單元大綱

    • 淡水である支笏湖,沿岸海域である青の洞窟,という対照的な二つの水域生態系を間近に感じることができるカヤックでの活動を経験できました。ボランタリワークだからこその経験でした。支笏湖オーシャンデイズの板谷さん,塩谷ブルーホリックの嘉藤さんから共通して,自然環境を生業の場とするものとしての哲学,経営者としての考え方,人とのつながり,に関する話を聞いたうえで自然の中に身を置いたことは,若い世代にとって多くのことを得る良いチャンスでした。GISごみマップ,Leave No Traceなどのキーワードがありました。ゴミの問題は二つの水域における共通の課題として身近で触れる機会となり,そこに問題意識を持つことができているレポートが複数見られました。
      経験を自分の糧とするためには,何らかの作業が必要です。アクティビティレポートの作成はその一つとして位置づけられます。大学における授業のレポートである以上,最低限の形式と求められる内容があります。アクティビティに関する客観的な事実・内容を述べたうえで,当該授業が意識する観点からの課題を抽出し,文献等の情報を収集したうえで自分の考えを述べる(考察する)必要があります。
      今回,審査したアクティビティレポートのほとんどは感想文になっており,今後,発展できる期待しかない(笑)内容でした。まずは,感想文とレポートの違いを意識しましょう。1-2年生の学生さんが多いなかで,現時点で完成度の高いレポートを作成できる必要はありませんので,レポートというものをどのように捉えたらよいのかを考えるきっかけとしてください。個人的には以下のようなカギがあったと思います。
      ◆まずは,レポートとはどうあるべきか
      ◆文章としての階層構造とパラグラフという考え方
      ◆SDGsの視点から,何に着目するか 自然環境と人間活動・経済活動の利害
      ◆人間にとって【きれい】でお金を生み出す環境の,生態系内での意義(例えば,水がきれい,海が青い,とはどういうことなのか) 
      物事を論理的にとらえ,表現するスキルは,今後の大学生活を有意義なものにしてくれますし,社会に出てから信頼され,活躍できる人材を目指すうえで不可欠です。どこに問題意識を持ち,その問題にどのように切り込んでいくかが,各自の個性となります。AIがライバルとなる皆さん世代にとって,大学生活を通じてアイデンティティを確立することは重要であり,この授業が小さなきっかけの一つになれば我々にとってこの上ない喜びです。 芳村 毅