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    •  それでは、ヤドカリの行動生態学研究について紹介します。この写真のように、オスがメスを持ち運ぶ行動を「交尾前ガード行動」といいます。交尾前ガード行動は、ヤドカリだけでなく、他の甲殻類でも知られています。例えば、ケガニやタラバガニも交尾前ガード行動をします。

       ヤドカリのオスは、出会ったメスの成熟度合いを性フェロモンで評価して、もうすぐ産卵するメスをみつけると、そのメスの貝殻をつかんで交尾・産卵まで持ち歩きます。写真の大きな個体がオスで、小さな個体がメスです。この交尾前ガード行動は、ヤドカリのオスによる配偶相手選びの結果を、とても分かりやすく教えてくれるため、オスがどのようなメスをいつから持ち歩くのかという配偶者選択の研究にもってこいです。

       なお、写真のヤドカリの脚の模様や毛に注目すると、3枚の写真は、ヤドカリの種が違うことが分かると思います。左から順に、ホンヤドカリ、テナガホンヤドカリ、ヨモギホンヤドカリという種です。名前から想像できる通り、これらはみんな「ホンヤドカリ属」の近縁種です。私たちの調査地(葛登支)には他にもケアシホンヤドカリ、ホシゾラホンヤドカリ、イクビホンヤドカリ、ホンヤドカリ属の種がいます。下の動画はケアシホンヤドカリの交尾前ガード行動です。