魚肉のヒスタミン食中毒に関与する主なヒスタミン産生菌には,腸内細菌の仲間のMorganella
morganiiやM. psychrotolerans,海洋細菌でビブリオ科のPhotobacterium
phosphoreum,P. damselaeなど複数の種が存在します。特に,M.
psychrotoleransやP. phosphoreumは4°Cなどの低温下でも増殖しヒスタミンを産生するため重要なヒスタミン産生菌です。私たちは,最確数(MPN)法とポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を併用したMPN-PCR法により,水産物を汚染するM.
psychrotoleransについて調べました。その結果, M.
psychrotoleransが国内に流通する水産物を汚染していることを確認し,これらの水産物より分離したM.
psychrotoleransが4°Cで高濃度のヒスタミンを産生することも明らかとしています(加藤ら,2017)。さらに,M.
psychrotoleransのヒスチジン脱炭酸酵素遺伝子の発現が酸性環境下で上昇することや,菌体から抽出したヒスチジン脱炭酸酵素が様々なpHや温度環境下でヒスタミンを産生することを明らかとしました(Wang
et al., 2020a)。これらの結果は,ヒスタミン食中毒を予防するために,低温管理を含めた水産物の衛生的な取り扱いが重要であることを再認識する結果となりました。
ヒスタミン産生菌の透過型電子顕微鏡観察 培地におけるヒスタミン産生の確認
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