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    •  今回は、ヤドカリの配偶者選択を例として、行動生態学という学問の一端を紹介しました。どうやらヤドカリたちは、色々な情報を利用しながら、まずまず適切な意思決定を下しているようだということが分かってもらえたのではないかと思います。かつて、無脊椎動物は、社会性昆虫や頭足類(タコ、イカ)以外は、とても単純な動物であるかのように思われていました。けれども2000年代以降、さまざまな研究で、無脊椎動物もじつは多くの精妙な行動を示すことが分かってきています。とくに、海の中は、陸上よりも多くの動物が高密度で生息しているため、お互いの情報を利用した意思決定が重要です。これからも、もっと面白い発見がどんどん生まれてくるのではないかと、私は大いに期待しています。