章节大纲

    •  図2にソリネットの構成図(概略図)を示します。ソリネットは、袋状の網の口をソリ状の枠に固定したものです。網口を固定する枠は、金属の棒(ビーム)で左右一対のフレームを連結させたもので、運搬や保管がしやすいようにフレームとビームが分解できる構造になっています。採取された試料が集まる網の最後尾(コッドエンド)部分には外網の内側に捕集された試料の損失を防ぐための外網より目合いの小さい内網が装着されています。左右のフレームに接続した索(ブライドルワイヤ)でソリネットを曳航します。また、曳網前の海底に向かって降下させている間に網が浮き上がってソリ(枠)部分やロープ類に絡まることを防ぎ、あるいは曳網中に網の形状が適切に保てるよう、網の尾部には重錘を吊り下げます。メインワイヤが海底にこすれて傷ついてしまわないよう、ヒューズワイヤの先には鋼鉄製のチェーンを接続します。このチェーンには曳網中にフレームが浮き上がるのをその重さによって抑える役割もあります。


    • ソリネットの構成

      2 ソリネット構成図


    •  ソリネットを曳航しているとき、海底にある岩礁などの障害物に引っかかってしまうことがあります。引っかかった状態で網を曳き続けると網が大破してしまうばかりでなく、最悪の場合は巻上機(ウィンチ)のメインワイヤが切れて全てを落失してしまう恐れがあります。そこで、実際の観測では図3に示すようなリスクを避けるための工夫が施されています。ブライドルワイヤとチェーンの間にヒューズワイヤを取り付けます。ヒューズワイヤはメインワイヤよりも細いワイヤロープで、過大な張力がかかりそうな時にメインワイヤよりも先に破断します。すると、網の尾部に繋がっている「命綱」によって曳網され、同時にソリの向きが変わり障害物からソリネットが解放されて回収することができます。また、予想以上に大量の採集物が網に入っている場合、船上に網を引き上げる時にヒューズワイヤが破断するほどの荷重がかかる恐れがあります。そのようなリスクを回避するため、コッドエンドを絞り上げ、2か所で吊り上げて船上に回収するための「絞り綱」が網の中ほどに据え付けられています。


    • ソリネットの安全索

      3 ソリネットの安全索