섹션 개요

    • 北太平洋の深層から中層への水循環について、Nishioka et al (2020)のFig4(下図)を参考にして説明する。北西太平洋の亜寒帯域は、栄養塩豊富な深層水が浮上するエリアである。特に、アリューシャン列島の海峡で発生する潮汐流の乱流により中層に高栄養塩の水塊が形成される。これを、亜寒帯中層栄養塩プール(SINP)と呼ぶ。この栄養塩プールが、北太平洋亜寒帯域の高い生物生産性が維持されている(図A参照)。


      図  北太平洋亜寒帯域における高基礎生産性を維持する栄養塩循環のイメージ
       Upper (U) and Lower (L) -North Pacific Intermediate Water (NPIW), Subarctic Intermediate Nutrient Pool (SINP) (Nishioka et al., PNAS, 2020: doi: 10.1073/pnas.2000658117, Fig4)

    • しかし、深層水由来の栄養塩や鉄だけでは、北西太平洋の亜寒帯域や混合域の高い生産性を維持できないのでは?と疑問が投げかけられていた。オホーツク海を含む海域全体で詳細な観測を行った結果、北部オホーツク海陸棚斜面を流れ落ちる水が、高濃度の鉄(必須微量栄養素)を含みながら太平洋へ流出することが明らかになった(図B)。つまり、オホーツク海起源の鉄が供給されることで、アリューシャン列島から運ばれてくる高濃度栄養塩(窒素やリン)を最大限利用して(鉄制限を緩和して)、高い生産性が維持されている。


      オホーツク海陸棚斜面からの鉄分輸送と北西太平洋で高基礎生産性が維持されるメカニズムのイメージ.赤い太い矢印がオホーツク海起源の水に含まれる高濃度鉄を表す。(Nishioka et al.2020)つづき

    • そのオホーツク海起源水を含む中層水は、混合域で表層に鉄をもたらしつつ、北太平洋中層水として、太平洋外洋へ広く運ばれることがわかった(図C)。図A~Cでは、赤い太い矢印がオホーツク海起源の水に含まれる高濃度鉄を表している。なお、オホーツク海起源水は上部中層(U-NPIW)を形成するので、生物生産の場である表層に鉄分を供給する役割を果たしている。


      (Nishioka et al.2020)つづき)