コンブの胞子体は、自身を守り繁殖していくために様々な能力をもっている。
その細胞壁は、セルロースを骨格に、アルギン酸や抗菌作用等の生理活性を示す粘性多糖類のフコイダンを含むマトリックスで構成され、クチクラと共に防御にあたります。
表層細胞には、食植動物の忌避物質や紫外線防御としての役割を担うフロロタンニンを含むフィソードと呼ばれる細胞内構造が発達し、障害を受けた部位に大量に蓄積されます。
また、アルギン酸由来のオリゴ糖をエリシターとして藻体に作用させると、活性酸素を生成し、様々な防御反応を誘導します。
その反応の一つに、ハロペルオキシダーゼの活性化があり、抗菌作用を有するヨウ素化合物を体外に放出し、化学的防御の一端を担っています。
この防御機構は、胞子体の生殖器官(子嚢斑)の保護にも重要な要素の一つとなっています。
子嚢斑では、様々な能力を発揮し、遊走子(生殖細胞)を守り、次世代へ橋渡しを行っています。