セクションアウトライン

    •  音響測深機が登場することによって船の航跡にそって水深を計測することが可能となりました。そこから発展して「面」の測深を実現したのがマルチナロービーム音響測深機です。この音響測深機は海底地形図を航走しながら描くことができ、海図作成や海洋研究などに広く活用されています。


    • マルチナロービーム測深機

      4 マルチナロービーム音響測深機の測深イメージ


    •  一般的な音響測深機が船の直下の一地点の水深を計測するのに対し、この測深機は左右方向に広がりを持った複数の地点の水深を同時に計測することができます。船を航行させながら測深を繰り返すことによって、海底の起伏が面的に描き出されていきます。測深地点の左右の広がりをスワス幅といい、スワス幅を大きくとればより広範囲を、逆に小さくすればより詳細に(細かく)測深することができます。



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      5 マルチナロービーム音響測深機の観測画面


    •  マルチナロービーム測深機の登場によって海底地形図の作成効率は飛躍的に向上しました。とはいえ、広大な海の底を調査し尽くすのは容易なことではありません。決められた航海日程のなかでカバーできる範囲は限られているので、複数の航海にわたってあるいは複数の調査船で幾度も調査を繰り返し、徐々に海底の様子を明らかにしていっています(図6)。


    • マルチナロービーム測深機 海底地形図の作成

      6 海底地形図の作成と調査航海の繰り返し