Section outline

    •  最後に、天然放射性核種と人工放射性核種を比較します。下の図は薄茶色が天然、ピンクが人工放射性核種です。

      トリチウム(3H)とカーボン14(14C)は両方からのソースがありますので、それぞれ分けて計算しました。

      やはり圧倒的に天然放射性核種の存在量が勝っていることが分かります。

       ただ、トリチウム(3H)については人工の方が多いようです。これは大気圏内核実験によって放出された人工放射性核種が未だに残っているためです。見積もりは西暦2,000年で合わせていますので、2020年であれば、天然と人工の割合は半々くらいまでになっていると計算できます。トリチウムのお話でもしましたが、原子力発電所からもトリチウム(3H)は出てきますが、それよりも宇宙線によって生成される量が圧倒的に多いのが特徴です。カーボン14 (14C)については天然に対して人工の割合が1%程度ですので、年代測定に使うのであれば僅かな誤差程度になります。





    •  このように比較すると、「天然が圧倒的に多いから、人工放射性核種は問題にならない」という議論が展開されかねませんが、そうとは限りません。海洋の海水に均一に放射性核種が拡散していれば、天然も人工も、問題無いと思われます。しかし、放射性核種が、ある場所に、あるとき、特異的に濃縮した状態が危険なのです。この辺を、しっかり判断することが大事になります。