セクションアウトライン

    • 私(大木)は、生き物が好きである、と思っている。

       幼いころ、お祭りの金魚すくいでゲットした金魚を水槽で飼いはじめた。金魚の水槽を数週間放置したら、水槽の底に白いフワフワが溜まっていた。これは金魚のデトリタスの変質が進んだものであろう。このようなものが海洋深層でも形成されることが水中カメラの撮影から確認されていて、白いフワフワが一斉に沈降する様子から、マリンスノーと呼ばれている。ただし、マリンスノーを含むであろう海水を筒状の採水器で採取して船上にあげて見ても、マリンスノーは見えなくなってしまう。海水を採取する操作の途中に微振動が加わると、マリンスノーが溶けてなくなってしまうので、マリンスノーの構成や成因は謎のままである。いっぽう水槽の方といえば、金魚のデトリタスが悪臭を放つし、申し訳ない気持ちでいっぱいであった。そんなことを経て、現在私は、海水中の悪臭成分を調べる仕事に就いている。


       金魚はデリケートだから、飼うのが難しい。だから、金魚は嫌いだ。

       私はカメが大好きである。甲羅があるし、逃げるのが遅いし。小学校低学年の時、大好きなカメを買ってもらった。そして、水槽で飼い始めた。水槽の水は、あっという間に緑色になる。数か月、餌を与えなくてもカメは生き続けていたので、カメは緑色の藻を食べているのだろう。やっぱり、カメが大好きだ。と、大学生になるまで、そう、信じていた。

       そのことを、二つ年上の兄に話したら、

      兄:「バカ。ずっと、僕が餌を与えて、水槽の掃除をしてきたんだよ。」 

      私:「えっ、そうだったの?」  (そのとき、動物を飼うのはやめよう。と心に誓った)

      そのカメは、兄宅に引き取られ、およそ30年の天命をまっとうした(らしい)。

      (ちなみに、30年生きても、ほとんどサイズの変らない、珍しいカメだった)


       さて、カメ事件から二十数年後、私の小学生の娘が、「犬を飼いたい」、とか言い始めた。

      私: 「犬なんて飼う前に、もっと小さい動物の飼育ができるようになってからにしなさい。まずは、ミミズからだ。」

      翌年:「去年はミミズ飼育に失敗したけれど、今年はダンゴムシ。それをクリアしたら、来年魚か川エビかな。川エビにしよう! 川エビなら、飽きたら食べればいいし。」

      翌々年:娘が小学校で生き物係の大役を任され、イモムシの飼育をクリアした。「来年は、クモを飼おうか」(私) 「えぇー」(娘)

      来年はどうなることか。

      (カブトムシとか、大物に気が行かないよう、クモやダンゴムシの魅力を伝えるつもり)


      大木淳之



    • 海洋の有機ガス成分の説明です。