はじめに
セクションアウトライン
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2021年9月13日に北海道大学厚岸臨海実験所の伊佐田智規准教授が厚岸湾で赤潮が発生していることを発見して以降,赤潮の実態が徐々に明らかとなり,北海道東部太平洋岸一帯で赤潮が発生する事態となりました。
赤潮発生海域ではウニ・サケをはじめとする甚大な漁業被害が発生し,北海道の発表による2022年1月14日現在の被害額は81億9千万円と見積もられています。
この赤潮の優占種は渦鞭毛藻類に属する植物プランクトンKarenia selliformis(カレニア・セリフォルミス)です(Iwataki et al. 2021)。
海表面の情報が得られる人工衛星データからは,道東の沿岸から沖合まで広範囲に赤潮が発生していることが想定されましたが,実態の把握には船舶を用いた現地調査が必要であり,我々は厚岸湾沖合およそ20 kmまでの範囲で,海面から海底付近までの深さ方向の水質を調査しました。
観測装置を海面直下に沈めると,真っ白いフレームが着色して見え,水中に植物プランクトンが多量に存在することがわかります。
