数(f)

    • ソリッドスイミングのCFD解析

       図9は、遊泳速度1.52BL s-1で4ストローク尾打ちを行った際に、魚体モデルの表面に作用するスラスト力と抗力を示している。推力と抗力の変化には周期性があることが分かる。また、尾びれの先端で振幅が最大となる点と、スラスト力が最大となる点の間に位相差があることがわかる。


    • 図9. 魚のモデル表面に作用する推力と抗力

      これらの力は、遊泳速度1.52BL s-1で尾びれを3ストローク分行った際に作用したものである。

    •  推力と抗力の値を比較するために、推力と抗力の時間平均値をそれぞれFT、FDと定義し、各泳速度で比較した(表3)。今回の解析で用いた遊泳運動関数は、すべて循環水槽内を一定速度で定常的に泳ぐ生物実験により決定したものであり、この状態で推力と抗力が釣り合うようになっている。CFD 計算で解析した 5 つの遊泳速度において,FT/FD 比は遊泳速度 1.52 BL s-1 で最も 1 に近い値となった(表 3).図10は、遊泳速度1.52BL s-1で尾びれの尾端が最大速度になったときのモデル表面の圧力分布である。


    • 図10. モデルの面圧分布

      遊泳速度1.52BL s-1における最大速度(a)時の尾びれ尾端部の右側(1)と左側(2)を示している


    • 表3. 推力と抗力(それぞれFTFDとする)の時間平均値を各水泳速度で比較した

    • パラレルスイミングのCFD解析

       図11は、同位相および逆位相の場合において、個々の距離が0.4Lと0.8Lの平行移動中の魚の周りの流れを示している。


    • 図11.モデル周辺の速度分布:(a) 0.4Lと同位相の個別距離、(b) 0.4Lと逆位相の個別距離、(c) 0.8Lと同位相の個別距離、 (d) 0.8Lと逆位相の個別距離、 (e) 1.2Lと同位相の個別距離、(f)1.2Lと逆位相の個別距離。

    •  図12では、横軸は、個体間距離0.8L、逆位相下での2個体の鼻の中点を原点とし、x軸に平行な点線上の距離を表している。図11、図12に示すように、同相、逆相のいずれの条件においても、個体間距離0.4Lでは、2個体の鼻の中点から0.5~2.0Lの距離範囲における見かけの流速は入口流速より大きい。一方、個体間距離0.8Lと1.2Lの両フェーズでは、前述の距離範囲での見かけの流速は流入流速より低くなる。


    • 図12. 速度分布の各点における速度値

      横軸は個体間距離0.8L、逆位相の条件で2個体の鼻の中点を原点としてx軸に平行な点線上の距離を表している。縦軸は点線上の速度値を表す。長破線は入口流速(1.52 BL s-1)を示す。

    •  同位相と逆位相の条件下で分離した2個体の遊泳効率を比較した(図13)。同位相条件下では大きな変化は見られない。しかし、逆位相の条件下(破線)、距離0.4Lでは、遊泳効率は約10%向上した(図13)。


    • 図13.同位相(実線)と逆位相(破線)の条件下で2個体が並行して泳ぐ場合の遊泳効率