セクションアウトライン

    • 呼吸反応の全反応と半反応式


       呼吸は酸化還元反応です。酸化還元反応では、酸化剤となる物質が電子を受け取る反応、還元剤となる物質が電子を与える反応の二つに分けることができます。その分けた反応式を半反応式といいます。酸素呼吸の全反応と半反応式を記します。


       ホルムアルデヒドを酸化する反応(酸素呼吸)の全反応

      CH2O + O2  →  CO2 + H2

       原形(反応前)の還元剤はCH2O 、酸化剤はO2です。酸化剤、還元剤の電子移動を考えて、以下のように半反応を記すことができます。周囲に水(2H2)が豊富にあるので、半反応式を作る際には、水素原子と酸素原子の数があうように、H2O4H+ を加えてやればよいのです。

       CH2O + H2O   → CO2 + 4H+ + 4e-   

      O2 +  4H+ + 4e-  →  2H2


       なお、酸化還元反応は、条件によっては反対方向にも進み得るのです。例えば、酸素呼吸の全反応を逆に記します。

      CO2 + H2O   →  CH2O + O2

      これは、光合成による有機物生産ですね。
      この原形における酸化剤はCO2、還元剤はH2Oです。

      酸化還元反応の反応式だけでは、本来、どちらに進むのか決定することができません。どちらに進むのかわからないので、半反応式は酸化剤を原形(左辺)に置いて、イコール(=)で結ぶのが化学の決まりになっています。

      CO2 + 4H+ + 4e- =   CH2O + H2

      O2 +  4H+ + 4e-  =  2H2O   


       半反応式の作り方は、そのうちLASBOS Moodleの分析化学(大木が提供予定)にて説明します。しばらくお待ちください。一般化学の教科書に詳しく記されているので、そちらで学んでおいてください。



    •  下に、有機物(ホルムアルデヒドとする)を各酸化剤で酸化分解する呼吸反応の半反応式を書き出しました。①は、各呼吸反応で共通の有機物酸化の半反応です。

       半反応の原形と生成形にある物質(電子を除く)の標準生成ギブズエネルギーの合計差も記しておきました。次のコースで説明しますが、半反応式の原形と生成形のエネルギーが等しくなるように、電子に負のエネルギーが与えられるのです。電子のエネルギーは、【電荷量】×【電位】ですから、各半反応固有の電位が決まります。