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  •  この観測は、船の位置の確認やデータ収録ソフトウェアの操作、野帳への記録を行う「オペレータ」と、船尾などの暴露部から海中にプローブを投下する「現場作業者」の二手に分かれて行います。ここでは、国内で普及しているXCTDシステム(㈱鶴見精機 TS MK-150Nデータコンバータ, LM-3Aハンドランチャ)を使用した観測の手順を示します。

     船が観測地点に到着する前に観測準備を行います。オペレータはデータコンバータの電源を入れた後、データ収録PC上で専用のソフトウェアを起動し、ソフトウェアの観測設定を済ませておきます。現場作業者はプローブをもって暴露部の作業場所まで移動し、ハンドランチャとデータコンバータとを通信ケーブルで接続しておきます。

     観測点に着くまでは、オペレータは船と観測地点までの距離を監視し、現場作業者はその場で待機します。プローブの種類によって観測中の船速に上限があるので、オペレータはその速度以下に減速するよう船橋に指示します。船速が制限速度を超えているとプローブが観測水深に到達する前にプローブケースのキャニスタに巻いたワイヤが無くなってしまい、結果としてワイヤが切れて観測が強制終了してしまいます(図3)。

     観測地点を通過する1~2分前になったら、ランチャにプローブを接続するようオペレータから現場作業者に指示を出します。現場作業者は指示に従ってプローブをセットします(図5)。プローブをセットするとプローブ内部の電池が消費され始めます。あまり早い段階でセットすると、観測の途中で電池切れをおこして計測できなくなる恐れがあります。

    XCTD プローブのセット

    5 ハンドランチャへのプローブのセット

    a)ランチャとプローブの各部名称 b)レバーを押し上げた状態のランチャにプローブをはめ込みます。 c)レバーを引き下げてランチャのコンタクトピンとプローブの電極を篏合させます。

     オペレータはプローブが接続されたことをソフトウェア上で確認し、観測地点を通過するタイミングを待ちます。観測地点に到着すると同時に、オペレータは現場作業者にプローブを投下するよう指示を出し、現場作業者は直ちにプローブを海面に向けて投下します(図6)。

    XCTD プローブの投下

    6 プローブの投下

    a)ケースからキャップを取り外します。 b)リリースピンを引き抜きます。 c)ランチャを下に傾けるとケースからプローブが滑り出てきます。

     プローブが着水すると自動的にデータ収録が開始され、プローブの降下にともなってソフトウェア上に水温と電気伝導度の鉛直分布が描画されていきます。現場作業者は信号伝送ワイヤが船体などに触れて破断してしまわないよう、ワイヤの向きに気を付けながらランチャを保持しておきます。オペレータはデータを監視しながら観測終了深度に達するのを待ちます。観測終了深度に到達するかあるいはプローブが海底に着底したら、ワイヤを切って撤収するようオペレータは現場作業者に指示を出します。現場作業者は指示に従ってワイヤを切り、ランチャと通信ケーブルを片付けます。オペレータは観測開始時と終了時の時刻・船位・水深などを野帳へ記録します。

     XCTD観測作業の流れをオペレータと現場作業者とに分けて整理すると、図7のようになります。

    XCTD 観測作業の流れ

    7 XCTD観測の流れ