IGF-Iによる成長促進作用を調節するIGFBPですが、サケ科魚類の血中には主に3タイプが存在します。それらは分子量の大きい順からIGFBP-2b、-1aおよび-1bと名付けられています。これらはIGF-Iの活性を調節するという機能の面で重要ですが、成長状態を反映しているという点で、成長指標としても有用であると私たちは考えています。下の図のように、マスノスケ(キングサーモン)の幼魚を摂餌群と絶食群に分けて飼育すると、血中のIGFBPのパターンには違いが見られるようになります。例えばIGFBP-2bは摂餌している群で高く、IGFBP-1bは逆に絶食している群で高くなります。これらをIGF-Iと共に、成長の正と負の指標に用いることにより、サケの成長スピードをより正確に評価できる可能性があります。これにより養殖業やふ化放流事業を効率化できることが期待されます。
