図2に示すように海中に準備されたピストンコアラーは海底直近まで降下されると採泥部が天秤式トリガから切り離され、海底面に突き刺さります。このときの動作の様子を、順を追って図7に示します。
天秤にセットしたピストンコアラーを海底へと降下させていくと、採泥部より先にパイロットウェイトが着底します(図7-①)。パイロットウェイトの負荷が抜けると天秤式トリガが作動し、採泥部が海底へむかって自由落下します(図7-②)。やがて採泥管が海底面に到達して貫入をはじめますが、その一方でピストンは海底面付近に留まります。これは、ピストンがちょうど海底面に位置するようにメインワイヤの長さが調整されているためです。(図7-③)。このとき、採泥管が海底へと貫入していくタイミングに合わせてピストンが採泥管内を相対的に上昇し、堆積層を破壊しない吸引力が発生します。採泥器の自重とこの吸引力によって採泥管が海底に貫入していきます(図7-④)。ウィンチをゆっくりと巻き上げ、採泥管を海底から引き抜きます(図7-⑤)。ピストンで生じた吸引力が採泥管の蓋の役目を果たすため、揚収時の試料の脱落を抑えることができます。
図7に示した一連の動作をアニメーションによって連続的に表すと、図8のようになります。実際の作業においても自由落下を開始してからほんの数秒で採泥管の貫入を終えてしまいます。