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  •  MTDネットとは正式名称を、MTD水平ネット(Motoda Horizontal Net)と言い、北海道大学水産学部浮游生物学(ふゆうせいぶつがく)講座初代教授の、元田 茂(もとだしげる)先生が1971年に開発した、浮游生物(プランクトン)の深度分布(鉛直分布:えんちょくぶんぷ)を評価できる、プランクトンネットです。プランクトンの採集には、その研究の最初から、捕虫網のような「プランクトンネット」が使用されていました。初期のプランクトンネットは、重りの上に上向きのプランクトンネットを付けて、所定の水深まで下ろした後に巻き上げることにより採集するものでした。ただこのやり方では、水中内におけるプランクトンの鉛直分布を明らかにすることは出来ませんでした。そのため、プランクトンの鉛直分布を明らかにするために、様々な仕組みのプランクトンネットが作られました。MTDネットは日本を代表する層別プランクトンの採集器具で、21世紀の現在でも市販されています。MTDネットの最終形が発表されたのは1971年ですが、そのアイディア(水平同時多層曳き)の萌芽は、1950年代の元田先生のメモに見ることが出来ます(図2)。その後の20年近くは、そのアイディアを具現化するために、様々な試行錯誤を繰り返し、テストを行ってきた年月と考えることも出来ます。元田先生はその他にも様々なプランクトン採集器具、分析機器を開発・発表された、日本のプランクトン研究の草創期を支えた研究者です。元田先生が発表されたプランクトン採集器具、分析機器のうち、これまで商品化されて市販されているものは多数あります(図3)。このうち特に液浸のプランクトン試料を半分に分ける、元田式分割器は「Motoda plankton splitter」として、現在、世界中で広く使用されています。元田先生が初代教授を務められた北海道大学水産学部浮游生物学講座は、「浮游生物」の名前を冠した、日本で初めての大学研究室です。その伝統は、現在の北海道大学大学院水産科学研究院海洋生物学分野(浮游生物学領域)に受け継がれています。